非正規レジスタンス の商品レビュー
今回は本全体の感想ではなく、 表題になっている4話目の 『非正規レジスタンス』 に焦点をしぼってレヴュー書きます。 一晩800円のネットカフェで寝泊りし、 一日300円のコインロッカーがクローゼット代わり。 人材派遣会社に登録し、 日々、日当7500円の仕事にあり付けるかどうか...
今回は本全体の感想ではなく、 表題になっている4話目の 『非正規レジスタンス』 に焦点をしぼってレヴュー書きます。 一晩800円のネットカフェで寝泊りし、 一日300円のコインロッカーがクローゼット代わり。 人材派遣会社に登録し、 日々、日当7500円の仕事にあり付けるかどうかの生活をしている成人男性。 『派遣社員』と言えば聞こえは良いが、要は『日雇いフリーター』しかもほぼホームレス。 ここまで読んで皆さんはどんなイメージを持ちましたか? 僕はこう思いました。 「ちゃんと就職して仕事しろよ。」 ダメなヤツにしか思えないです。 でも、それは少し違ってました。 家庭の事情で家には住めず、 就職難から正社員になれない。 でも、生きる為にはお金を稼がなくてはならない。 だから、とりあえず派遣社員として働き、ネットカフェで寝泊りをする。 もちろん、 正社員になり安定した給料を貰い、自分の部屋を借りる事が目標であり、夢。 しかし、人材派遣会社の悪質な運営により、 働けど働けど生活は楽にならず、 むしろ、ワーキングプアの深みにどんどんとハマり抜け出せない状態に。 その頃には 『ネットカフェの一畳半のスペースではなく、広い部屋で足を伸ばして寝たい。』 と言うのが夢になってしまってました。 それでも、自分を元気づける為に、 彼はノートにこう走り書きをしてました。 『泣きたい時ほど、笑え』 『今の僕の生活は、僕の責任』 強い立場から弱い立場の人間に突き付けられる『自己責任』と言う名の『無責任』。 そして、それを『自己責任』として受け入れるしかないワーキングプアの日雇いフリーター。 彼や彼の様な人達を、 少しでもマシな生活にする為に東奔西走する主人公マコト。 (続きは読んで下さい。笑。) この4話を読んで、ちゃんと思えました。 「僕は恵まれてるな」って。 ぶっちゃけ、 自営業なんで長時間労働をしても、 残業代が付かなくても、 訴えるどころか文句を付ける相手もいないし、 過労で倒れたりケガしたって、自分で用意しない限り労災もない。 そう言った意味では、 日雇いフリーターに近いけど、 自営業は『自分で考えて行動』が出来る。 (まぁ、ワーキングプアから抜け出すのは、なかなか難しいけど。笑。) 足を伸ばして寝れる家もある。 金持ちになれなくても、 楽しくそこそこ暮らせればそれでイイ。 僕は幸か不幸か、 株やパチンコに興味は無い。 ああいうのは余裕のある人に任せておく。 日本の経済は彼らに任せて、 僕は自分の経済を頑張ろうと思いました。笑。
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表題作を含む4つの短編で構成されている。いわゆるIWGPシリーズに居続けられる作品の第8弾らしい。IWGPシリーズといったことは知らずに、本のタイトルに惹かれて購入。池袋界隈を舞台にした作品で、主人公は、4編とも同じ。深刻な、しかし現実にあるテーマを扱っているせいか、意図的にホン...
表題作を含む4つの短編で構成されている。いわゆるIWGPシリーズに居続けられる作品の第8弾らしい。IWGPシリーズといったことは知らずに、本のタイトルに惹かれて購入。池袋界隈を舞台にした作品で、主人公は、4編とも同じ。深刻な、しかし現実にあるテーマを扱っているせいか、意図的にホンワカさせられるようにな結末に設定されているかも。もう少しこのIWPGシリーズ、追ってみるかな・・・。
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子どもがいるために非正規の仕事にしか就けず、昼も夜もなく働いても収入は僅か。おしゃれもできず、新しい恋もできずに休みない子育てに疲れ果てるシングルマザー。 おれには解決法などなにも浮かばず、この世は出口のない悲しみと貧しさでできている――『千川フォールアウト・マザー』 まじめに働...
子どもがいるために非正規の仕事にしか就けず、昼も夜もなく働いても収入は僅か。おしゃれもできず、新しい恋もできずに休みない子育てに疲れ果てるシングルマザー。 おれには解決法などなにも浮かばず、この世は出口のない悲しみと貧しさでできている――『千川フォールアウト・マザー』 まじめに働く若いやつが、じりじりと格差のどん底に滑り落ちていく。それはこの60年間で、おれたちに初めて起きてる事態だった。 だが、それがどうしたというんだ。 おれたちはただ勝つために生きているんじゃない。そんなちいさな勝負を張るために生まれたわけじゃないのだ――『非正規レジスタンス』 ほか、街にちいさなクリンナップの輪を広げた秀才と、池袋東口に君臨する天空の王にアホなギャングがからんで巻き起こる誘拐事件『池袋クリンナップス』。今どきはケータイひとつで出会いも別れも脅迫もする。他人の秘密も保存しておける。そんなケータイを使った間抜けな恐喝犯とごつい年寄りが活躍する『定年ブルドッグ』など4篇を収録したIWGPシリーズ第8弾。
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IWGPシリーズの第8巻。 最後の表題作の中で出てくる非正規労働者で襲撃を受けた者のノートの言葉にマコトだけではなく、自分も胸を打たれた。 その印象がとても強く残る一冊。
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毎度の事ながら、取り扱うテーマがタイムリー 残念なのはそれが短編で4作ってあたりかな 他の巻もそうだけど、冬くらいの分量を4つ もしくは1冊まるごとの話を読みたいなぁ 適度に短くていいんだけどねぇ とか思うのは京極を読みすぎてるからか?(笑)
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相変わらずの安定感。 ブルドッグ、いいキャラ。 千年フォールアウト・マザー/池袋クリンナップス/定年ブルドッグ/非正規レジスタンス
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久しぶりに読んだIWGPシリーズ、第8弾 発行は2010年9月とあって、 小説の中の事件もなんだか現代そのもので生々しかった。 ●千川フォールアウト・マザー シングルマザーがおちりやすい幼児虐待と風俗への落とし穴の関係がよく描かれていた。 ●池袋クリンナップス ゴミ拾いボ...
久しぶりに読んだIWGPシリーズ、第8弾 発行は2010年9月とあって、 小説の中の事件もなんだか現代そのもので生々しかった。 ●千川フォールアウト・マザー シングルマザーがおちりやすい幼児虐待と風俗への落とし穴の関係がよく描かれていた。 ●池袋クリンナップス ゴミ拾いボランティアの青年とお金持ちの父親との誘拐劇 ●定年ブルドック しつこい元カレの脅迫から、同僚の娘を守ろうとする定年警察官。そのしぶといブルドック並みの強さに真島誠もビックリ。 ●非正規レジスタンス 派遣会社に登録し、日払いの稼ぎで、ネットカフェに寝泊まりしている若者たち。明日はどうなるのかもわからないその日暮らしの希望のない生活を暴きだしていた。 どの話も、小道具はパソコンや携帯電話が中心。 「非正規レジスタンス」にいたっては、仕事を得るのも携帯電話で申し込んで、携帯メールで連絡を待つというもの。 なるほどね。これなら、携帯電話さえあれば住所不定でも連絡がつき、仕事にありつけるというわけだ。 日雇い仕事のフリーターは一度その境遇に陥ると、そこからは這い上がれないという。ホームレスではなく、ちゃんと仕事をしているというプライドもあり、いつも見ぎれいにしているので、町の中ですれ違っても、そうとうはわからないらしい。 本物の池袋という町を私も知っているが、日雇い仕事のフリーターは本当にいるに違いないと思う。だがもしいたとしても、私は誠ではないので、助けてあげることも仕事を分け与えてあげることもできない。 その点、誠は「トラブルシューター」だから、都会のワナに陥った人々を、嫌味なく胸のすくような方法で救い出してくれているのだ。 読むたびに新しい社会の犯罪の落とし穴を勉強し、 誠の偉業にスカッと爽快な気分になっているのは私だけだろうか。 次のシリーズも楽しみに思う。
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積ん読になっていたIWGPの二冊目。やはり歳と共に涙腺は弛んでいくのかもしれない。「非正規レジスタンス」はいつでも身に降りかかってもおかしくない話なだけに、その想いがひとしおだった。
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自分にとっての日常, 自分でない誰かの日常・・・ 自分の普通, 自分でない誰かの様々な普通・・・ 間にあるのは 区別なのか,差別なのか,常識・非常識なのか・・・
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IWGPはそのスタイルのせいである程度の年齢以上の人には残念ながら敬遠されている作品かもしれない。だけどそういう大人たちに読んでもらいたいテーマがいっぱい詰まっている。非正規レジスタンスのラストの数人はなんとか這い上がれたようだけど、その他大勢の現実はあまりかわらないままなのかも...
IWGPはそのスタイルのせいである程度の年齢以上の人には残念ながら敬遠されている作品かもしれない。だけどそういう大人たちに読んでもらいたいテーマがいっぱい詰まっている。非正規レジスタンスのラストの数人はなんとか這い上がれたようだけど、その他大勢の現実はあまりかわらないままなのかもしれないな。足を伸ばして眠れるということに感謝しよう。
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