サステイナビリティ学(4) の商品レビュー
少々古さを感じるが、生態系と持続可能な社会を軸に自然共生社会について論じた素晴らしい教科書である。里山の再評価に役割を果たした専門家による執筆であり、本書で示される「過度の利用や未利用がもたらすバランスの崩れを是正することをめざした、新たな人間・自然関係の構築への意思表明」(p9...
少々古さを感じるが、生態系と持続可能な社会を軸に自然共生社会について論じた素晴らしい教科書である。里山の再評価に役割を果たした専門家による執筆であり、本書で示される「過度の利用や未利用がもたらすバランスの崩れを是正することをめざした、新たな人間・自然関係の構築への意思表明」(p98)としてのSATOYAMA思想の提唱は非常に意義があると思われる。生物多様性目標を有効に達成するには農地などと近接ないし包摂する二次的自然の再生が重要だとの指摘も重要。一方で、再発見したはずの里山に関する歴史学的・民俗学的な洞察が少々乏しいようにも思われた。本書は人口減少に多くの分量を割いているものの、やはり難しい問題が山積しているという印象をもった。序章にある「自然共生社会とは何か」という問いを歴史的・文化的文脈で考察しつつ、現代の社会・経済活動をより鋭く射程に入れることが必要であるように感じられる。人材育成の面では、グローバルな視点で分野横断的な知識をもちつつ、特定の専門分野に深い知識を有するとともに地域固有の文脈を重視できる「二重の意味でのT型人材」という視点が興味深い。
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