昼の家、夜の家 の商品レビュー
一見関係がなさそうな断章が続き、最初はこのまま全体像がどうなっていくのか不安になるが、わたしとR、わたしと隣人のマルタ、聖人マクーニス、マクーニスの伝記を書いたパスパリス、きのこ料理のレシピなどが緩やかに関係しながら、話が続いていく。読んだことのない、詩のような神話のような小説。
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全容が見えない短編が続く、少し悪夢的な雰囲気もあり、ラテンアメリカ文学のような雰囲気もあるがもっとジメッとしている。そして徐々に、それぞれの話がつながっていたり、とぎれとぎれに続いたりしていることに気づく。不思議な魔術的魅力を持った本。なにかとても大切なことが書かれている、と感じ...
全容が見えない短編が続く、少し悪夢的な雰囲気もあり、ラテンアメリカ文学のような雰囲気もあるがもっとジメッとしている。そして徐々に、それぞれの話がつながっていたり、とぎれとぎれに続いたりしていることに気づく。不思議な魔術的魅力を持った本。なにかとても大切なことが書かれている、と感じるが、軽く、不安定で、頼りない。もっとこの作家の本を読みたい。
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久し振りにオルガ・トカルチュクの長編を手に取りましたが、そうそう、こうだった…。 断片的なおはなしの連続で、切れ端がどこかで繋がっていて、少し不思議で、怖くて、奇妙で、悲しい。 はまらない人にはうーんかもだけど、はまる人にはものすごく響くと思う作品世界。
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とても良かった。長い間放置していたんだが、じゃあ昔に手に取っていたら、同じように刺さっていたのかと思うとよくわからん。読書とは作家と読み手の共同作業であり、どちらにも敬意があるべきと思っている。大抵の本に対して距離感断絶感を感じ憤慨して終わるのだが、この本にはとても共感した。テー...
とても良かった。長い間放置していたんだが、じゃあ昔に手に取っていたら、同じように刺さっていたのかと思うとよくわからん。読書とは作家と読み手の共同作業であり、どちらにも敬意があるべきと思っている。大抵の本に対して距離感断絶感を感じ憤慨して終わるのだが、この本にはとても共感した。テーマな人間として生きる上での理想と現実。社会人としてこうあるべき姿と、野生の生き物として、裸で森で駆け回り、酒池肉林の世界に生きる。その狭間で距離に怯える人々。日々の生活は残酷にそして退屈に厳しく一人一人に訪れ、心と体を蝕んでゆく。
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ポーランドとチェコの国境にある架空の町ノヴァ・ルダに移り住んだ主人公が隣人との会話や日常生活、夢の話などから土地の歴史や記憶を書いていく。ちょっと不思議な物語になっている。全てが短編や掌編くらいの長さでエッセイのようでもある。『昼の家、夜の家』というタイトルから何を示しているのか...
ポーランドとチェコの国境にある架空の町ノヴァ・ルダに移り住んだ主人公が隣人との会話や日常生活、夢の話などから土地の歴史や記憶を書いていく。ちょっと不思議な物語になっている。全てが短編や掌編くらいの長さでエッセイのようでもある。『昼の家、夜の家』というタイトルから何を示しているのか難しいが、後書きでかいているように意識無意識とも取れるし、形而上形而下のようにもとれる。相反するものが混雑しながら土地の記憶となっていくのかなと思う。
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ポーランドの小さな町を背景に、いろいろな話の断片が時間や空間を超えて集合し、重なったり続いたりしている。 人間として物質的に存在しながら、果てしない内面を抱えて生きている人たちが描かれている。
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チェコと国境を接するポーランドの谷間の村,その土地にまつわるたくさんの物語の断片がパッチワークのように組み合わさって,全く無関係だったりどこかで繋がったりして,その土地と時代の空気が漂っている.私とRの家も何か謂れがあり,隣のマルタの存在感たるや再生する天使?かと思う.挿入される...
チェコと国境を接するポーランドの谷間の村,その土地にまつわるたくさんの物語の断片がパッチワークのように組み合わさって,全く無関係だったりどこかで繋がったりして,その土地と時代の空気が漂っている.私とRの家も何か謂れがあり,隣のマルタの存在感たるや再生する天使?かと思う.挿入されるキノコのレシピ,片足ずつ国境において死んだペーター,聖女に纏わる物語,銀行に勤める女の夢あるいは妄想,現実と妄想と夢と過去が顔を出してはおすまししている.「彼と彼女」「彼女と彼」がよくわからなかったが.それもまたいい.
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ノーベル賞受賞作家の作品とはこういうことかと納得した。 他のどの作家とも違う、型にはまらない構成。難解といえば難解。それでも文章はよみやすく、するすると読める。(翻訳の良さもかなり貢献していると思う) 例えば、一人の人物を描写するのに、その人の生い立ちや、好きな食べ物や、交際関係...
ノーベル賞受賞作家の作品とはこういうことかと納得した。 他のどの作家とも違う、型にはまらない構成。難解といえば難解。それでも文章はよみやすく、するすると読める。(翻訳の良さもかなり貢献していると思う) 例えば、一人の人物を描写するのに、その人の生い立ちや、好きな食べ物や、交際関係や家系など多様な側面から表現することができると思うが、それと同じことをポーランドのある田舎町について行ったようなイメージ。 その土地の伝説や聖人伝や最初に住み着いた人やドイツからポーランドに国籍が変わった歴史やキノコ料理のレシピなどについてのさまざまな断章が、それぞれの間には論理的なつながりはあまりなく、無造作にぶちまけられている。全体を読むことでその土地の人となりが四次元的に立ち上がってくる。 難しく、理解が及ばないところもあったが、気にせず文章に身を任せて読んでいればよく、なかなかに心地よい読書体験だった。 個人的には聖女伝をまとめる修道僧のエピソードを読むのが楽しかった。
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現代ポーランドの代表的小説家、オルガ・トカルチュクの長編第4作。 長編とはいうが、物語は100を超える短い断章からなり、それぞれがゆるくつながりあって構成される。 著者自身を思わせる「わたし」、近所に住む何某氏、飲んだくれのマレク・マレク、不思議な夢を見る銀行員、性同一障害を抱え...
現代ポーランドの代表的小説家、オルガ・トカルチュクの長編第4作。 長編とはいうが、物語は100を超える短い断章からなり、それぞれがゆるくつながりあって構成される。 著者自身を思わせる「わたし」、近所に住む何某氏、飲んだくれのマレク・マレク、不思議な夢を見る銀行員、性同一障害を抱える修道士と、中心に据えられる人物もさまざまである。描かれるものは日常生活の一コマであったり、料理のレシピであったり、古代の聖女の伝説であったり、過去の悲惨な体験であったり、こちらも多種多様だ。 舞台は辺境の街。国境辺くに位置し、古い歴史を持つが、取り立てて目立つところもない街である。 だがそこには確かに、積み重ねられた出来事が潜む。いわば土地の記憶とでもいうようなものが眠っている。 緑濃い森の中のように、密やかに、静かに、幾分の湿り気を持って。 物語のあちらこちらに顔を出すキノコのように、深く地中に菌糸を張り巡らせ、思わぬところに顔を出す。 ノスタルジックで温かい。けれどもどこかに絶望も潜む。人と人とは結局は真にわかりあうことがないものだから。そして生きていることはいつか死ぬことだから。キノコの毒がそれを思い出させる。 著者は詩人の眼を持つ。何気ない日常に、古い教会に、月の光に、著者の視線は深く降り注ぎ、今まで見たこともないような、それでいてずっと知っていたかのような世界を拓く。 読者は著者に導かれ、森に分け入る。豊かな旅である。毒キノコにご用心あれ。
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ポーランドとチェコの国境地帯にある小さな町、ノヴァ・ルダ。そこに移り住んだ語り手は、隣人たちとの交際を通じて、その地方の来歴に触れる。豊かな五感と詩情をもって、歴史に翻弄されてきた土地の記憶を幻視する。現代ポーランド文学の旗手による傑作長編。(e-honより)
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