“科学の発想"をたずねて の商品レビュー
本書は、冒頭のドイツ人医学者、ベルツの印象的なスピーチから始まる。「私の見るところでは、西洋の科学の起源と本質の関して日本人では、しばしば間違った見方がとられているように思われます。日本の人々はこの科学を、一年にこれだけだけの仕事をする機会であり、どこか他の場所へたやすく運んで、...
本書は、冒頭のドイツ人医学者、ベルツの印象的なスピーチから始まる。「私の見るところでは、西洋の科学の起源と本質の関して日本人では、しばしば間違った見方がとられているように思われます。日本の人々はこの科学を、一年にこれだけだけの仕事をする機会であり、どこか他の場所へたやすく運んで、そこで仕事をさせることのできる機械であると考えています。これは誤りです。西洋の科学の世界は決して機械ではなく、一つの生命なのでありまして、その成長には他のすべての姓名と同様に一定の気候、一定の大気が必要なのであります。」このスピーチに本書で作者が述べたかったこと全てが詰まっていると感じる。科学の成長は、時代背景、特にその時代の哲学感に影響を受けてきた。特に、第二次世界大戦時期の原爆の開発と、世界の動向が印象的だった。 もしあの時代に、原爆の開発がなされていなかったら、広島に原爆は投下されていなかっただろうか、と考えると、タイミングというものの不思議さに恐ろしさを覚える。
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