財政危機と社会保障 の商品レビュー
15年くらい前の本なので民主党政権の頃の内容になってます ただこの問題は残念ながら今も色褪せることなく当たり前のように残ってるなあと思います。 安易で無責任な「中福祉・中負担」 少子高齢化が爆速で進んでいますが年金にしても医療制度にしても対症療法を超えてないように思います。 ま...
15年くらい前の本なので民主党政権の頃の内容になってます ただこの問題は残念ながら今も色褪せることなく当たり前のように残ってるなあと思います。 安易で無責任な「中福祉・中負担」 少子高齢化が爆速で進んでいますが年金にしても医療制度にしても対症療法を超えてないように思います。 まあ年金制度を賦課方式から積立方式に変えるのはとても大きな痛みを伴うので現実的には不可能かなと思います。 順繰りに給付費を減らして保険料を上げるのを団塊世代がいなくなるまで続けるんでしょうね。 医療制度についても医師不足が病院とクリニックの診療報酬が同じやというところに起因しているとは知りませんでした。 まあ確かに今は差もついてきてますが微々たるものですしどちらかというと総額を減らすために入院費を減らしてきたなあと思います。 この辺は本書にも書かれているように日本医師会が開業医の団体であることに大きく影響されてるんやろなあと思います。 開業医がどこで開業しても同じ報酬単価なら客の多い都市部に医師が集中するのは当然と言えば当然かなと思います。 まあ莫大な時間やお金をかけて医師になってるので適正に儲けてもらうのは必要やなとは思うのです。 そうしないとそもそも志望する人がいなくなってしまいますよね。 国家公務員総合職みたいに。 「強い社会保障」ではなく「身の丈に合った社会保障」 本書を読むとこれまでの「高度成長モデル」を維持するのは不可能やなと感じます。 「高コスト体質」 「護送船団方式」 「低料金」 「既得権益の結びつき」 といったシステムを維持するだけのパイの拡大は見込まれないということだと思います。 著者は改革を進めるために混合診療のような「規制緩和」を進めて消費者の選択を進めるとともに特定の使途にしか使えない「バウチャー」の発行をセットにすることが求められると書かれています。 これは今も進んでいないので有効やろなと思います。 特に必要な報酬の底上げをして生活困窮者のような支払えない可能性がある場合には補助としてのバウチャーを発行するのは十分に有効な制度やと思います。 少し古い本でしたが今も解決できていない課題が挙げられていたのでとても参考になったと思います。
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この本はよく調べられている。元々経済・財政の専門家であった著者が、社会保障についても詳細に調査分析し、わが国財政の最大の部分である社会保障制度について問題点を的確に示している。今まで感じていたことが、はっきりと明確になった。問題点を踏まえ、提言もなされており納得できるが、あまりに...
この本はよく調べられている。元々経済・財政の専門家であった著者が、社会保障についても詳細に調査分析し、わが国財政の最大の部分である社会保障制度について問題点を的確に示している。今まで感じていたことが、はっきりと明確になった。問題点を踏まえ、提言もなされており納得できるが、あまりに問題が大きすぎるため、確かに正論ではあるが実施に際しては既得権益を有する組織の猛反発や巧みな反対工作にあい、実現は極めて困難であろう。わが国の政治に期待することは所詮無理で、亡国の歩みを止めることはできないと半分あきらめの気持ちになった。
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日本の社会保障制度は、①公費漬け、補助金漬けの「高コスト体質」、②参入規制、価格規制に守られた悪平等の「護送船団方式、③多額の公費投入による見せ掛けの「低料金」、④天下りや利権を介した業界団体と官僚、政治家の強固な「既得権益の結びつき」といった特徴を持つ「高度成長モデル」のままで...
日本の社会保障制度は、①公費漬け、補助金漬けの「高コスト体質」、②参入規制、価格規制に守られた悪平等の「護送船団方式、③多額の公費投入による見せ掛けの「低料金」、④天下りや利権を介した業界団体と官僚、政治家の強固な「既得権益の結びつき」といった特徴を持つ「高度成長モデル」のままであって、このままでは財政的に維持不可能であり、社会保障費抑制に軸足を置いた改革が必要であると主張している。当時の菅内閣が標榜していた「強い社会保障」ではなく、「身の丈に合った社会保障」が求められるとしている。 著者の日本の財政や社会保障制度に対する認識、今後の処方箋については、おおむね正論だと感じた。 ただ、医療、介護などの料金が低すぎることによって過剰利用が生じているという指摘については、生命、生活に直結する医療や介護の性格からいって、価格を上げて需要を抑制することは必ずしも正しくはないのではないのではないか(重い症状であっても低所得者は受診を我慢するような事態につながるのではないか)という感想を持った。価格ではなく、別の政策的誘導で、「コンビニ受診」や「過剰投薬」のような問題については対処すべきではないかと思った。
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民主党政権時代に書かれた本ですが、筆者の鈴木さんが指摘していたことが、ようやく世間一般にも問題視されてきたと思いました。社会保障の論点整理ができました。
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少し前にtwitter上で誰かが良書と言っていたので、社会保障や財政に関して思うところがあって手に取ってみた。 著者は元日銀の調査員で計量マクロモデルを行っていた人らしい。 そこから社会保障を学ぶために大学院に行ったという経歴。 内容は2010年の出版なので、当時の民主党政権の話が多いのだが、根底に横たわる財政問題と社会保障問題に関しては今もなお、根強く残っているので、問題ないと思う。 目次としては以下の通り。 【目次】 第一章 「日本の借金」はどのくらい危機的なのか? 第二章 「強い社会保障」は実現可能か? 第三章 世界最速で進む少子高齢化、人口減少のインパクト 第四章 年金改革は、第二の普天間基地問題になるか 第五章 医療保険財政の危機と医師不足問題 第六章 介護保険財政の危機と待機老人問題 第七章 待機児童問題が解決しない本当の理由 第八章 「強い社会保障」ではなく「身の丈に合った社会保障」へ 奇しくも来年度の予算案が先日審議に通ったわけだが、そこをちょっと見てみる。 http://www.asahi.com/business/yosan2014/ このリンクがグラフィカルでわかりやすい。 社会保障費は1.3兆円ずつ固定で伸びると著書で指摘されているが、概ねその通り推移しているようだ。一般会計上は支出は抑えられているように見えるが、簿外にも計上されている負債もあるというし、年金の積立不足による表面化されていない膨大な債務もあるということだから、なかなか余念は許されない。 本書において、管政権における増収と強い社会保障の否定は、現自民党政権下におけるアベノミクスにおける景気回復で筋道を立て、消費税増税によって多少改善は見られているようだ。 後は、社会保障関係費の圧縮推進とプライマリーバランスの見直し(どうやらこれは国際公約になっているらしいことを本書で知った)を推進してもらいたいところだ。 目下においては、2020年の東京オリンピック招致成功における公共事業の拡大による雇用創出は見込めるため、もうしばらくの維持はできるだろうが、増税における消費の冷え込みなども懸念されるので、早めの展開を期待したい。 世代間格差の件は個人的にはおそらく解決できないので、本書のハードランディングシナリオのいずれかによって解決するだろうと思うが、どうなのか。。 いずれにしても、良書だったので、新書だし、読んでみると良いかも。
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財政面からの切り口はわかりやすいが、制度の運用上ではそれが適当であるとは必ずしも言えないのでは、というものもある。
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「手厚い社会保障と低負担は両立しえない」という当たり前のことを、なぜ両立しえないのか説明した書。 代替案として提示されている年金賦課方式は真剣に考える余地があると思われる。
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社保に公費が投入され、価格ダンピングが起き、過剰な手厚い保護によって運営非効率となり、受益者も見せかけの安いか買うに満足して見直しには猛反発。市場原理の重視による解決は当然考えられることである。 筆者の主張は明快ではあるが低所得者への救済の点など確かに粗さはある。
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GDPに対する国債費比率が突出して世界最悪の日本。ギリシャの二の舞を演じなければならない日が目前に迫っている。国債の元凶は社会保障費。医療、介護、保育産業には多額の公費が投入されており、料金の低さが国民のコスト意識を狂わせ旺盛な需要を生み出し、社会保障費は毎年1.3兆円もの自然増が見込まれている。医療費のダンピング、とりわけ児童医療費ゼロ制度は小児科に診療の大名行列を生み出し過重な労働条件が医師の小児科離れを進行させ、今、深刻な医師不足を生ぜしめている。また、認可保育所の保育料ダンピングは入所できない低所得者層と入所できる中所得者層の格差を拡大し、保育料ダンピングの根源である認可保育所の補助金漬けの高コスト体質は、新たな保育所の建設の大きな障害となっている。しかも、医療、介護、保育分野は高い参入障壁により新規参入は徹底的に拒まれ既得権益が強固に守られている。医療などは自由診療がほとんど認められていないため、効率的なサービス、より良い治療のインセンティブが働かない。多少の藪医者であれば、いつまでも世にはばかることができる。生産年齢人口が激増し右肩上がりに高度成長を遂げる日本は既に終焉を迎えている。最早これまでのような社会保障費の大盤振る舞いは望めないことを深く自覚しなければならない。将来の投資である公共事業には未来の潜在成長力を押し上げ成長の果実が実る可能性があるが、将来に借金を回しての社会保障拡大は単なる需要の先食い、基本的に刹那的消費拡大に過ぎない。少ない貯蓄をさらに食べ尽くす浪費行動である。また、日本の少子高齢化の進展スピードは世界に類のないものであり、高福祉社会の北欧は既に少子高齢化が終章に入っており安定期を迎えようとしている。即ち北欧社会をお手本にすることはできないということである。どこの国もやったことのないハイペースで社会保障改革を進めていかなければならない。年金、医療保険、介護保険までが賦課方式という安易な財政方式を選んだ当時の政府の責任は重い。業界、官僚、政治家のみならず、高齢者、一般国民までが強固な既得権益者となっていることが、日本の社会保障構造改革を難しくさせている。しかも日本の社会保障制度は中間所得層にも富の再分配が行われており、低所得層に対する再分配より大きいため、驚くべきことに、所得格差を寧ろ増幅させている。公費に塗れ自律的な成長が期待できない社会保障費の拡大は成長戦略から最もかけ離れた政策である。安易な公費投入を即刻やめるべき。高齢化に伴う自然増だからなどという希薄な根拠を理由に毎年1.3兆円もの社会保障費の自然増は絶対認めるべきではない。とはいうものの選挙が至上命題の代議士の皆さん方が大鉈を振るうことはまずないのであろう。おそらく、国債の日銀引き受けという事態を経て第二のギリシャにならなければ性根はつかないのだろう。ああ何とも嘆かわしい限りである。
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震災前、2010年の本。 当時のバカ菅首相の社会保障政策をテーマに、医療・年金・介護・保育といった分野がいかに持続不可能で、将来に向かって破滅の道を突き進んでいるかを、かなり噛み砕いて論じてます。やっぱり既得権益を保持しようとする層の厚さと政治的影響力って凄いのね、ということを再認識できます。 この本の出版当時は、消費税アップを謳った民主党が選挙で大敗した直後だったので、著者は「消費増税はしばらくはパンドラの箱として、与野党ともに触れずに2013年の衆院選までダラダラ行くだろうけど、それでは間に合わないぐらい状況は切迫している」と述べてます。それに合わせて、実現できそうな対策についても私見を紹介しています。 が、3月11日の震災以降、その様相が一変したことによって、良書と言って好いと思うこの本で紹介されている「処方箋」が、もはや今の日本社会には適用できなくなってしまったかと思われるのが残念なところ。 著者の最新の論点が2011年に出ているので、現状を踏まえ、そちらも読んでみたいと思わせる書籍でした。
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