1,800円以上の注文で送料無料

神の棘(2) の商品レビュー

4.4

43件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2012/09/29

須賀しのぶさんブームが自分の中に到来して、図書館で借りてきた。 「ナチスドイツの時代、ナチスに所属するアルベルトが、教会の摘発に向かうと、そこには幼馴染のマティアスが修道士としており……」みたいなあらすじが本の裏表紙に書かれてあった。 それを読んで、友情と立場と信条の葛藤ものかな...

須賀しのぶさんブームが自分の中に到来して、図書館で借りてきた。 「ナチスドイツの時代、ナチスに所属するアルベルトが、教会の摘発に向かうと、そこには幼馴染のマティアスが修道士としており……」みたいなあらすじが本の裏表紙に書かれてあった。 それを読んで、友情と立場と信条の葛藤ものかな、と思いつつ読んだわけだが、想像していたような物語ではなかった。 いい感じに裏切られたわけではないけど、ガッカリしたわけでもなくて。うまく言えない。 幼馴染、という単語から、仲がよかったんだと思いこんだわけなんだけど、そこからして違っていた。

Posted byブクログ

2012/06/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 一言で言うと、「悲しくて美しい親愛のお話」です。  戦時中という時代背景の中で、人種や属する集団の違いにより簡単に殺し・殺されてしまうという状況。なんとも言えないやるせなさの中でも、必死に生きて大切な人を守ろうとする姿は純粋に凄いなと思いました。  1巻の時点ではアルベルトがとにかく鬼畜で(笑)、何を考えているのかよくわからないまま終わってしまいましたが、2巻は怒涛の展開が続き一気に読み進めてしまいました。最終的にはアルベルトに物凄く感情移入していましたね・・・「あのシーンはああいう心情だったのか」と。    なにより、アルベルトとマティアスの関係がね・・・うん、もう(泣)  お互いに譲れないものがあるから単純な味方にはなれないけど、気が付くと共闘していたりする二人が素敵でした。  おすすめの一冊です。  

Posted byブクログ

2012/05/13

そういう時代だったのよ、と言ってしまえばそれまでだけど・・・みんな悲しいね。 それにしてもⅠ、Ⅱと誤植の多いこと!

Posted byブクログ

2012/03/05

残虐性が増していくナチスドイツ、そしてその崩壊、戦後のドイツの贖罪。 軍は――アルベルトは、教会は――マティアスは、どうなっていくのか。偶然と必然に導かれてまた幾度も再会する二人だが、最後に大きな秘密が明かされる。 また誤字はあるけど、がっかりする暇もないくらい物語の力が強い。...

残虐性が増していくナチスドイツ、そしてその崩壊、戦後のドイツの贖罪。 軍は――アルベルトは、教会は――マティアスは、どうなっていくのか。偶然と必然に導かれてまた幾度も再会する二人だが、最後に大きな秘密が明かされる。 また誤字はあるけど、がっかりする暇もないくらい物語の力が強い。 一巻の、幼き日にテオがアルに言った罪についての一幕を、印象的に思ったからノートに書き留めておいた。印象的に映ったのはやはりわざとであったらしく、これが後々に響き、アルベルトの最期に尊敬と寂しさを感じさせる。兄を疎ましく思っていたはずだが、アルベルトの歩む人生の芯には確かにテオドールが存在している。 自分が後悔を感じたならば、それは確かに誰かを犠牲にした証であり、それを自分だけは忘れずに痛みとして感じ続けなければならない。 人として軍人として揺らがないアルベルトは、美しく気高く憧れを感じさせる。しかし彼が行った殺人は、命令は、確かにあって、その事実は無くならない。 …こういうことが、実際にあったのだ。尊敬すべき軍人は何人もいただろうし、良心を持った兵士もいただろうし、同朋を亡くして怒りに駆られた者は少なくなかった、灰色の時代が、確かに、今私が生きる現在をつなげている。 私は日本人だし、本書はドイツを描いているし、だからどうしても、連合国を恨む気持ちをゼロにはできない。日本はアジア圏の植民支配を阻もうと参戦した。米国は日本を疎ましく思って開戦を誘導した。ドイツは第一次大戦の大敗で苦汁を嘗め、ヒトラーに支持が集まり、悲劇に突き進んだ。 でもどの国も大きな犠牲を払わずには済まなかったはずで、復讐心の連鎖は悲しいけれど、理解はできる。 苦境に落とされたら、原因を憎むだろう。だがそれが人ならば、原因を排除しても新たに悲劇を生むだけ。それは誰もが知っているけれど、やられたらやり返したいのが人の常。その止まない復讐心や、他人を害し後悔するものをなんとか納得させるために宗教がある。 罪を悔いるものに償いを教え、裁きを神に預けて苦しみを共に分かち合う。聖職者は苦しむものに寄り添う役だ。 キリスト教は苦手だ。いくら教義が立派でも、宗教は争いを生むと思っているから。 しかし聖職者も人間だ。全き善の存在など、人として生まれたからにはありえない。聖職者といえど、他人を好きになろうし、執着が生まれれば憎しみも抱くだろうし、醜い感情を偽れば、そこに罪悪感が現れる。 マティアスはほとんど思うままに短気に行動してしまうが、それはすべて他人のためである。落ち着いた神父さまに成れるのはまだ先だろうが、自分が立派でないぶん、弱き者に寄り添おうとする、その姿勢はたしかに羨ましい。そうなれたらいい、と思う。我欲を捨て、虚飾も捨てて。 アルベルトも、そのように生きたかったのだろうか。 最後のコーヒーのシーンが微笑ましかった。

Posted byブクログ

2012/01/09

イルゼの告白に号泣。 前半は、ナチの教会や障害者への弾圧の描写が、あまり知らなかったことなので興味深かったけど、読んでいて楽しくはないし、須賀しのぶらしくないなと思った。が、最後まで読んでぶっ飛ばされた。真相を知れば全く違って見えてくるアルベルトの行動。分かりにくいよアルベルト!...

イルゼの告白に号泣。 前半は、ナチの教会や障害者への弾圧の描写が、あまり知らなかったことなので興味深かったけど、読んでいて楽しくはないし、須賀しのぶらしくないなと思った。が、最後まで読んでぶっ飛ばされた。真相を知れば全く違って見えてくるアルベルトの行動。分かりにくいよアルベルト!格好良過ぎだよ! 歴史小説でもあるし、信仰や罪や正義について問うものでもあるし、良質の叙述ミステリでもある。読んでよかった。もう一度読み直したい。

Posted byブクログ

2011/11/23

号泣。 アルベルト、潔すぎます。 だからこそ、彼の側にいる人たち、そして読者は、やりきれない思いになるんでしょうが、その潔さにどうしようもなく惹かれるのも確か。 彼が違う時代に生まれていたら、と思わずにいられません。 1巻の中盤までは読みづらくて、読み進むのがしんどかったのです...

号泣。 アルベルト、潔すぎます。 だからこそ、彼の側にいる人たち、そして読者は、やりきれない思いになるんでしょうが、その潔さにどうしようもなく惹かれるのも確か。 彼が違う時代に生まれていたら、と思わずにいられません。 1巻の中盤までは読みづらくて、読み進むのがしんどかったのですが、最後まで読んで良かった!

Posted byブクログ

2013/07/17

久し振りに一気に読んだ。アルベルトの造形は流石にらしく、また、読みやすい文体も、須賀しのぶらしい。 ヨーロッパを貫くキリスト教の影響は根深く、影はあまりにも濃い。

Posted byブクログ

2011/10/29

今読み終わった。すごかった…。須賀しのぶは分厚くても密度が濃いから好きだ。 新刊には、そのとき出版されなければならない理由がある。この本にも。少なくとも私にとっては、今この本に出会わなくてはならない理由があったのだろう。巨大迷路にわけいるようだった。文章は読みやすいのに。(誤字は...

今読み終わった。すごかった…。須賀しのぶは分厚くても密度が濃いから好きだ。 新刊には、そのとき出版されなければならない理由がある。この本にも。少なくとも私にとっては、今この本に出会わなくてはならない理由があったのだろう。巨大迷路にわけいるようだった。文章は読みやすいのに。(誤字は下巻も多かった) 後半、隠された真実が次々と明らかになっていくのには鳥肌がたった。もう一度読み返したら、全然違う印象になるはず。読み返せるミステリだ。

Posted byブクログ

2011/09/19

ひさびさに読んだあと机に突っ伏して余韻にひたってしまうくらい、読みごたえがありました。 上巻ではアルベルトがなにを目指しているのかわからなくて、物語に入り込めない面もあったのですが、 下巻に入ってからは時代の流れに押されるように、物語にどんどんのめり込んでいきました。 終章でよう...

ひさびさに読んだあと机に突っ伏して余韻にひたってしまうくらい、読みごたえがありました。 上巻ではアルベルトがなにを目指しているのかわからなくて、物語に入り込めない面もあったのですが、 下巻に入ってからは時代の流れに押されるように、物語にどんどんのめり込んでいきました。 終章でようやくアルベルトがなにを考えていたのかわかってスッキリする一方で、最後まで容赦のない展開落ち込んだり… でも、シビアだけれど納得がいくラストだったので満足です。

Posted byブクログ

2011/08/11

 久しぶりに「読んだ! 堪能した!」と充実した気持ちになれた一冊。あああ。面白かった。  読んでいて「このはてがどこにいくのか予測できず」また、エンディングを迎えてみれば「これしかないであろう」という納得ができる作品。  主要人物たちの執着と信念が見事である。  面白かった!

Posted byブクログ