群 の商品レビュー
“群”れる。 オーウェル「象を射つ」は群れと対峙する。 武田麟太郎「日本三文オペラ」は群れを観察する。 モーム「マッキントッシュ」は群れを操ろうとする。 でも、それだけではない物語で、短編ながら読後は重いものが残る。 モームは良いですねー。
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武田麟太郎を除き、オーウェルとモームはどちらも植民地の住民を「群」と捉え、彼らと対峙する宗主国の出先役人を主人公とする構造。 武田麟太郎はヒッチコックの裏窓よろしく、一棟のアパート住民の人間模様を捉えた短編。オチは少し笑える。43/100
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『人が集まるところ、何が起こるかわからない』 ジョージ・オーウェルのエッセイ『象を射る』 警察官としてビルマで過ごしていたこともビックリだけど、逃げ出した象の射殺までしていたなんて… 先頭でライフルを持っていて、後ろに2000人もの人が見ていたら、すごいプレッシャーだな〜
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「象を射つ」 私たちの周りには、象がたくさんいる。 集団の意志にあらがえず、傷つけ苦しめてしまう、象が。 己の残虐さに目を背け、最後がどうなるかを思うこともできず、しかたなかった、と弁解をする。 この小説は、苦しく悲しい。 傷つけられる象が悲しい。 己をしっかりと持てず、群れに流...
「象を射つ」 私たちの周りには、象がたくさんいる。 集団の意志にあらがえず、傷つけ苦しめてしまう、象が。 己の残虐さに目を背け、最後がどうなるかを思うこともできず、しかたなかった、と弁解をする。 この小説は、苦しく悲しい。 傷つけられる象が悲しい。 己をしっかりと持てず、群れに流されてしまう人間が、哀しい。 「日本三文オペラ」 ひとつの古ぼけた奇妙なアパートに、どこか奇妙な人たちが住んでいる。 その人間模様が面白い。 でも、こういう人たちはわりといそうだ。 喜劇か悲劇か、背中合わせか。 見ようによって変わるのか。 いや、喜劇だよな。 「マッキントッシュ」 下卑て尊大で、反感を感じる人。 でも、その反面、ずっと奥の方に純粋で神的な気持ちも持っている人。 そんな上司を持ったマッキントッシュの気持ちは、とてもわかる気がする。 だから、ピストルが無くなったときも、戸惑い、恐れ、守ろうともする。 実に人間臭い話だ、と思った。 様々な顔を持った、一筋縄ではいかぬ人間。 愚かで愛おしい。 面白い話だった。
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オーウェルの像を射つが気になったのでそれだけ読んだ。 何も力を持たない黄色い人間の群衆が背中に迫りくる。笑われたくないという理由で像を射った。群衆の持つ力とそれに圧倒されてしまう自分の弱さ。 自分は自分であるという確固とした意志が持てるようになるにはどれだけの強さが必要なのか。並...
オーウェルの像を射つが気になったのでそれだけ読んだ。 何も力を持たない黄色い人間の群衆が背中に迫りくる。笑われたくないという理由で像を射った。群衆の持つ力とそれに圧倒されてしまう自分の弱さ。 自分は自分であるという確固とした意志が持てるようになるにはどれだけの強さが必要なのか。並大抵の人には無理だろう。
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オーウェルの「象を射つ」、モームの「マッキントッシュ」が面白かった。 「マッキントッシュ」は南の海の島での白人植民地支配者の話なんですが、威張り屋で押しつけがましい、でも住民思いの行政官ウォーカーがなかなか魅力的。こういう人は当時の白人には少なかったのかもですが。
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百年文庫9冊目は「群」 収録は オーウェル「象を射つ」 武田麟太郎「日本三文オペラ」 モーム「マッキントッシュ」 いずれも初読だった。庶民のイメージを活写した「日本三文オペラ」と、「「官」と「民」のせめぎあい」が描かれるオーウェルとモームの短編。オーウェルとモームをこの枠で並...
百年文庫9冊目は「群」 収録は オーウェル「象を射つ」 武田麟太郎「日本三文オペラ」 モーム「マッキントッシュ」 いずれも初読だった。庶民のイメージを活写した「日本三文オペラ」と、「「官」と「民」のせめぎあい」が描かれるオーウェルとモームの短編。オーウェルとモームをこの枠で並べるとなんだかイギリスの古典小説っぽいなと思う。そういえばちょっと前に読んだコンラッドもそうで、イギリス国外が舞台だ。 「マッキントッシュ」が特に面白かった。名短編「雨」を思い出させるような構成。『1Q84』も読んだところだし、オーウェルの『1984』もどこかで読みたい。
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象を撃つ/オーウェル 日本三文オペラ/武田麟太郎 マッキントッシュ/モーム 第一作のオーウェルに釣られて手に取ったらモームの短篇が面白かったです。 群=大衆の力ということだがそんなにブラックでもない(いやブラックユーモアだが笑)
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- ネタバレ
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群衆、大衆がもつ不気味な力…。そんなテーマで集められたアンソロジー モームの「マッキントッシュ」が好み。…やはり鬱っぽい話が好きなんだな。人間の価値って「誰にとっての?」っていう問いかけありきの不安定なものなのかも まぁ現実的ん考えれば金銭的に換算することも可能ではありますが。 「日本三文オペラ」は群像劇ってかんじ。
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百年文庫、五冊目は「群」。 群衆の持つ力、群衆の生活、群衆がいる光景。 オーウェル『象を射つ』 植民地時代のインドで、警官の職についていたイギリス人の男。 象が暴れているとの知らせを受けて、護身用のライフルを手に現場へ向かうが…… 「土人」に過ぎないはずの群衆の力に押され、「...
百年文庫、五冊目は「群」。 群衆の持つ力、群衆の生活、群衆がいる光景。 オーウェル『象を射つ』 植民地時代のインドで、警官の職についていたイギリス人の男。 象が暴れているとの知らせを受けて、護身用のライフルを手に現場へ向かうが…… 「土人」に過ぎないはずの群衆の力に押され、「主」であるはずの白人が、望まぬ行為を強いられる瞬間。 武田麟太郎『日本三文オペラ』 墓地の隣に立つ、3階建てのボロアパート。風呂トイレ共同、プライバシーは無いも同然。 アパートの住民たちのそれぞれの生活と、その中での奇妙な関わり合いを、オムニバス映画のようなリズムで映す作品。 モーム『マッキントッシュ』 南の国の小さな島に、行政官の助手として駐在するマッキントッシュ。彼は自分の上司に内心辟易していた。 彼の上司は島を暴君のように取り仕切っており、そのうえ酒浸りで横柄な男だった。 ある時上司は島の住民たちに卑劣な方法で道路整備の仕事を押し付ける。 そのあんまりなやり方と、日頃の恨みから、ついにマッキントッシュは大胆な行動に出る…… 「象を撃つ」は、群衆の力によって主従が逆転してしまう、印象的な場面を描く。 社会からの圧力により、望まれた人格を演じなければならない様は、『1984』を思い出させますねぇ。 「日本三文オペラ」は、とにかくきったねぇアパートでの暮らしが見どころ。 職場の労働闘争の処理に追われる男とか、旅芸人の一座とか、あらゆるシーンに昭和を感じます。 「マッキントッシュ」は群衆よりも、マッキントッシュ君と上司の2人に焦点を絞られる。 マック君はいつも冷静で、黙々と仕事をこなすタイプの男。それに対して上司の彼は、とにかく自分勝手で下品なおっさん。マック君からすれば嫌悪の対象。 そんな大ッ嫌いなオッサンなのに、いざ、ラストシーンに臨むと……。 人というものを、海面に見えてる氷山の一角からしか判断しようとしないのも、「汝」ではない、「群」の作用の妙ですかね。
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