財政危機と社会保障 の商品レビュー
日経「アソシエ」で紹介されており、興味があったので、教養のために読んでみた。医療・介護・保育の現場で起こっている「低価格での供給」⇒「過剰需要の発生」⇒「供給者の不足」という問題に関しては、国民の立場として考え直すべき点であり、非常に納得させられた。 少子高齢化が謳われているが、...
日経「アソシエ」で紹介されており、興味があったので、教養のために読んでみた。医療・介護・保育の現場で起こっている「低価格での供給」⇒「過剰需要の発生」⇒「供給者の不足」という問題に関しては、国民の立場として考え直すべき点であり、非常に納得させられた。 少子高齢化が謳われているが、持続可能な対応策をとっていかないと、将来への安心は訪れないと感じます。(もう手遅れかもしれませんが)
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財政問題と社会保障問題の2本立ての本。 筆者は、「財政も大変だし、その原因に社会保障があるよ」って言っている。だから、社会保障はしっかりと考えなきゃって述べている。 全体的には、財政問題に関しては、その問題の本質を究明するような姿勢はこの本からは期待できず、あくまでも社会保障を論じるための餌として述べている程度なので、いささか中途半端である。というよりは、少し詐欺まがいな気がする。しかし、社会保障の記述に関しては、初学者に向けて書いているという言っているだけあって読みやすく理解もしやすいと思う。 つまりこの本は、社会保障の概略を知るための本であって、財政問題をこの本から学ぼうとしてはならないし、逆に情報不足である。
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『201202 経済強化月刊』 著者の私見が色濃く出ているので注意が必要。社会保障について常識的なことも理解していなかった私なので、制度的な部分に関しては勉強になったが、主張については完全に鵜呑みにする訳にはいかないだろうと感じた。 著者が経済畑の人なせいか、市場の競争原理を...
『201202 経済強化月刊』 著者の私見が色濃く出ているので注意が必要。社会保障について常識的なことも理解していなかった私なので、制度的な部分に関しては勉強になったが、主張については完全に鵜呑みにする訳にはいかないだろうと感じた。 著者が経済畑の人なせいか、市場の競争原理を評価し過ぎというか、信頼し過ぎなきらいがある。 例えば、医療機関への競争原理の導入を奨めているが、病院の経営重視が強まれば、回転率を上げるために入院患者を早期退院させたり、必要以上の通院・投薬推奨という状況が想像される。 また、医療費自己負担の増加は、低所得者層は必要な治療を我慢してしまい、医療格差が広がるのでは?もちろん、安いからといって大して必要もないのに医療を受ける人が多いというのも問題なので、落とし所が難しいのは確か。 アメリカの医療問題を考えると(自分も聞きかじった程度だけど)、著者の考えはちょっと安易だなあと感じる所がある。 また、自己負担額等は中高所得者の負担を増やす累進制にするべきという主張について。 それは賛成なんだけど、いかんせん、中高所得者は「高い税金・保険料を支払っているのに、それに見合う社会保障がないのはおかしい」という考え方なので、噛み合わないこと甚だしい。 著者は、その分高品質の介護・医療サービスを選べる利点があると述べているけれど、実際の所大部分の人にとっては選ぶ余地なんてほとんどないというのが現実だろう。
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今年(2012)の4月で社会人になって25年目になります、確か国民年金の支給要件が最低25年間支払うことだったと記憶していますので、そろそろ資格を得られそうです。 またこの数年間に、少なくとも2回は年金定期便が郵送されてきたのを記憶しています。その通知には現時点でもらえる予定...
今年(2012)の4月で社会人になって25年目になります、確か国民年金の支給要件が最低25年間支払うことだったと記憶していますので、そろそろ資格を得られそうです。 またこの数年間に、少なくとも2回は年金定期便が郵送されてきたのを記憶しています。その通知には現時点でもらえる予定の国民年金と厚生年金の額が記載されていました。 その額で生活できるかどうかも不安でしたが、それ以上に不安なのは、本当にその額が支給されるかどうかです。現在は65歳支給開始ということになっていますが、いずれ繰り下げか減額になる可能性もあります。 この本は、現在話題となっている財政危機が今後の社会保障(年金や健康保険)に与える影響を解説していますが、私の親たちとは異なって、自分で何等かの年金を準備しておく必要がありそうですね。 以下は気になったポイントです。 ・年金制度のうち、全国民に共通する一階部分の「基礎年金制度」は、保険料で賄われているのは半分で、残りは国庫負担という形で税金が投入されている(p26) ・戦後の日本で幸いだったのは、戦後のインフレにより国際価値が急落して、事実上、国債が償還された、1945秋から1949春までに物価が98倍になった(p32) ・2010年度の経済財政白書も、国債の国内保有率と国債金利の間に何の関係もない、保有者は機関投資家なので、リスクを感じたら一気に売られることになる(p53) ・強い社会保障は、GDP成長率をむしろ低めにしてしまう(p73) ・日本全体の金融資産の5割は上位1割が、8割は上位3割が保有している、このような資産家達は公的年金額が多少増えても、影響を受けない(p78) ・日本の医療、介護、保育産業は、多額の公費投入によってかろうじて支えられている、公費投入により保険料や自己負担のダンピングが行われている(p82) ・2010年現在、生産年齢人口はすでに8100万人で、1985年頃の水準になっている(p103) ・公的年金はもともと「積立方式」(厚生年金:140兆円、国民年金:10兆円はその名残)であったが、高度経済成長時代に、保険料を低く年金を手厚くするということで、いつの間にか「賦課方式」に移行した(p120、138) ・公費投入率は、国民健康保険、後期高齢者医療制度は約半分、医療保険は4割、介護保険は6割、基礎年金は半分で、社会保障費全体では3割以上が公費負担(p123) ・年金制度は、予想外に長生きしてしまった倍でも生活費が枯渇しないように掛けておく保険であり、権利ではない(p132) ・巨額の積立金は失われ、差し引きで800兆円(厚生年金:690、国民年金:110兆円)もの積立金は浪費されてきた(p139) ・現行の後期高齢者医療制度は、2013年に廃止され新たな制度になることが予定されている(p165) ・病院の小児科医を疲弊させているのは、児童の自己負担額低下の影響がある(p169) ・介護産業は公費投入率が大きいため、医療産業以上の大変な料金ディスカウントが行われている(p182) ・介護ヘルパーの賃金引上げができなかったのは、介護報酬という公定料金に、介護産業の料金価格が固定されていたから、2006年の介護報酬改定において介護報酬を大きく引き下げたので介護労働力不足をさらに悪化させた(p188) 2012年1月22日作成
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現行の社会保障が共通して抱える問題がよくわかった。 書かれている内容が年金、医療、介護、保育と多岐に渡っているため一つ一つを細部まで議論しているとは言えないのだろうけど、それぞれが抱える問題に目を通すのにはよいと思う。
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自分も、負担増か保障を減らすかのどちらかだと考えていたので、著者の現実的な論調に共感できた。この人が考える年金の改革案について、知りたくなった。国民が覚悟を持って動かないと、日本は近いうちに非常に生きづらい国になるだろう。
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身の丈にあった社会保障や、現在の社会保障制度が高度経済成長を前提にしたシステムという主張など納得できるところもあれば、首をひねりたくなる箇所もあり、事実ではないのでは?と思うところもあります。 ちなみに筆者はもともと経済学の分野の方のようです。 福祉分野の方の社会保障についての本も読んだ上で、社会保障について考えたほうがいいと感じました。 この方の主張のみで、社会保障を理解したとは思わないほうがいいと思います。
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現在我が国が抱える財政問題に社会保障の問題を関連させて論じている。現在の両者の問題を包括的に理解するにはもってこいの著作。
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1970年生まれの著書の本。 作者を年代で分けるのは、ある意味では先入観かもしれないが、難しい話をわかりやすく語る世代が次々と生まれてきていることを実感した良書だった。 財政危機や社会保障については、それぞれの専門家がいろいろな歴史、他国との比較で述べることはあるが、全体を俯...
1970年生まれの著書の本。 作者を年代で分けるのは、ある意味では先入観かもしれないが、難しい話をわかりやすく語る世代が次々と生まれてきていることを実感した良書だった。 財政危機や社会保障については、それぞれの専門家がいろいろな歴史、他国との比較で述べることはあるが、全体を俯瞰して、その問題性を指摘している点は非常によいと思った。何か魔法のような処方箋があるわけではなく、メリット・デメリットを比較して、国民がどのような方向に進むべきなのかが問われていると思うが、そのための議論が決定的に欠けている。 政治家が選挙のために、耳に痛い言葉を封印して、その場その場で政策を決めてきたツケが今、すべての原因だと思う。 議論のためにはまず同じ土俵にのるための資料などが必要であり、そのような資料を新書1冊で提示している。 まずは騙されたと思って1冊読んでみることをお勧めします。議論はそれからでも、いくらでもできますから。
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社会保障と財政。その両方の分野にやってくる危機の実態とその対処法を明らかにした本。 900兆円を超える額の日本の国債の95%は内国債であり、1400兆円あまりの個人資産によって買い支えられている。そのため日本が直ちにデフォルトに陥ることはまずないと思われる。 だが、少子高齢化を迎え、社会保障費が膨れ上ってくることを考えると、このままのペースでの債務比率拡大は危険である。景気が上向いた時点で財政再建をすることが欠かせない。 全体として医療、保育、介護など社会保障に関わる分野の規制緩和と構造改革を進めるべきという論調が強い。その前提の下で、著者は日本の社会保障制度の特徴として、 ① 国民皆保険 ② 職業別の制度分立(厚生年金と共済年金など) ③ 賦課方式(財源を現役世代が拠出) ④ 過度の公費依存 ⑤ 高コスト体質 ⑥ 強い価格規制・参入規制 ⑦ 政治的圧力を行使する業界団体 ⑧ 天下りの多さ といったものを挙げる。多くは高度経済成長期に構築されたシステムである。 例えば菅首相は今年の参院選に臨んで消費税増税で「強い社会保障」という指針を掲げた。税収で医療・介護産業に財政支出することで産業とGDPの両方の成長をするものある。 だが、著者はこの分野は競争や参入の規制が強く、財政支出を行っても社会保障費が浪費される可能性が高いことを指摘する。同時に規制緩和と構造改革で潜在成長率を上げる方が良いと主張する。 所々頷けるところはありましたし、社会保障分野にはメスを入れるべき部分は多い。だが、規制緩和と構造改革ありきの論調には少し首をかしげてしまった。
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