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利休にたずねよ の商品レビュー

4.1

320件のお客様レビュー

  1. 5つ

    93

  2. 4つ

    136

  3. 3つ

    53

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

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2024/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

利休にとってあらゆるものたちが評価すべきもので、高麗の女性だけが対峙したい人で、もてなしたい人だったのかもなぁ、と思いました。

Posted byブクログ

2024/04/12

くらくらする。宮部みゆきの巻末の解説を読んで、よりわからなくなる。 妬みや欲は誰しも持っている。それを志にまで昇華させることができると、表面上たおやかで凛とした佇まいになる。 利休自身がそうであったように、宗恩や高麗の女も、おそらく欲を昇華し無欲にみせることのうまい女だった。...

くらくらする。宮部みゆきの巻末の解説を読んで、よりわからなくなる。 妬みや欲は誰しも持っている。それを志にまで昇華させることができると、表面上たおやかで凛とした佇まいになる。 利休自身がそうであったように、宗恩や高麗の女も、おそらく欲を昇華し無欲にみせることのうまい女だった。だから、互いに惹かれ合い、ただ実の心を見せることはできず離れ離れになってしまう。50いくばくかになって、しっかり恋をする利休や宗恩が美しかった。 利休が最後に腹を切ったのは、秀吉への抗いではなく、高麗の女を裏切ってしまったあの時に報いるためだったのではないか。利休はなぜ死んだのか。それが、題名の問いなのではないか。血の海にゆったりと白布をかける宗恩の姿が目に浮かんだ。 私は、死ぬ時に(死ぬ時に限らずとも)他の女のことを少しだって考えていられたら腹が立つ。後悔する気持ちも、過去においてきてほしい。そう思うのは心が女なんだろうか…

Posted byブクログ

2024/03/20

「利久にたずねよ」山本兼一著  秀吉の命で切腹させられた千利休の切腹から19の時の言葉も通じない高麗からさらわれてきた女との恋を時間を遡るような書き綴っている。  千利休がどれ程の美を追求したか、秀吉が利久の才覚を妬み死に追いやったかを小説にしている。  千利休は秀吉を品のない人...

「利久にたずねよ」山本兼一著  秀吉の命で切腹させられた千利休の切腹から19の時の言葉も通じない高麗からさらわれてきた女との恋を時間を遡るような書き綴っている。  千利休がどれ程の美を追求したか、秀吉が利久の才覚を妬み死に追いやったかを小説にしている。  千利休は秀吉を品のない人間と認識していたが、「人をとろかす魔力がある」と書いてます。恋も茶道も美学として作者山本兼一は捉えている。  解説で宮部みゆきは利久に多くの恋をしたが本当に愛したのは宋恩(最後の妻で後妻)と言っているが僕は19の時の高麗の女じゃないかと思う。

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2024/03/19

なぜ戦国時代に武力社会と対極にある静の文化、茶の湯がもてはやされたのか、そしてその中心人物とされる利休とは一体何者だったのか? 作者独自の視点で利休が自害するまでの経緯が解き明かされる意欲作で、第140回直木賞受賞作品。 本書には工夫がある。まず、秀吉から切腹を命じられる場面から...

なぜ戦国時代に武力社会と対極にある静の文化、茶の湯がもてはやされたのか、そしてその中心人物とされる利休とは一体何者だったのか? 作者独自の視点で利休が自害するまでの経緯が解き明かされる意欲作で、第140回直木賞受賞作品。 本書には工夫がある。まず、秀吉から切腹を命じられる場面からどんどん遡っていく倒叙法を採用している点、従って早くから利休が心底愛した一人の女の存在が明かされるが、そこまで辿り着くまでの長いこと、それだけにその女の登場には、「待ってました!」と膝を打つ。 また、「侘び寂び」という曖昧模糊とした概念を作者は本書のあらゆる場面で言語化しているが、それが取りも直さず権力者が茶道に傾倒する理由の説明にもなっている趣向。 そして白眉は、後半の「白い手」以後から始まります。明らかに小説としての面白度合いが違っており、作者自身が書きながら愉しんでいたに違いありません。 最後に蛇足、本書の解説は宮部みゆき氏ですが、宮部氏が願望を込めて言うように「利休が最も愛した女性は宗恩」ではなく、やはり高麗女でなければなりません。人は、存在しないものに余計に執着し、勝手に心中で美化する生き物だからです。とはいえ、肌身離さず利休が持っていた莫大な価値の高麗女の忘れ形見、緑釉の香合を躊躇なく粉々に砕いた宗恩の気持ちを考えると、「利休を最も愛した女」なら宗恩で間違いないでしょう。

Posted byブクログ

2024/03/03

気付けば3度目の再読。 利休の内に秘めているものの強さ、愛おしさ、儚さ。 宗恩の、嫉妬なのか悲しみなのか、怒りなのか。 何度読んでも、物語が美しいなと感じる。 利休に何をたずねて、そのこたえは何なのか。毎回謎解きな気分。

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2024/02/29

己の美学だけで天下一の茶頭へと昇りつめた千利休。しかし、その鋭さ故秀吉に疎まれ、切腹を命じられる。 肌身離さず持っていた緑釉の香合の秘密とは。研ぎ澄まされた感性と気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、いったいどのようなものだったのか。 茶道を大成し、茶聖と呼ばれた茶人・千利休と...

己の美学だけで天下一の茶頭へと昇りつめた千利休。しかし、その鋭さ故秀吉に疎まれ、切腹を命じられる。 肌身離さず持っていた緑釉の香合の秘密とは。研ぎ澄まされた感性と気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、いったいどのようなものだったのか。 茶道を大成し、茶聖と呼ばれた茶人・千利休と、彼を取り巻く人々について、千利休切腹の当日から19歳の若かりし頃まで、時代を逆行する形で描く時代小説です。 市川海老蔵さん主演で映画化もされた一作。 時代をさかのぼって書いていくことにより、後の(読者的には事前に読んだ)行動・言動に背景や伏線が生まれたり、逆により謎を際立たせたりしているのが上手いです。 ひりつくような美への執着や希求、それに対する周囲の妬みや羨望。どんな逆境でも折れない美学と自尊心。文章からも張り詰めた美しさを感じます。 タイトルである「利休にたずねよ」。読み終わった後、利休にいったい何をたずねたいかは人によって変わるかと思いますが、私はその美への情熱の根源をたずねてみたい。 あまり歴史に詳しくはないのですが、それでも読みやすく、一人の伝記やヒューマンドラマ、恋愛小説としても興味深く読めました。

Posted byブクログ

2024/02/26

茶の湯?武士のお気楽な愉しみ?ぐらいのアホな認識しか有りませんでした。ハズカシイ。 千利休という名前は皆が知っているけど、さてどんな人だったのかと問われると困ってしまう人物。 最後の日から周りの人の視点で遡り、浮き上がってくる利休。 作品内でもありましたが、「三毒の焔」を誰よりも...

茶の湯?武士のお気楽な愉しみ?ぐらいのアホな認識しか有りませんでした。ハズカシイ。 千利休という名前は皆が知っているけど、さてどんな人だったのかと問われると困ってしまう人物。 最後の日から周りの人の視点で遡り、浮き上がってくる利休。 作品内でもありましたが、「三毒の焔」を誰よりも熱く持ち、「美」へと昇華させたモノはなにか? 戦国から安土桃山時代はどうしても武将に目が向いてしまいますが、こんなにも熱くて魅力的な人物の物語を読めて感謝です。 利休にたずねることを、じっくりと考えてみたいと思います。

Posted byブクログ

2024/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史ものはほとんど読んだことがないのですが、フォロアーさんの書評を読んで、すごく興味がわきました。 読んで良かった!! ありがとうございます!! 利休の美に対する執念ともいえる追究と自負。茶の湯に感じさせる生命力。その根底に潜む緑釉の香合と美しい高麗の女の謎。時間を遡りながら徐々に明らかになっていく。 利休の人柄も周囲の一人一人の嫉妬と羨望の混じった話で明らかになっていく。 利休を疎ましく思い、切腹を命じた秀吉だが、時間を遡れば、少なからず理解しあえていた時があったように思えた。 最後まで読んで、切腹した利休や緑釉の香合を手にした宗恩の気持ちに思いふけりながら、また最初の利休が切腹する朝の話を読み返した。 「あの日、女に茶を飲ませた。あれからだ、利休の茶の道が、寂とした異界に通じてしまったのは。」 利休の切腹は秀吉の機嫌を損ねたためだが、憤慨しつつも利休はそれを望んでいたのではと思ってしまった。 利休にたずねても、はぐらかされるだろうなぁ。

Posted byブクログ

2024/01/02

利休はなぜ暗く狭い茶室にこだわったのか。利休の侘茶に顕れる艶はどこから生まれるのか。そして人知れず愛用する緑釉の香合の由来とは。 読み進めるうちにも現れくる多くの謎の答えを、利休の人生を遡るように辿っていく構成で、タイトルに成程と思わされる。元をたどれば1人の女に行き着くというの...

利休はなぜ暗く狭い茶室にこだわったのか。利休の侘茶に顕れる艶はどこから生まれるのか。そして人知れず愛用する緑釉の香合の由来とは。 読み進めるうちにも現れくる多くの謎の答えを、利休の人生を遡るように辿っていく構成で、タイトルに成程と思わされる。元をたどれば1人の女に行き着くというのがなかなかロマンチックだ。 美の判定者として君臨しつつ、ときに人々のあらぬ好奇心を誘った利休のいろいろな執着が、1つの思い出の中に収斂していくところが興味深かった。作中人物各々の利休に対する評がまたエピソードを引き立てていて良かった。

Posted byブクログ

2023/12/28

この時間的構造でなくても十分に面白かったと思うけど、先を読みたいという気持ちを保ち続ける面白さでした。

Posted byブクログ