輝く断片 の商品レビュー
輝く断片 スタージョンは「人間以上」を昔読んだのを思い出しました。普通の人から見ると知能的に劣っている人たちが実は特殊な能力の持ち主で、彼らがお互いの能力を統合した時。。。というお話だったと思います。 この短編集でも、「ルウェリンの犯罪」や「輝く断片」は知能が劣った人々のちょ...
輝く断片 スタージョンは「人間以上」を昔読んだのを思い出しました。普通の人から見ると知能的に劣っている人たちが実は特殊な能力の持ち主で、彼らがお互いの能力を統合した時。。。というお話だったと思います。 この短編集でも、「ルウェリンの犯罪」や「輝く断片」は知能が劣った人々のちょっと怖くて悲しいお話です。 そうかと思うと、「取り替えっ子」や「ミドリザルとの情事」などのライトでコミカルなお話も入っています。 ”奇想コレクション”というシリーズにふさわしい内容です。 でも、何でかはわかりませんが、読み続けるのに忍耐力がいりました。訳の問題なのか、雰囲気の問題なのかはわかりませんが。。。 竹蔵
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全体を通して読むと、最初の3篇とそれ以降の毛色がちがうことに驚く。 最初の3篇はライトで足取りも軽く、笑えるディテールもありながら結末まで連れて行ってくれる。読後も爽快で、もう一度読み返したくもなる。 特に「取り替え子」の、人間が赤ん坊を大事にしすぎるとーあるいは邪険にしすぎるとー取り替え子があらわれ罰をあたえる。っていう設定はユーモアが効いてて、この短編全体を、奥行きのある物語にしていると感じた。 で、それ以降の短編は、ドロッとした人間の感情(わかりたくないけどわかる黒い共感とでもいおうか)、と生傷を見せつけられているような緊張感がある。 後半の「マエストロを殺せ」はページをたぐるのを止めらないほど面白かった。持つ者の嫌味ない正しい生き方と、持たぬ者の劣等感にまみれた生き方の、対比を軸に見事に描かれていて、そのテクニックに脱帽した。
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前半読んでいてハマらなくて、数年積読にしていたが読了。後半の短編の方が印象深い。 少し不思議な話、という趣きのものが多く、後半は一つ一つの話が重かった。 個人的に好きだったのは「マエストロを殺せ」。バンドの設定が30〜40年代くらい?で想像し易くよかった。 柳下毅一郎さん、こんな...
前半読んでいてハマらなくて、数年積読にしていたが読了。後半の短編の方が印象深い。 少し不思議な話、という趣きのものが多く、後半は一つ一つの話が重かった。 個人的に好きだったのは「マエストロを殺せ」。バンドの設定が30〜40年代くらい?で想像し易くよかった。 柳下毅一郎さん、こんなの訳してるんですね。
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短編集、8編収録。 ファンタジー系コメディといえる「取り替え子」、艶笑譚SF?な「ミドリザルとの情事」、侵略SFをおちょくったようにも思える「旅する巌」で油断させておいて、「君微笑めば」以降の5編でこの作家の”ヘン”さが如実に表れて来る。 スタージョンの描く愛は、男女間のそれや家族愛、友人愛といったものとは異なる生々しいもの、異様な“何か”……とは誰かの評だったけれども、確かにと頷ける。 スタージョンの作品にはMajorityへの恐怖と疑義、MinorityやOutsiderへの共感が描かれている―とはいうけれども、個人的にはそんな優しいものにはとても思えず、サイコホラーの先駆ともいえる「君微笑めば」以降の5編は、むしろ広義のモンスター小説のようにすら感じられる。「ルウェリンの犯罪」はネット上の書評を見ると これが好きというレビューをかなり見かけるのだが、自分にはこの主人公がどうにも不快で、かつ意味不明で怖いという感想しか持てなかった。
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奇想コレクション 「輝く断片」雨の夜、瀕死の女を拾い介抱する清掃員の男の狂気に満ちた行動が印象に残る。
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「不思議のひと触れ」に続く大森望セレクション第2弾であるが,「不思議の〜」よりも更に奇妙さが増している感じ.特に,全8編中の後半4編はいずれも他人には理解できない理由やきっかけで狂気が発現する,後味が悪い話.一方,最初の3編はフィリップ・K・ディックの短編のようだった.
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色んな味わいの、でもおおざっぱにはミステリになるのかな、短編集。一筋縄でいかない、不気味な雰囲気が自分好みのこともあり、概ね楽しめました。一番印象に残ったのは、マエストロの話かな。やっぱり、たまにはミステリも良いものですね。
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笑えるものから切ない怖いものまで、ちょっと不思議で変な物語ばかり短編集。 初めの二作品「取り替え子」「ミドリザルとの情事」はともに奇妙な味わいでちょっと笑える。爽やかな読後感で面白いです。特に後者、予想できない展開から、性同一性障害への偏見に対する皮肉をこめた作品かと納得しかけた...
笑えるものから切ない怖いものまで、ちょっと不思議で変な物語ばかり短編集。 初めの二作品「取り替え子」「ミドリザルとの情事」はともに奇妙な味わいでちょっと笑える。爽やかな読後感で面白いです。特に後者、予想できない展開から、性同一性障害への偏見に対する皮肉をこめた作品かと納得しかけたら、さらに超展開で一瞬ぽかんとして、オチを確認して、なるほど傑作だと唸った。 後半の三作は、繊細で孤独な男たちの屈折した感情や狂気を、切なく破滅的に描く犯罪小説で、これまた傑作ぞろい。 『マエストロを殺せ』は、今回一番好き。音楽小説で犯罪小説。音楽グループの中で、卑屈な主人公が天才でイケメンで人当たりもいいリーダーであるラッチを殺してしまう。しかし、ラッチを殺してもラッチの影響は消えることがなく。いい人の保護下から抜け出したい主人公のどろどろした感情が小気味よいリズムで語られる。 『ルウェリンの犯罪』ルウェリンは、自分にも実はこっそり悪い秘密があるんだぜということを生きがいにしている善人。自分の悪い秘密が勘違いだったと気づいたとき、彼はワルにならなくてはという強迫観念に落ちていく。いくらがんばっても周りがいい人扱いするのが笑えるけど切ない。 『輝く断片』瀕死の女性を拾い懸命に手当てする男性。「おれ、全部やる」誰かに必要とされたいという思いが彼を偏執的なまでの看病と世話に駆り立てる。やがて来る彼女との別れの時、彼の取る行動は。
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前半3作品のアップテンポなコメディ色と後半のダークさの違いが大きい。マエストロを殺せが白眉の出来映え。語り口・落ちともにずしんと響く。輝く断片は少し受け付けず。
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『取り替え子』〜『旅する巌』までは(かろうじて)普通のSF短編集として読める。が、『君微笑めば』からいよいよこの短編集の本領といえる「異常心理」の色が強くなり始め、なんだかライトな入り口にまんまとだまされた感じ。緻密で、時に変質的とすらいえる心理描写にはぐっと引き込まれる反面、読...
『取り替え子』〜『旅する巌』までは(かろうじて)普通のSF短編集として読める。が、『君微笑めば』からいよいよこの短編集の本領といえる「異常心理」の色が強くなり始め、なんだかライトな入り口にまんまとだまされた感じ。緻密で、時に変質的とすらいえる心理描写にはぐっと引き込まれる反面、読後の疲労感もひとしお。良くも悪くも、非常に濃い作品集。
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