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“文学少女"見習いの、卒業。 の商品レビュー

4.6

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

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  3. 3つ

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張り巡らせた伏線とその劇的な回収が見事

・“文学少女”見習いの、寂寞。(全320頁) 菜乃ちゃんの親友、瞳ちゃんの、前巻での挑戦的な引きを受けて始まりつつ思わぬ方向に進んだ展開が、次から次へと新たな意味合いを持って読み手を翻弄する見事な物語。「これは本当の三角関係だなぁ」と言える繊細で絶妙な設定を壮絶に描いている。し...

・“文学少女”見習いの、寂寞。(全320頁) 菜乃ちゃんの親友、瞳ちゃんの、前巻での挑戦的な引きを受けて始まりつつ思わぬ方向に進んだ展開が、次から次へと新たな意味合いを持って読み手を翻弄する見事な物語。「これは本当の三角関係だなぁ」と言える繊細で絶妙な設定を壮絶に描いている。しかも、今回の原典に漂う狂気の世界をトレースしながら、より複雑な想いを重層的に盛り込む凄さもあった。ある意味で独特の耽美も醸しており、これまで以上の古典文学へのオマージュを感じなくもない。それぞれの立場で異なる解釈がすれ違う切なさには『藪の中』(著:芥川龍之介)さえ想起させた。数多の伏線を1つずつきっちり回収していく見事な構成と展開に思わず唸る力作であろう。実は「おマセねぇ、瞳ちゃん」という中1時代の話には儚げな危うさも有するが、瞳ちゃんの大人びた言動で行き過ぎを上手く回避させており、場合によっては激欝にもなり得るところも、菜乃ちゃんの明るい猪突猛進とすっとぼけた言動が程良く緩和している。さらには琴吹さんが何とも言えない存在感で笑わせてくれる。 ・ある日のななせ(タイトル+9頁) 前巻の後日談的“夕歌”とのやり取り。自分の居場所というか身の置き場所に苦慮していた琴吹さんの、心葉との距離感を見出したかのような、一種カラッとした雰囲気が良い。 ・“文学少女”見習いの、卒業。(タイトル+76頁) サブタイトルの「サヨナラのための短い物語」が全てを表す卒業式の1コマ。本編の遠子先輩に続いて心葉の卒業も描かれた有意義さと併せて、見事な成長を遂げた菜乃ちゃんが眩しく輝いている。もっと早く出会っていたら違ったのにぃ、という、菜乃ちゃんに感化された琴吹さんが弾けている。

DSK

2023/12/24

純粋さ、まっすぐさ、そして人間らしさ。菜乃の明るさが眩しい。心葉も安心して文芸部を任せられた事でしょうし、新たな「はじまり」へ向けて動き出すフィナーレが見事。

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2020/09/18

「わかったでしょう? 邪魔よ」親友の瞳から、そう告げられた菜乃。しかも心葉は、そんな瞳とつきあうという! 仰天する菜乃な前に、さらに、瞳の過去──人を死なせたと噂された三年前、彼女の側にいた人物が姿を表す。瞳に何か起こっているなら、引くわけにはいかない! 心を決め、動き始めた菜乃...

「わかったでしょう? 邪魔よ」親友の瞳から、そう告げられた菜乃。しかも心葉は、そんな瞳とつきあうという! 仰天する菜乃な前に、さらに、瞳の過去──人を死なせたと噂された三年前、彼女の側にいた人物が姿を表す。瞳に何か起こっているなら、引くわけにはいかない! 心を決め、動き始めた菜乃に、心葉は一冊の本を差し出し……。瞳が抱く秘密とは? そして、迫る心葉との別れと、菜乃の初恋の行方は──。もうひとつの"文学少女"の物語、堂々完結!

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2019/11/19
  • ネタバレ

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見習い③でラスト。 [寂寞] 題作は漱石のこころ。 前巻ラストで菜乃の親友の瞳ちゃんがコノハとキスしてる(ような)場面から。 ショックを受けて、即座にコミカルにツッコミを入れるのはさすがです。 別れは寂しいけれど、瞳ちゃんがこの決断をしたのは、好きな人に邪険にされても想い続けてそばに居た親友を見続けてきたからだと思う。 まあ現実問題として、即決即断としても翌日に犬を連れて海外に行くなんて出来るのかね。 [ある日のななせ] 琴吹さんが自分の気持ちにケリを付けつつ、オカ(夕歌)とやり取りする話。 [卒業。] 題作はチェーホフの桜の園。 恋の結末は予想通りではあったけども、スッキリと失恋ができた感じで良かった。 彼女の文学少女への道は続くのでしょう。

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2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文学少女シリーズ続編第3幕最終章。心葉卒業編。厳しくもあり、温かくもある本シリーズの事実上の最終章。心葉、とても素敵な青年になったなぁ、と。厳しさも、甘さも、優しさも、本編とは全く違うイイ感じに。そして、彼を成長させた菜乃嬢も。彼女の瞳や忍成への叱咤は、彼女らしい真っ直ぐさに彩られた、とても素敵なメッセージであったよう。まぁ「こころ」を割合早い段階で心葉が菜乃に提示したのはご愛嬌だが…。ななせも、失恋(というより恋をし続けること)の浄化、昇華の見本のような。美羽と芥川が出なかったのは少々寂しかったけど。

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2016/12/12
  • ネタバレ

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文学少女見習い。最終巻。報われないことが決まっている恋について、どう決着をつけるのか。そして前巻の「傷心」のラストは?と、面白くないわけがない内容で、その期待どおり、すっごく面白い話だった。「文学少女」で太宰治から始まり、「見習い」で夏目漱石で締めくくられる流れも素敵。読んで良かった。

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2016/01/29

★★★☆ 3.5 「外伝その3。今回の話のモチーフは夏目漱石の「こころ」とチェーホフの「桜の園」。作品全体に菜乃の心の成長が見られる。報われることのなかった「初恋」だけど、今後菜乃はどのような恋をしていくのだろう。菜乃の「今後」がいい方に報われるといいなと読んでいて思った。”文学...

★★★☆ 3.5 「外伝その3。今回の話のモチーフは夏目漱石の「こころ」とチェーホフの「桜の園」。作品全体に菜乃の心の成長が見られる。報われることのなかった「初恋」だけど、今後菜乃はどのような恋をしていくのだろう。菜乃の「今後」がいい方に報われるといいなと読んでいて思った。”文学少女”シリーズもあと1冊。引き続き読んでいきたいと思う。

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2014/10/23

夏目漱石の「こころ」、チェーホフの「桜の園」をモチーフに書かれたお話。 「こころ」をモチーフに書かれたお話は、人の思いの裏の裏、汚い部分までもがさらけ出されてました。 自分の思いは素直に口に出さなきゃ、やっぱり伝わらないものなんですね。 「桜の園」をモチーフに書かれたお話の方は、...

夏目漱石の「こころ」、チェーホフの「桜の園」をモチーフに書かれたお話。 「こころ」をモチーフに書かれたお話は、人の思いの裏の裏、汚い部分までもがさらけ出されてました。 自分の思いは素直に口に出さなきゃ、やっぱり伝わらないものなんですね。 「桜の園」をモチーフに書かれたお話の方は、読んでいて苦しくなりました。 爽やかで純粋とも感じたのですが、その中にある悩みがすごい共感できて…。 伝えたいことを伝えきると、こんなに前を向いて歩けるのだなと感じました。

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2014/05/30

「文学少女見習い」シリーズの最終巻。菜乃が、心葉と冬柴瞳(ふゆしば・ひとみ)がキスをしているところを目撃した前巻のラストから続くストーリーです。 瞳の過去にまつわる問題に、心葉が関わっていると知った菜乃は、2人に事情を尋ねますが、心葉も瞳も答えようとしません。ただ、心葉は菜乃に...

「文学少女見習い」シリーズの最終巻。菜乃が、心葉と冬柴瞳(ふゆしば・ひとみ)がキスをしているところを目撃した前巻のラストから続くストーリーです。 瞳の過去にまつわる問題に、心葉が関わっていると知った菜乃は、2人に事情を尋ねますが、心葉も瞳も答えようとしません。ただ、心葉は菜乃に、夏目漱石の『こころ』を手渡します。 ちょうどその頃、瞳の家庭教師をしていた忍成良介(おしなり・りょうすけ)が、菜乃たちの高校の図書室の司書としてやってきます。瞳と忍成、それに忍成が保護者となった柏木櫂(かしわぎ・かい)という少年の間に、過去に何があったのか、心葉と菜乃が真相に迫っていきます。 卒業する心葉を見送る菜乃の姿を描いた最終章は、こみ上げてくるものがありました。

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2013/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今回の題材は夏目漱石の「こころ」 大好きな作品なので、物語も理解しやすかったです。 自分のエゴな行いに、生涯、悩み苦しんだ先生。 悪人でも特殊な出生でもなんでもない、ごく普通の「先生」の悩みだから誰でも共感出来るのだろう、という言葉になるほどと思いました。 でめ、どれだけ報われないようなことが登場人物たちに起こっても、そこから希望を見いだせるラストに繋げる野村先生は、本当にすごいなぁと思います。 もう1つ題材はチェーホフの「櫻の園」 心葉の卒業でした。 菜乃ちゃん、本当成長しましたね! 姫の言う通り、明るくて優しくて度量の広いいい女になるよー!

Posted byブクログ