追跡する数学者 の商品レビュー
ちょっと不思議な小説。主人公の数学者があっと驚くように数学で謎を解くわけでもなく、351冊の蔵書が物凄く魅力的な使われ方をするわけでもなく、途中途中の官能部分は付録のような扱いに感じるし、どのような理由なのか二人の子供の登場意味(物語りにとって重要なのかどうか)もわからない、か...
ちょっと不思議な小説。主人公の数学者があっと驚くように数学で謎を解くわけでもなく、351冊の蔵書が物凄く魅力的な使われ方をするわけでもなく、途中途中の官能部分は付録のような扱いに感じるし、どのような理由なのか二人の子供の登場意味(物語りにとって重要なのかどうか)もわからない、かといって魅力がないかといえば、ふわっとしててちょっと引き込まれもする。何度も読み返すごとに表情を変える小説なのかもしれない。実に面白い。
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「蔵書、数学、官能」という帯を見て購入。『風の影』とか『博士の愛した数式』とか『幻の特装本』のような作品を想像して期待して読んだものの、こちらの思い込み勘違いだったことが判明し、とても残念(ある意味出版社の思惑通り?)。数学の天才フィリップと、本に精通した恋人アーマ(作家で本の装...
「蔵書、数学、官能」という帯を見て購入。『風の影』とか『博士の愛した数式』とか『幻の特装本』のような作品を想像して期待して読んだものの、こちらの思い込み勘違いだったことが判明し、とても残念(ある意味出版社の思惑通り?)。数学の天才フィリップと、本に精通した恋人アーマ(作家で本の装丁や修復も手掛ける)と、その周囲の人たちの特殊な関係についての、なんとも説明しにくいお話。アーマは自らを「他の人たちとは違う」と言い、違うジャンルだけれど同じレベル(天才)のフィリップに対して「わかるでしょう?」みたいなもったいをつけた感じなので、もともと凡人にはわからない話なのかもしれない。結婚その他の社会概念の枠を超えたところで生きているアーマは、生涯を通じてフィリップと恋愛(を超えた?)関係を続けていたが351冊の蔵書をフィリップに遺贈する、という遺書を残して突然失踪。フィリップはその知らせを受けなぜかすぐさま会社を辞め2番目の妻と離婚し、アーマを探しに出かけるも、学生時代の親友に元妻(2人とも)、それに義理の子供たちまでフィリップの近しい人はみんなアーマに魅了され関係を持ち捕われてしまっていたことに気づき愕然とし、、、前半はまったく入りこめず、途中スペインに行ったあたりから多少読みやすくなってこれはもしや、と気を取り直して最後まで読みましたが、結局なんのこっちゃ、という読後感で、大変残念でした。内容とはまったく関係ありませんが、アーマがフィリップを呼ぶ愛称が「ピップ」なので、どうしても「エレキバン」が浮かんでしまい、高尚っぽい作風なのにとてもちぐはぐな感じになって、困りました。
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官能的な描写があるのですが、いやらしい感じではありませんでした。 数式がたくさんでてきて、最初は戸惑いましたが、慣れてきます。 面白い!とすすめることはできないのですが、なぜだかもう一度読みたくなる本でした。
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自分もミステリと勘違いして購入。半分まで来ましたが、皆さんの評に同感。この先読んでも時間の無駄かもしれない。
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あらゆることを数式で理解する男フィリップへ、351冊の美しい文学書が“遺贈”される。それは失踪した昔の恋人で古書装幀家のアーマが残したものだった。蔵書を手がかりにアーマの行方を探るフィリップは、離婚した妻たちやその子どもたち、謎めいた女ルシアとのもつれた人間関係に翻弄されつつ、や...
あらゆることを数式で理解する男フィリップへ、351冊の美しい文学書が“遺贈”される。それは失踪した昔の恋人で古書装幀家のアーマが残したものだった。蔵書を手がかりにアーマの行方を探るフィリップは、離婚した妻たちやその子どもたち、謎めいた女ルシアとのもつれた人間関係に翻弄されつつ、やがて導かれるようにして南欧スペインへ向かう…。 ジャケ買いしたのだけれど完全に外れ。 登場人物には感情移入できないし、帯にはミステリーとあるけど推理小説ではまったくないし、売りの一つである官能性も邪魔なだけ。エロけりゃいいってものではない。 幸か不幸か、作中で引用(あるいは改竄)されるなど大きな役割を果たすボルヘスとセルバンテスはあまり読んだことがないのだけれど、もし思い入れのある作家だったらイラッとしていたと思う。 唯一魅力的だったのは、アーマの工房など、装幀にまつわるシーン。スペインに住むアーマのいとこで、装幀用の皮革を蒐集しているトマスという人物もなかなか素敵だった。
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題名に惹かれて読む。 主人公のフィリップはなんと言う職種になるのかはわからないが、 保険会社で数学を使って働いている(すぐにやめてしまうが)。 日本語の意味でいう数学者(=数学の研究者)ではない。 この主人公はかなり異常で、数学以外の日常のことを考えるときにも 数式を使い、円周率...
題名に惹かれて読む。 主人公のフィリップはなんと言う職種になるのかはわからないが、 保険会社で数学を使って働いている(すぐにやめてしまうが)。 日本語の意味でいう数学者(=数学の研究者)ではない。 この主人公はかなり異常で、数学以外の日常のことを考えるときにも 数式を使い、円周率や自然対数の底が思考の中に出てくる。 数学を勉強した人が小説に出てくると、どこかしら現実から浮き上がった非現実な設定となるのが多いが、これほどひどいのはみたことはない。 1Q84とか博士の愛した数式は少なくともその人物に対する愛情が 感じられるのだが、ここにはそういうものはかけらもなく、数学は 風変わりな人物を強調する道具として扱われているにすぎない。 その他に登場する数々の現代音楽や本もペダンティックな雰囲気を 醸すためのツールである。著者はテクニックを駆使して、得意満面で書いているのだろうが、こういう小説は読むのは何かしら悲しい。 文中に頻々と引用される「ドン•キホーテ」がかわいそう。
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駅中のブックショップで、出会いがしらでした。「書誌学と数学を大胆に駆使し、濃密なエロティシズムで包みこんだペダンティックな快作」とあっては、読んでみなければ。数学者のもとに送られてきた、かつての恋人の351冊の蔵書。それらがすべて彼女の手によって装幀されたり修理されたもので、Aか...
駅中のブックショップで、出会いがしらでした。「書誌学と数学を大胆に駆使し、濃密なエロティシズムで包みこんだペダンティックな快作」とあっては、読んでみなければ。数学者のもとに送られてきた、かつての恋人の351冊の蔵書。それらがすべて彼女の手によって装幀されたり修理されたもので、Aから順に本棚に並べて「宝石のような色合い」という、そんな光景だけで、買ったかいがあった、と(カヴァーの写真より、もっと鮮やかな棚を想像しました、おそらく文中の表記からしても、そうではないかな)。読んでる間、私は新潮文庫のすべすべした紙を撫でててました。以降、ネタバレではありませんが。実は、私は帯とカヴァーの惹句によってレジに持って行ったのであって、タイトルによってではありません。読み始めてすぐ、『追跡する哲学者』ってのはどうかな、と感じたのです。そのへん、カヴァーに「The 351 Books of Irma Arcuri」とあって、納得しました。これ、たとえば『351冊の本』でもいい。あくまで個人的な意見ですが、原題のほうが、いい!『アーマ・アーキュリの351冊の本』『送られてきた351冊の本』などでもよかったのでは、と感じます。だって(おそらくここまではネタバレにはならない)、その351冊の中で、失踪した彼女「アーマ・アーキュリ」が著した(という設定の)本が、Aから並べると最初にくるんです、その次はオースティンだから、これこそ日本語の「アイウエオ順」でもそのままあてはまるんです。『追跡する数学者』っていうのは、副題として付してもよかったんではないか。なんだか、いろんな意味で愉しんだので、そういう難癖もつけておきます。これが著者のデビュー作とのこと、ちょっと楽しみ。
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