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あの夜、君が泣いたわけ の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2021/09/14

・障害者の妊娠、堕胎 ・手話が必要なのは、聴覚障害者だけのためではない ・手足が不自由な車椅子の医師が、トイレの後のお尻を拭くのを、見知らぬ人に頼む 等、衝撃的な話でした。私たちは、もっと色んなこと色んな人がいることを知らなければならないと思いました。筆者も、多くの人に会うことで...

・障害者の妊娠、堕胎 ・手話が必要なのは、聴覚障害者だけのためではない ・手足が不自由な車椅子の医師が、トイレの後のお尻を拭くのを、見知らぬ人に頼む 等、衝撃的な話でした。私たちは、もっと色んなこと色んな人がいることを知らなければならないと思いました。筆者も、多くの人に会うことで、日々学んでいるのだと思いました。 印象に残ったところ。 ○私たちはみんな利己的な磁場の中で生きている。知らず知らずのうちに利己的なものの考え方をきてしまうものだ。 ○風を切り、前だけむいて速いスピードで走っていると見えないことが、ゆっくり歩いていると見えてくる。速さや強さだけでは、幸せの大きさは計れない。 ○「誰ひとり自分の力だけでは生きていけない。」どんなに努力をしてもどうにもならないことが、時として人生には起きる。しかし、できないことが恥ずかしいのではない。弱いところや足りないところを持っている人々が支え合って生きている。それに気づかないことの方が恥ずかしいのではないか。誰だってひとりでは生きていけないのだ。ふだん、私たちはそれを気づかずに生きているだけなのである。 

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2018/07/25

野沢さんがこれまで障がいとどう向き合ってきたのか。 その想いと悩みが込められた話だなあ。 1人の人として障がいに真剣に向き合っている様子というと、なんだか苦悩してモノクロの世界のように感じてしまっていたが、野沢さんの文章はなんだかパステルカラーの世界に見えた。 障がいを通じて見...

野沢さんがこれまで障がいとどう向き合ってきたのか。 その想いと悩みが込められた話だなあ。 1人の人として障がいに真剣に向き合っている様子というと、なんだか苦悩してモノクロの世界のように感じてしまっていたが、野沢さんの文章はなんだかパステルカラーの世界に見えた。 障がいを通じて見える世界にこそ、キラキラとした人間の生きるという世界が見えているように思えた。 生きるってことは、すごく素晴らしいなあ。 p134 「生きているというそのこと自体の幸福をどうして私たちは感じることができなくなったのだろうか。」

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2012/10/23

いろいろな障害者のかたのお話で。。 以前に読んだ、安富さんの本で 社会のセンサーとしての障害者の方 という話を思い出しました。

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2012/03/10

意識的に飾られた文が鼻に付き理解を邪魔しているけれども、それさえ取り除ければ個性と客観性が両立していて活きた情報をもらえる本だと思う。 一人一人の歪みを抑え込んだ社会の歪みによる抑圧があるからこそ人間が問題意識を自覚して活きていけるのだとも思う一方で、食うために生きている分けで...

意識的に飾られた文が鼻に付き理解を邪魔しているけれども、それさえ取り除ければ個性と客観性が両立していて活きた情報をもらえる本だと思う。 一人一人の歪みを抑え込んだ社会の歪みによる抑圧があるからこそ人間が問題意識を自覚して活きていけるのだとも思う一方で、食うために生きている分けではないと思う。 社会が妄想する恐怖感が押し付けてくる競いと争いと言う理不尽な過剰ストレスを省いて、大自然に添う集いを創り続けたい。

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2011/12/17

【読書その105】100冊目でも著書を読んだ毎日新聞論説委員の野沢和宏氏の本。野沢氏には知的障害と自閉症を持つお子さんがいる。障害を持つ子供の親の立場から書いた文章は、本当に一言一言が重く、心を激しく揺さぶられる。時折、涙ぐみながら読んだ。たくさん思うことがあり、色々ありすぎて、...

【読書その105】100冊目でも著書を読んだ毎日新聞論説委員の野沢和宏氏の本。野沢氏には知的障害と自閉症を持つお子さんがいる。障害を持つ子供の親の立場から書いた文章は、本当に一言一言が重く、心を激しく揺さぶられる。時折、涙ぐみながら読んだ。たくさん思うことがあり、色々ありすぎて、本書全体の感想をうまくまとめきれないが、心に残った2つを紹介したい。 1つ目は、野沢氏が紹介した柔道家の山下泰裕氏の話。柔道界の伝説的なヒーローである山下氏。自分自身も知らなかったが、彼には自閉症のお子さんがいるという。その子供の存在が、山下氏の生き方、見方を変えた。その子供は人とコミュニケーションを取るのが大の苦手。しかし、大変親切で正直で嘘がつけない。人に喜んでもらうことが大好き。彼が考えていることや気持ちはいつも表情に出る。その子の存在が、山下氏に相手の立場にたって考えること、弱い立場、ハンディを背負っている人について考える大切さを気づかせてくれたという。山下氏は、「人間誰しも素晴らしいところ、足りないところがあり、誰ひとり、自分の力だけでひとり生きていけない。我々は、お互いを支えながら生きている。障害をもった人と接し行動することが、我々に、我々が持っていながら、しかし、いまの競争社会の中で失いかけている優しさや思いやりの心を呼び起こしてくれる」という。これを読んで本当に感動した。そのとおりだと思った。 もう一つは、「自立」についての野沢氏の問いかけ。何もかも自分の力でできることが自立なのか。あらゆることを完璧に自分一人でできる人はいない。できないこと認め合い、できないと勇気を持って言えること、SOSを聞いたらすぐに手を差し伸べてくれる人が近くにいること。それが群れをつくってしか生きていけない人間という生き物にとっての「自立」ではないかという。非常に根源的な問いかけである。それは障害者福祉だけの世界だけではない、普遍的な問いかけである。

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2011/02/20

野沢さんの本はこれまでいくつか読んでいる(『シカゴの夜から六本木の朝まで』とか『わかりやすさの本質』とか)。野沢さんはPandA-Jの編集長でもあり、Sプランニングの本もいくつか(ちょうど図書館の相貸で『親』が届いたところ)。毎日新聞の人なので、署名記事も読んだことがある。 ...

野沢さんの本はこれまでいくつか読んでいる(『シカゴの夜から六本木の朝まで』とか『わかりやすさの本質』とか)。野沢さんはPandA-Jの編集長でもあり、Sプランニングの本もいくつか(ちょうど図書館の相貸で『親』が届いたところ)。毎日新聞の人なので、署名記事も読んだことがある。 昨日ぶらぶらと図書館の棚を見ていたら、野沢さんのこの本があって、こんなん出てたんやと借りてきた。新聞や雑誌に書いたものや書きおろしをまとめた本だという。 帰ってきてちょっと読んでみたら、そのまま最後まで読んでしまった。はっと気づいたところ、大笑いしたところ、私がこれまでに会ったことのある自閉症の人の顔を思い出しながら読んだところ、そんなこともあるのかと初めて知ったこと…。 「チョコレート」の話、それと通学路にある青果店の話がとくによかった。養護学校へ向かう住宅街の入り口に店を構えるその店のおじさん、おばさんは、「おはよう~」と声をかけ、生徒たちと挨拶をかわし、「いつも元気だねえ~」と声をかける。あるときおじさんが体調を崩して店のシャッターがしばらく下りていたとき、おじさんの病室には生徒たちの寄せ書きが飾られ、おじさんは、看護婦さんから「あら、学校の先生だったの?」と言われたと照れるのだった。 障害者への差別をなくす条例がこの国で初めてできた千葉県で、野沢さんは条例原案をつくる研究会に加わっていた。その際の、「みなさんのための通訳でもあるのに、どうして私ばかりがいつも手話通訳を連れてこなければならないのだ」と訴えた聴覚障害の委員の発言に、野沢さんはじめ、他のほとんどの委員が首をかしげ、わからずにいた。その委員の訴えの意味が、野沢さんにも分かる場面がやってくる。シンポジストも会場の人たちも手話で話し、野沢さんだけが手話が分からず、みなが何を話しているのか皆目分からずにいた。まったく話が分からない打ち合わせの場面で、手話通訳はいないのかとあせり、本番で自分のための「手話からの音声通訳」がいる会場に入って、野沢さんは「みなさんのための通訳でもある」という訴えの意味が分かったという。 自閉症をもつ子と生きてきて、野沢さん自身が「親」として感じたこと、たとえば青い芝の「母よ、殺すな」という訴えについて感じてきたこと、脳性まひ者から「親は嫌いだ。障害者を管理し束縛しようとする。親こそ権利侵害者だ」と言われて「障害者」といっても千差万別だなあと思ったこと、そんなことも書かれている。 いい本だった。時間をおいて、またゆっくり読みたいと思う。

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2010/11/16

筆者である野沢さんと同じで私にも自閉症で言葉の無い長男がいる。現在少し離れた施設に入っており、一ヶ月に一度家に連れて帰っている。送って行く時に、施設に着いても降りようとしないが、無理やり降ろしている。泣かないので後ろめたさは少ないが、本人はどんな気持ちなのであろうか。それを考える...

筆者である野沢さんと同じで私にも自閉症で言葉の無い長男がいる。現在少し離れた施設に入っており、一ヶ月に一度家に連れて帰っている。送って行く時に、施設に着いても降りようとしないが、無理やり降ろしている。泣かないので後ろめたさは少ないが、本人はどんな気持ちなのであろうか。それを考えると悲しくなってきた。きっと言いたいことはたくさんあるだろうに。 野沢さんは親の気持ちを代弁してくれている面もあるが、時々それは親の気持ちの内面を見透かしているようでもありドキッとさせられる。一気に読みたくなる本であった。

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