武道的思考 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
まず驚いたのは、著者の内田樹氏は合気道6段だということ。 ずっと社会学系の教授だと思っていたのでかなりびっくりしました。 著者の考える武道の目的は、「生き延びること」だといいます。 それは単に戦場でだけという話ではなく、生活全般の話としてとらえられております。 例えば、江戸時代の武士は、余計なリスクを負わないために用事のないところへは出かけなかったそうです。 また、歴戦の戦士であった東郷平八郎は、「わずかな兆候から次に起こりそうなことを予見する能力」に秀でていたそうで、目の前の道に荷馬がいるのを見て道の反対側によけて通ったといいます。 それを見とがめた同僚が、「武人が馬を恐れて道を避けるとは何事か」というと、東郷は、 「万が一馬が暴れてけがをして、本業に障りがあれば、それこそ武人として目も当てられない」 といったそうです。 このように本書では、著者の武道に対する考えや、他の専門家との対談での気づき、その他社会学的な考察など、いろいろな話が1コラム3-4ページ程度でまとめられています。 著者の「避けられる争いは避ける」というスタンスはしなやかで興味深いと感じました。 本書の中では、白黒つけなくてもよいものを無理に決めつけることの危険性について何度か言及されているように思えました。 例えば、死んでいるけどまだ死に切っていない生死における第3の状態としての葬儀の重要性であったり、グローバル化した世界においてもう未知の領域は存在しないとする考え方に対する警鐘だったり、相手に妥協しないアメリカの外交戦略であったり・・。 あんまり正論が過ぎると生き延びる確率が下がるから気を付けようというのが著者のメッセージだと自分は感じました。
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思わず「なるほど!」という内容が多い。この方の「武道とは?」に対する答えは読んで長年の胸のつかえがとれた気がした。ただし、惜しむらくは文章があまり私の好みじゃないので正直読むのがちょっぴりしんどかった。
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日本人の口にされない国是は「アメリカと戦って、次は勝つこと」 至言だ笑 おれもそう思う笑 てか俺もそう思ってたわ。
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いかにして心身のパフォーマンスを高めるか。 いかにして合理的に最適なアウトカムを達成するか。 いつも勉強になります。
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むちゃくちゃおもしろかったー。 思わずたくさん引用登録。 合気道やってみたい。。。。。。。。。 とおもってとうとう道場に体験にまで行ってしもた。
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生きるとは変化するということである。そして変化の仕方の多様性は、そのまま「生きる力」に相関する。自己同一的であることに固執する生物は「生きる力」を失う。 全員が満足するような解が見つからない問題については、「全員が同じ程度に不満足なあたりを『おとしどころ』にする」、全員が同じ程...
生きるとは変化するということである。そして変化の仕方の多様性は、そのまま「生きる力」に相関する。自己同一的であることに固執する生物は「生きる力」を失う。 全員が満足するような解が見つからない問題については、「全員が同じ程度に不満足なあたりを『おとしどころ』にする」、全員が同じ程度痛む和解案を探すこと。 知識としてではなく、考え方の指針を提示する、著者のエッセイ集です。
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先生にサインしていただいた本は、なかなか読むのがもったいないような気がして今までお蔵入りしていたのですが、さすがにいつまでも読むのを我慢していることもできず、一気読みしました。 「ブリコルールの心得」、「甲野先生の最後の授業」、「無敵の探求」、「ヴォーリズ建築における学びの環境」...
先生にサインしていただいた本は、なかなか読むのがもったいないような気がして今までお蔵入りしていたのですが、さすがにいつまでも読むのを我慢していることもできず、一気読みしました。 「ブリコルールの心得」、「甲野先生の最後の授業」、「無敵の探求」、「ヴォーリズ建築における学びの環境」、「どうして日本軍は真珠湾を攻撃したのか」などが、特に面白かったです。
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社会学者、教育学者、哲学者・・・実際には何をやってる人なのかよく知らないのだけれど、そして愛国否定がややヒステリックに感じられなくもない姿勢が少し好きじゃないのだけれど、元大学教授の内田樹(たつる)先生のご本業は「武道家」(本人談)。面白かったです。
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作者は武道の目的とは 「生き延びること」 といい、武道経験者なら「わかる、ソレ!」という内容の 武道的な話題からだんだん政治的な話題へと幅広く扱われている。 途中から何の本読んでたかわからなくなってきたりも しましたが、「目的」は筋が通っていたように感じます。 以前、糸井重里さ...
作者は武道の目的とは 「生き延びること」 といい、武道経験者なら「わかる、ソレ!」という内容の 武道的な話題からだんだん政治的な話題へと幅広く扱われている。 途中から何の本読んでたかわからなくなってきたりも しましたが、「目的」は筋が通っていたように感じます。 以前、糸井重里さんが作者の本を読むと まるで自分の考えのように思えてくるような 危険さがある、と言われているくらい文章に力がある。 作者のブログの更新についていけない方には 調度良い入門になるかもしれない一冊です。
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少しでも武道をかじったことのある身でありながら、今まで如何に浅薄な知識しか持っていなかったかということを思い知らされたということと同時に、先人達がつくってきた武道がどれほど奥深いかということが改めて思い知らされました。 武道の目的は「生き延びる」ことであると語られていますが、脳科...
少しでも武道をかじったことのある身でありながら、今まで如何に浅薄な知識しか持っていなかったかということを思い知らされたということと同時に、先人達がつくってきた武道がどれほど奥深いかということが改めて思い知らされました。 武道の目的は「生き延びる」ことであると語られていますが、脳科学、生物学等あらゆるものを使って解説していただいていることに本当に感謝です。このような解説がなければ先人の知恵は、戦国時代には通用したものであり、現代には現代風にアレンジしないと行けないものなんだろう程度にしか認識し得なかったです。 今一度武道の奥深さに触れ、再度武道を始めたい気持ちになりました。 [目次] 第1章 武道とは何か? 第2章 武道家的心得 第3章 武道の心・技・体 第4章 武士のエートス 第5章 二十一世紀的海国兵談 あとがき 「武道的」ということ
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