熱帯夜 の商品レビュー
この短さでここまで秀逸なミステリー・ホラーはなかなかお目にかかれないのでは。 不条理過ぎない設定が絶妙。
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「鼻」の作者。同じく3編の中編集。ホラーと言いつつも、前作同様「世にも奇妙な物語」チックで、世界観が独特。その世界観にゾッとするような背景がありますが、叙述トリックや物語の収斂性に面白さを集約しているようなところもあり、純粋なホラーとしては楽しめなかった。つまらなくはないですけど...
「鼻」の作者。同じく3編の中編集。ホラーと言いつつも、前作同様「世にも奇妙な物語」チックで、世界観が独特。その世界観にゾッとするような背景がありますが、叙述トリックや物語の収斂性に面白さを集約しているようなところもあり、純粋なホラーとしては楽しめなかった。つまらなくはないですけどね。 しかしここ最近の和製ホラーは、恐怖に直接語りかける作品があんまり多くないような……?
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曽根圭介の短編ホラー、面白い〜!ホラーといってもおどろおどろしいものでなく、ブラックユーモアが効いているのがなんとも好み。ただ評価は同じ星4つながらも、同じ短編ホラー集の「鼻」の方が面白かった。
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―――タイムリミットは2時間。 美鈴とボクをヤクザの人質にして金策に走った美鈴の夫は戻ってくるのか? ボクは愛する美鈴を守れるのか!? 緊迫の展開、衝撃のラスト。ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。 日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。 久々に...
―――タイムリミットは2時間。 美鈴とボクをヤクザの人質にして金策に走った美鈴の夫は戻ってくるのか? ボクは愛する美鈴を守れるのか!? 緊迫の展開、衝撃のラスト。ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。 日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。 久々にホラーの新規開拓 曽根圭介完成度高いなー ・熱帯夜 上記参照 まさしくミステリとホラーの融合 叙述のしかたも丁寧 ・あげくの果て 近未来の日本が舞台の、ブラックすぎてシャレになりきれてないホラー 夫婦がそれぞれ金の鎖と櫛を贈り合うあの寓話を、5段階ぐらい救いのないものにした感じ ・最後の言い訳 いわゆるゾンビもののホラー 主人公のダメさ加減と、社会の変化をあらわす新聞記事の黒さが秀逸 “世界は狂った お前はどうだ”
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下記3編からなる短篇集。 ①『熱帯夜』・・・☆☆ 凡庸。設定自体が面白いだけに残念だ。 ②『あげくの果て』・・・☆☆☆ 世界観と物語の構築の仕方が素晴らしい。 ③『最後の言い訳』・・・☆☆☆☆ 現代日本を皮肉たっぷり。ブラックユーモア満載。そして切ない。 非常に良くできたゾン...
下記3編からなる短篇集。 ①『熱帯夜』・・・☆☆ 凡庸。設定自体が面白いだけに残念だ。 ②『あげくの果て』・・・☆☆☆ 世界観と物語の構築の仕方が素晴らしい。 ③『最後の言い訳』・・・☆☆☆☆ 現代日本を皮肉たっぷり。ブラックユーモア満載。そして切ない。 非常に良くできたゾンビ物語だ。ただ。。。 いずれも「後味の悪さ」が舌に残る。いい意味でも悪い意味でも。 特に3編目。別の結末も読んでみたい。
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昔「鼻」を読んで以来、ファンになっていた曽根圭介さんの新作を本屋で見かけたので購入。 期待し過ぎたためか、あまり心に残らなかった。確かにかなり上手な作品だと思うのだけれど。 …趣味趣向が変わったのかしら。
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ホラーばかりでない短編集。一作目はミステリっぽい叙述もの、二作目は筒井康隆っぽいブラックユーモアもの、三作目も同じような感じ。筒井康隆系というのが一番近いと思う。
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どの作品も、意外性のあるオチが楽しめた。 特に、代表作の「熱帯夜」は、オチの意外性だけではなく、無駄と破綻のない騙りのテクニックがとても秀逸だった。 「あげくの果て」はオチの予想がついていたが、個々の決断が皮肉な結果を生む過程と、各所にちりばめられたブラックユーモアが面白かった。ただ、もう少しコンパクトにまとまっているほうが読みやすいように思えた。 「最後の言い訳」は、「あげくの果て」以上のブラックユーモアが楽しめた。特に、タイトルが良かった。
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曽根圭介の特徴のひとつに短編という限られた紙幅では控えられることが多い視点や場面、時系列のシャッフルを多用しスピーディーな展開で読者を煙に巻きながら伏線を回収しオチに持って行く構成が挙げられる。本書もその特徴を活かした作品が3つ並んでいる。 『熱帯夜』 表題作。日本推理作家協会賞短編賞受賞。 ヤミ金に手を出しやくざに捕まった夫婦と、二人の別荘にたまたま遊びに来ていた主人公の三人とが遭遇する一夜の恐怖と、峠道で見知らぬ男を轢き彼が持っていた大金を着服しようとする女の話とがクロスしながら、最後は一本の線となって収束する。 “タイムリミットは2時間。美鈴とボクをヤクザの人質にして金策に走った美鈴の夫は戻ってくるのか?ボクは愛する美鈴を守れるのか!?緊迫の展開、衝撃のラスト。” このあらすじは狡いな。 『あげくの果てに』 近未来日本小説。少子高齢化が進んだ日本では老人徴兵制が敷かれ、外国との戦争に送り出していた。老人を保護せよという団体、老人にばかり利権が集中して若者は仕事もないと暴動を起こす団体。時代の中で翻弄される老人、中年、少年の三人が語り部となりながら、それぞれの物語が最後に辿る結末は……。 一種のディストピア物でもあるSF小説。ただページ数の関係と語り部によるドラマ部分に筆を割いているため、社会背景その他の書き込みは多くない。それが最後でオチにも繋がる情報の伏せ方になってるんだけど。 『最後の言い訳』 これ笑った。 蘇生者(ゾンビ)が闊歩する近未来日本を舞台に、役所で働く主人公が語り部となり現代、蘇生者が誕生する以前の回想、蘇生者が人を襲うようになってからの回想の三パートで構成される。 前二作が語り部を二人ないし三人設定したのに対し、こちらは一人だがその分、話を三つに分け一人の口から語らせる。時系列で考えると「おかしいな?」と思ってた部分が最後きっちり回収される。 この作品のツボはタイトルにもなってる言い訳ですね。 主人公は小学生時代に愛ちゃんという女の子に恋をします。初恋です。愛ちゃんは背が小さいけど、そのコンプレックスを撥ね除けるため空手に勤しみ、男子と喧嘩しても蹴り飛ばしてしまう元気な女の子。主人公はデブで気弱ですぐ言い訳を考えては愛ちゃんに怒られていました。 幼い言い訳の他、現代パートでの言い訳、蘇生者誕生以後の世界で繰り返される言い訳も絡んできます。 特に蘇生者誕生以後の世界で繰り返される言い訳は著者のブラックユーモアが利いた風刺的な物で、実在の問題や団体、個人を思い起こさせます。 蘇生パンダが生パンダを食い殺した事件について中国政府は「中国を出たときは問題なかった。日本でゾンビ化したんだ」と言う。確か毒餃子事件の時、そんなこと言ってたような。他にも読めばあの事件かってのがあります。 新聞記事やインタビューの体裁でときおり挟まれるそれら「言い訳」がラスト四行の言い訳に繋がってオチる。 『熱帯夜』と『あげくの果てに』は少し技巧に走りすぎて上滑りしてる感もある。技巧に走ってると言えば『最後の言い訳』もそうなんだけど、これは読んだ後また読み返したくなった。最近こういう話に弱くなって駄目っすわ。 初恋の味は遠くなりにけり。
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日本推理作家協会賞受賞作といえば名作が多い。だから「熱帯夜」に対する大きな期待を持って本を取り寄せた。が、読み終わって、え? って感じだった。確かに展開にだまされた部分もある。が、傑作「鼻」のドンデン返しとは質が違うと思う。こういうのを背表紙に書いてあるように「衝撃のラスト」と...
日本推理作家協会賞受賞作といえば名作が多い。だから「熱帯夜」に対する大きな期待を持って本を取り寄せた。が、読み終わって、え? って感じだった。確かに展開にだまされた部分もある。が、傑作「鼻」のドンデン返しとは質が違うと思う。こういうのを背表紙に書いてあるように「衝撃のラスト」と言うのだろうか? 悪くはない。けど、個人的には凡作に近いと思う。 ただ、他の二作はなかなか良かった。老人徴兵制度という衝撃的な設定の「あげくの果て」 は、設定どまりでなく、ある三世代のそれぞれのドラマを積み重ねていき、読み応えがあった。ゾンビが一般化した世界を描いた「最後の言い訳」は、タイトル通りそこが笑えるし、やはりそれまでのドラマも丁寧に積み上げてあり、秀作だと思う。 結果的には、買って損は無かった。
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