冠・婚・葬・祭 の商品レビュー
今年初読書! 昨年末読んだ「ちいさなおうち」が非常に好きな雰囲気だった中島京子さんの作品を借りてきてみました。 本作も行事の中に少しのミステリーが入っていて読みやすかったです。 この人はどんな人物なんだろう?と思う箇所が多かったです。 私は「この方と、この方」が一番面白く読み...
今年初読書! 昨年末読んだ「ちいさなおうち」が非常に好きな雰囲気だった中島京子さんの作品を借りてきてみました。 本作も行事の中に少しのミステリーが入っていて読みやすかったです。 この人はどんな人物なんだろう?と思う箇所が多かったです。 私は「この方と、この方」が一番面白く読みました。 お見合いをコーディネートするおばさん(おばあさん?!)の話なのですが、こういう職業の人って結構大変なんだろうなぁと感じながら。 お見合いって本気で結婚したい人にはいい制度なのでしょうが、短期決戦という雰囲気には面食らいました。一生のことを短期で決めるって…。まあ、こういう考え方自体が現代的だからこそ、お見合いの数が減っているのでしょうけれどね! ラストの「最後のお盆」は、ちょっとゾクッとしました。 誰が生きていて誰が甦ったの?! ドキドキ…。 私は短編はあまり全部のお話が印象に残らなくて好きではないのですが、中島京子さんの作る雰囲気は大好きなので、長編をもっと読んでみたいと思います。
Posted by
Posted by
私の好きな「FUTON」や「イトウの恋」は、何でもないところで、クスッと笑える表現があって大好きなのだが、残念ながらそういうのはなし。でも、読み進めるうち、主人公たちのどこか諦めつつ、それでも丁寧に生活している様が、心地良くなってきた。 「この方と、この方」の“お見合いとはこうい...
私の好きな「FUTON」や「イトウの恋」は、何でもないところで、クスッと笑える表現があって大好きなのだが、残念ながらそういうのはなし。でも、読み進めるうち、主人公たちのどこか諦めつつ、それでも丁寧に生活している様が、心地良くなってきた。 「この方と、この方」の“お見合いとはこういうもの”という説明に、目からウロコ。
Posted by
職場の上司からお借りした本。 中島京子さんの本は初めて読むけども、 筆致が優しくて読みやすかったです。 冠婚葬祭は人生の節目に重要な儀式ですが、 昨今そういったものが軽視される風潮であることも事実です。 お盆に親戚一同で集まるなんて、 あと20年後にはなくなっているかもしれ...
職場の上司からお借りした本。 中島京子さんの本は初めて読むけども、 筆致が優しくて読みやすかったです。 冠婚葬祭は人生の節目に重要な儀式ですが、 昨今そういったものが軽視される風潮であることも事実です。 お盆に親戚一同で集まるなんて、 あと20年後にはなくなっているかもしれません。 でも、本当はそういう血の繋がりを意識するっていうのは、 長い歴史の中の自分の座標を見つめなおすと言う意味で、 重要なものなんじゃないかと思ったりします。 そんなことに気づかされた作品でした。
Posted by
4編がそれぞれ冠婚葬祭、成人式、結婚、葬式、お盆にまつわる物語です。 中島さんは日常に存在する物を描きます。でも、そこに有る物をそのまま描いてもつまらない。正面から描くのなら、多少はレントゲン的視点で、あるいは正面から視点をズラすことで、普通の人である読者が面白く感じる物語になり...
4編がそれぞれ冠婚葬祭、成人式、結婚、葬式、お盆にまつわる物語です。 中島さんは日常に存在する物を描きます。でも、そこに有る物をそのまま描いてもつまらない。正面から描くのなら、多少はレントゲン的視点で、あるいは正面から視点をズラすことで、普通の人である読者が面白く感じる物語になります。 中島さんの面白さは、その視点のズレ方のようです。普通なら少し上から鳥瞰的にとか、斜め横から斜に構えてとか、いっそ裏面から・・なんて予想します。でも中島さんのズレ方は、角度は大きくは無いのだけ、どこか予期せぬ方向にズレていて、それが何とも言えないユーモアに繋がっているようです。 面白いですね。
Posted by
中島京子さんの新刊を(ちいさいおうち=彼女の著作は初です)読んでみようと図書館で予約したら、すごい待ちだったので、 とりあえず他の本を読んでみようと、これを借りてみた。 「冠・婚・葬・祭」にまつわる、4つの短編。期待以上に良かった。 最初のは「あれ、イマイチなの借りちゃったかな」...
中島京子さんの新刊を(ちいさいおうち=彼女の著作は初です)読んでみようと図書館で予約したら、すごい待ちだったので、 とりあえず他の本を読んでみようと、これを借りてみた。 「冠・婚・葬・祭」にまつわる、4つの短編。期待以上に良かった。 最初のは「あれ、イマイチなの借りちゃったかな」なァんて思ったが、以降3篇は良かった。 一番最後「最後のお盆」が一番好き。 「この方と、この方」も「葬式ドライブ」も良かった。 あまり若い方より・・アラフォーとか・・・?・・・両親の介護・葬式、自分の老い(そこまでいかなくても「あァ、年とったな、オバサンになったな」とか思う方)を感じる年代のほうが、この小説は面白いんじゃないかと思います。 結構おススメです。
Posted by
冠婚葬祭をモチーフにした短編4話。 冠婚葬祭を迎える本人が主人公かとおもいきや、そうでもない。切り口がおもしろかったが、全体的に毒にも薬もならない内容といった感じ。しかしながらその淡々と過ぎていく感じが良かった。
Posted by
小さいおうちが図書館でなかなか借りれなかったので、 文庫でこちらを購入。 薄いし読みやすかった。
Posted by
4つの作品の連作。他の作品の端役が他で主役になる、という構成と、作中でかつてのある時代をかなり精緻に思い起こさせるという得意な手腕を発揮して、さりげないのに、凝ったつくりだなあ、と感じさせる。 この人は、物語内に、別の時代を流すのがうまい。今やそれが特徴と言えるかもしれない。 ...
4つの作品の連作。他の作品の端役が他で主役になる、という構成と、作中でかつてのある時代をかなり精緻に思い起こさせるという得意な手腕を発揮して、さりげないのに、凝ったつくりだなあ、と感じさせる。 この人は、物語内に、別の時代を流すのがうまい。今やそれが特徴と言えるかもしれない。 「この方と、この方」には、かつていい若いモンがプラプラしていると世話焼きおばさんや世話焼き親戚が現れて見合いを設定し、結婚へと片付けていくことが有効だった時代、「どこかできちんとなにかをあきらめて、おさまるべきところへおさま」っていた時代を流し込む。 「最後のお盆」では、近所の人が大した用もなくフラリとやってきて縁側に座り込み、お茶を飲み飲み世間話をしていく、という風景が日常だった時代。 「こうやって、ゆっくりゆっくり実を揉んでいると、色がだんだん濃くなるでしょう。そうして中身がぐずぐずになったら、楊枝を使って穴を開けるの。ちょっとずつ、ちょっとずつ種を出して、お水で洗ってきれいにしたら、口に含んで吹いてごらん—。」 「ざるに盛ったつやつやのうどん、湯気の立つ麺つゆ、茹でた青菜が食卓に並んだ。擂り胡麻、刻み海苔、しょうがのすりおろし、刻んだ油揚げ。」 匂ってくるではないか? ほおずきの青くささ、胡麻やしょうがの匂い。。。 それとともに、それらが正しく味わわれ、正しく伝えられた時代を感じさせられるではないか。 「最後のお盆」は、山田太一「異人たちとの夏」を思い出させる。「異人たちの夏」には無理があったと思うが、こちらは成功。
Posted by
タイトルどおり、冠婚葬祭にまつわる四つの物語です。良い意味で裏切られましたぁ。この本が、冠婚葬祭という言葉から思い描く一般的なイメージとは、ちょっと違った視点で書かれているからです。 冠婚葬祭とは、人が生まれてから亡くなるまで、そうして亡くなった後に、家族や親族によって執り行われ...
タイトルどおり、冠婚葬祭にまつわる四つの物語です。良い意味で裏切られましたぁ。この本が、冠婚葬祭という言葉から思い描く一般的なイメージとは、ちょっと違った視点で書かれているからです。 冠婚葬祭とは、人が生まれてから亡くなるまで、そうして亡くなった後に、家族や親族によって執り行われる、行事全般を指す言葉だそうです。そもそも儒教思想の影響があるらしく、この四文字が示す人生の節目の催しを、いずれも滞りなく行うことで一人前とみなす考え方もあるようですね。 けれど、この本は家族や親族などの、内輪のお話ばかりではありません。ふとしたきっかけで知り合った、赤の他人同士の関わりがしみじみと、またユーモラスに描かれています。ここにあるどの物語も、ありふれた日常のひとコマを上手に切り取ったもののように見えますが、実はそれぞれが人生の節目にあたる出来事なのです。 昨今、ともすると忘れられがちな折々の行事には、人生を豊かにする働きがあったのだなぁと、あらためて気づかされました。なんとなく懐かしいような、ほぉっと息をつきたくなるような一冊でした。
Posted by