あなたがパラダイス の商品レビュー

平安寿子【著】

2023/12/15

『#あなたがパラダイス』

ほぼ日書評 Day742

（評者を含む）往年のジュリーファンなら、あの曲名インスパイアな書名ね！とすぐわかるはず。

ただ、この本に登場するジュリーは、還暦の声も聞こえてきた、人間の幅も奥行きも（物理的にも）大きくなってきた頃の彼。

そんなリアルタイムのジュリーを、いわば重心においた短中編集なのだが、各編の主人公達は、ある共通項を持つ女性達。
中高生の頃にジュリーの"全盛期"を経験した彼女らは、一様にその年代の女性特有の悩みを経験するのだ。

そんな中、ジュリーの歌声を梃子として、それぞれが、心身の悩みの向こう側の、少なくともその可能性を見出す物語は、ぜひ男性諸氏にも読んでもらいたいと思う。

※後書きで触れられる、『夫婦善哉』（藤山直美と一度だけ演じられたお芝居）は、評者自身が久しぶりにジュリーを見た機会として、懐かしかった。

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2021/04/07

ディテイルの細かさは相変わらずの平安寿子節。

『親を大事にしたい。十分なことをしてやりたい。だが、こっちだって、もう若くはないのだ。親に尽くして見送った後、自分がボロボロのガタガタになって何もできなくなり、死を待つだけの身になったとき、誰も恨まずにいられるだろうか。育ててくれた親には悪いが、自分の人生もこの一度きりなのだ。』

『振り返りば、いつもそうだ。将来に対する備えなんて、あった試しがない。行き当りばったり。おかげで、現実のデコボコにけっつまずくたびに、落とし穴にはまったみたいにあわてふためくのだ。』

『夫婦を結びつけるのは、仲人でも、運命と錯覚させる愛でもない。時間だ。』

沢田研二に対する思いが三人共通していて、この描写は平安寿子がファンでなくてはできないだろうと思う。最近のアルバムの歌詞まで細かく検証され、生活と重なってとりあげられている。少し聞いてみたくなるほどだ。

2014/08/16

更年期を迎えた女たちの話しだけれど、実体はジュリー讃歌かなと。彼女たちにとって、いや男女問わず若さから老いへ向かう人たちへの素晴らしきアンセム。

2013/09/24

アラフィフ女性のお話。

「結婚・出産」までは、なんとなく口伝えで教えてくれても「更年期」について知らない事確かに多いよななぁ。

ほわっと面白く読了。

ジュリー聴いてみたくなりました。

2013/08/27

21歳の男子学生が読んで「いやー実に面白い！」と感嘆せずにはいられない、なんていう作品ではないです、確実に。

読む年頃、環境によって随分と感じるところは変わってくるんじゃないかなあ。

子どもが産めない女を捨て、子どもが産める女の元へいった男が登場しますが、どうしてかすごく気持ちが分かった。
正直自分も同じ境遇になったら同じ行動を起こすかもしれない。子どもがすべてじゃないということは当然あるけども、やはり人生一度きりということを考えるとどうしても子どもは欲しいなあ・・・と。
いつの日か来る将来に思いを馳せながら読んでました。

2012/11/12

元少女、今も少女に戻る時もあるメノポーズな女性たちへの讃歌。そしてジュリーと私たちの交感。想いを思いっきり謳いあげていただいております。ジ・ュ・リーっ！です。

2012/06/28

更年期を迎えたヒロインたちと、ジュリーを絡めていて、シリアスだけど明るくて良かった☆

ジュリーのことなんてほとんど知らない世代だけど、抵抗なく読めたし。特に最初のお話がいいなぁ。

2012/02/24

まさに今読むべき本だった。
ドストライクである。
励まされた部分も多かったけど、同じだけ落ち込む部分もあった。
避けられないことではあるが、誰でも年をとるし、更年期はやってくる。

私もジュリーを聴こうかしら。

2012/02/17

更年期の女性3人が主人公。
それぞれジュリーファンである。
誰かのファンでいて、追っかけをしていると、更年期も乗り越えられるかもというお話にすごく納得。
私も具合が悪くなることも多くなってきたので、何か夢中になれるものがほしいな。

2012/01/25

あればあったで振り回されて、なくなりゃなくなったで振り回されて。
だけどなくなったからってそこで女じゃなくなるわけじゃない。まだまだ先は長いのだ。だからパラダイスを持って、やり抜きましょう生きてる限り。