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恐竜はなぜ鳥に進化したのか の商品レビュー

3.9

19件のお客様レビュー

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2024/08/27
  • ネタバレ

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恐竜はなぜ鳥に進化したのか ―絶滅も進化も酸素濃度が決めた この本の主題は、”酸素濃度の変化が進化の重要な引き金になった”ということです。 酸素濃度はカンブリア紀からオルドビス紀にかけての低酸素状態からシルル紀の高酸素状態へ、デボン紀の低酸素状態から石炭紀・ペルム紀の高酸素状態へ、そして、三畳紀・ジュラ紀・白亜紀に再び低酸素状態となり、現在に至る第三紀の酸素濃度21%になったという研究結果から、カンブリア紀の大量絶滅を経ての進化の大爆発やシルル紀・デボン紀の高酸素濃度の助けを借りた陸上へ上陸、ペルム紀の大量絶滅と、ジュラ紀の低酸素濃度による恐竜の繁栄などに関して多くの仮説を立てながら、進化の流れをなぞっています。 それは、鰓による酸素呼吸の誕生にはじまり、より呼吸効率の良い三室心臓(爬虫類・両生類)から四室心臓(哺乳類・鳥類)へ、肺胞式(哺乳類)から隔壁式(鳥類)へと進化して来た酸素濃度の変化に適用するための進化と密接に関係した流れとなっているという仮説から成り立っているものです。 大いに勉強にはなりましたが、苦言としては教科書みたいでとても退屈でした。各章にその時代の海中や陸上の動植物の様子を描写していますが、それだったら一枚の想像図の方が説得力もあって良いような。。。 あと、仮説が山のように出てきますが、その仮説の証明が中途半端で、何が証明済みで何が未証明なのかが判らない点もX。特に恐竜が温血なのか?や鳥と同じ隔壁式の肺を持っていたのか?などは結局どちらが結論かよくわかりませんでした。 なるほどと思った内容は、”爬虫類は走りながら呼吸をすることができないので、獲物を追跡することができないため、待ち伏せして捕食するしかない?”という点です。これで、どこまでも蛇やオオトカゲに追っかけられる夢を見ずにすみます。でも、恐竜が温血動物だったら、蛇やオオトカゲの代わりに恐竜がどこまでも追いかけてくる夢に変わるだけかもしれませんが。。。 いろいろと難はありますが、酸素濃度に着目した壮大な進化のゲームの戦略に関してまとまっているためになる本ではあります。 竹蔵

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2020/01/17

酸素濃度の高低が生物相に様々な影響を与えたとする仮説。 高酸素では多様性が、低酸素では異質性が増大されるという仮説だが、幅広い現象に対して辻褄が合っていて面白い。 外的要因が多すぎて酸素濃度の一択で論じるのは簡素化しすぎた感もあるが、タイムスリップして現在とは違う地球を想像させた...

酸素濃度の高低が生物相に様々な影響を与えたとする仮説。 高酸素では多様性が、低酸素では異質性が増大されるという仮説だが、幅広い現象に対して辻褄が合っていて面白い。 外的要因が多すぎて酸素濃度の一択で論じるのは簡素化しすぎた感もあるが、タイムスリップして現在とは違う地球を想像させたり、時代を追ってまとめて説明されているので読み物としても面白い。 今では使われない哺乳類型爬虫類との表記が説明に使われていてややこしかったり、初期の恐竜がすでに気囊を持っていたかについて章によって違った立場をとっていたりする難点はあり。 鳥盤類は骨の構造から気囊では無かったということは、もともと持っていた最強の呼吸方法を退化させたということなのだろうか。 魚竜と首長竜、モササウルスはそれぞれ違う時代に別の爬虫類が海棲に回帰した?ため肺呼吸なのか、その違いが絶滅を乗り越えられなかったのだろうか・・どのタイミングから内温性が出現したのかも非常に証明が難しいところ。低酸素の時代がそんなに長期間に渡ったのであれば、気囊以外にも様々な呼吸法が進化してきていても良かったような気もする。 捕食圧や温度など自然淘汰で注目される環境に、今後は酸素濃度にもっと焦点を当てても良いと納得させられた。実際にカンブリア爆発も呼吸への対応がメインだったのかもしれない。

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2017/01/17
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2010年刊。◆酸素濃度(CO2濃度も)は、地質学的スパンで見れば乱高下していた(原因は種々)。その乱高下の中、生物は大量絶滅を来たし、逆に内部器官(特に酸素抽出器官)を進化・適応させて繁栄してきた。この過程を主にカンブリア大爆発から白亜紀の恐竜絶滅まで論じる(それ以降や未来像は少)。説得力ある良書、鳥類・鳥類の祖先たる恐竜が低酸素適応をしていた点は興味深い。◇なお、地質学的スパンで見れば現在の二酸化炭素増加現象は大したことはないらしい(ただし、CO2増加が人類生存に問題がないとは断じれないのは当然)。 また、こんな想像も楽しい。恐竜の二足歩行化は爬虫類における低酸素適応であり、肺構造の革新的進化を招来した(この進化は鳥類に継受)。一方、今から五百万年前は酸素濃度28%で現代より高比率だったらしいが、その後、低酸素化の昂進。そもそも、ホモサピエンスの二足歩行化も概ね同じ時期であり、これとの関連性は?。チンパンジーと人との酸素活用率の違いは?。実は、ヒトは酸素濃度の薄い高地に取り残された可能性?。高地・低酸素に適応後、酸素濃度の相対的に高い低地に移動し、脳容量の巨大化を招来?。 なお、「全地球凍結仮説と全地球凍結後の進化の大爆発」という見解と本書の酸素濃度乱高下の進化への影響仮説との関連性、異同、理論としての優劣関係については興味深いところ。

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2014/11/07
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[ 内容 ] なぜ、鳥はヒマラヤ山脈の上を苦もなく渡っていくのか? 答えは恐竜の生まれた時代の酸素濃度にある。 地球誕生以来、大気の酸素濃度は一定ではなかった。 高酸素時代に繁栄した生物も、低酸素時代には一掃される。 最新の研究によってわかった過去6億年の酸素濃度の推移グラフによって、進化の謎を解き明かす。 [ 目次 ] 第1章 哺乳類の呼吸とボディ・プラン 第2章 地質年代における酸素濃度の変化 第3章 カンブリア紀大爆発はなぜ起こったのか 第4章 オルドビス紀―カンブリア紀爆発の第二幕 第5章 シルル紀=デボン紀―酸素量の急上昇が陸上進出を可能にした 第6章 石炭紀=ペルム紀初期―高酸素濃度・火事・巨大生物 第7章 ペルム紀絶滅と内温性の進化 第8章 三畳紀爆発 第9章 ジョラ紀―低酸素世界における恐竜の覇権 第10章 白亜紀絶滅と大型哺乳類の台頭 第11章 酸素の未来を危ぶむべきか? [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

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2014/10/11

なんとも面白く読める本。 内容は、地球上の生物の進化や絶滅には大気に含まれる酸素濃度が影響している、とのこと。 読了後、その考えに納得している自分がいるのも不思議な感じ。とても説得力がある仮説の一つじゃないかな。

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2014/08/15

前適応とは、ある適応された形質が形作られる場合に、以前から存在した別の機能を持つ形質が用いられたことを指す。 前適応の例は、恐竜から鳥へ進化した経緯が分かりやすい。 恐竜は、数億年前、生物の大絶滅で酸素が急激に減った環境から生まれた。 そのため、恐竜は低酸素の環境でも生存できるよ...

前適応とは、ある適応された形質が形作られる場合に、以前から存在した別の機能を持つ形質が用いられたことを指す。 前適応の例は、恐竜から鳥へ進化した経緯が分かりやすい。 恐竜は、数億年前、生物の大絶滅で酸素が急激に減った環境から生まれた。 そのため、恐竜は低酸素の環境でも生存できるように、気嚢と呼ばれる優れた酸素ガス交換機能を持つようになり、その機能が鳥にも引き継がれた。 実際、鳥を解剖してみると、気嚢とよばれる器官が肺から体中に伸びていて、新鮮な酸素を体中に行き渡らせることができているらしい。 その機能のおかげで鳥は、ヒマラヤの高山の空という低酸素の空間でも飛ぶことができる。 更に、小型化した恐竜は体温を維持するために、羽毛を持つようになった。 その羽毛が翼に進化して、鳥は飛べるようになったという説がある。 この考え方と地球大気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の歴史と絡めて、仮説として提示したのがとても面白い。 ITの地殻変動はどこで起きているのか?~チケット駆動開発が進むべき道: プログラマの思索 http://forza.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/it-aeb8.html

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2013/10/06

途中まで読んだが、面白くない!というか分かり辛い!最終的な結論も予測できるので、多分続きはもう読まない。

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2013/02/19

原題はOut of Thin Airなのでややミスリーディングな邦題なのだがちゃんと釣られたのでよしとします。 この10年ほどのシミュレーションの進化で古生代の酸素濃度が分かってきておりそこから出た仮説。 曰く酸素濃度の変化に適応するように進化や絶滅が起こった。平地のほとんどの生...

原題はOut of Thin Airなのでややミスリーディングな邦題なのだがちゃんと釣られたのでよしとします。 この10年ほどのシミュレーションの進化で古生代の酸素濃度が分かってきておりそこから出た仮説。 曰く酸素濃度の変化に適応するように進化や絶滅が起こった。平地のほとんどの生き物は高山での活動に対応出来ないので、大幅な酸素濃度の低下が絶滅と関わると言う仮説は説得力がある。 原始的な動物は酸素を直接細胞に取り込んでいるがこれは効率が悪く、次にエラが発生した。カンブリア紀の大爆発で節足動物が生まれたが、体節ごとに左右各2本の脚が有り一つはエラ、もう一つが移動用と言うのが共通して見られるデザインだ。水中は空気中より酸素濃度が低いが二酸化炭素が速やかに排出されるという利点もある。エラの進化は水の流れと逆向きに血液が流れることにより、血中に溶け込む酸素を増やしていく。 二酸化炭素濃度が高く暑い地上では植物が大型化したがそれに伴う根の発達は無くすぐに倒れ地中に埋没する。腐敗せずに炭化しこれが石炭の元になるとともに酸素濃度が上昇する。 未発達な肺でも高い酸素濃度下で生き延びる事ができ、地上に動物が増えて行く。後に酸素濃度が低下すると多くの生物が絶滅したが、一部は適応進化を遂げ効率的な呼吸システムを作り上げて行く。一つはポンプ式の哺乳類などの肺であり、もう一つは鳥類の気嚢と隔壁式の肺である。また心臓は静脈血と動脈血が混ざらないように進化した。 肺の効率に限れば鳥類が哺乳類より明らかに優れており、空気の薄い高空を飛ぶという非常にエネルギーを使う行為を可能としている。秘密は肺の中を空気が一方向に流れ、血液が逆向きに流れること。ポンプ式の肺では一呼吸の間に新鮮さが薄れるのに鳥の肺は常に新鮮な空気と接触する。 一部の恐竜はこの鳥と同じ肺を持っていたらしいことが化石からわかってきている。暖かい三畳紀の恐竜は外温性で優れた呼吸システムを持つものが有利で大型化したというのが著者の説である。恒温動物は基礎代謝が高く外温動物より多くのエネルギーを必要とするし、暑い気候で大型化すると熱の発散からも不利になる、また一部は比較的過ごしやすい海に戻ったようだ。三畳紀の終わりに酸素濃度が低下すると多くの動物が絶滅し種の数を減らしたが優れた呼吸システムを持つ竜盤類恐竜は多くが生き延びジュラ紀は恐竜の天下となる。そして恒温性を獲得した恐竜から鳥類が派生し高空を飛ぶようになる。 酸素濃度が低下するとそれに適応するように新しい形質を獲得するように進化が進み、酸素濃度が上昇すると同じ系統に属する種が増大するというアイデアをベースに豊富なデータを元に新しい進化論が提唱された。

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2017/10/26

地球誕生以来、大気の酸素濃度は、一定ではなかった。昆虫が、陸上へ進出する時代は、酸素濃度は低く、地上は植物で覆われていた。当然、二酸化炭素濃度が高くて温暖である。動物のサイズを決める重要なファクターは、呼吸システムなのだ。酸素を身体の最深部まで、到達させるためには、昆虫の拡散とい...

地球誕生以来、大気の酸素濃度は、一定ではなかった。昆虫が、陸上へ進出する時代は、酸素濃度は低く、地上は植物で覆われていた。当然、二酸化炭素濃度が高くて温暖である。動物のサイズを決める重要なファクターは、呼吸システムなのだ。酸素を身体の最深部まで、到達させるためには、昆虫の拡散という呼吸法では、サイズが限定されてしまう。大気の酸素濃度が、今以上に高くなれば、大型の昆虫も出現するのだとか。 動物の中でも、鳥類は酸素濃度が低くても、生命に極端な影響を受けないらしい。酸素濃度が、低い時代のシステムをそのまま継承している。同じ時代に生きた恐竜も、低酸素時代に出現し、酸素濃度が高い時代には、体が巨大化した。鳥類と恐竜は、呼吸システムが同じであり、恐竜の中にも、骨の中が空洞の種類もいたのだとか、恐竜が鳥に進化したとしても、不思議ではないと結論づける。

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2012/08/01

仮説ではありますが、地球上の酸素濃度を切り口とした生物進化について書かれたこの本はなかなか面白かったです。

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