私の名はナルヴァルック の商品レビュー
アラスカの最北端に暮らすエスキモーの村に滞在し、家族同然の仲となった日本人女性。ナルヴァルックというのは長老の奥さんの母親の名前をもらったもの。滞在中に見聞きし体験したことがとても丁寧に書かれていて目に浮かぶような新鮮さ。また、自然の中で生きる民にも近代化の波が押し寄せているわけ...
アラスカの最北端に暮らすエスキモーの村に滞在し、家族同然の仲となった日本人女性。ナルヴァルックというのは長老の奥さんの母親の名前をもらったもの。滞在中に見聞きし体験したことがとても丁寧に書かれていて目に浮かぶような新鮮さ。また、自然の中で生きる民にも近代化の波が押し寄せているわけだが、そのことは否定も全面肯定もし難い訳で、その葛藤も伝わってくる。難しいのは承知の上で、一度は体験してみたい世界である。
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洗練された箇所とそうでないところのばらつきが気になる。内容がおもしろいところはぐいぐい引き込まれた。冒頭の問題提起が冒頭だけで終わっているのが残念。
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女性である著者が一人でエスキモーの村に行き、そこで暮らし、そして目の当たりに見たエスキモーの暮らしを外から聞きかじったレポートではなく、彼らと一緒に暮らして書き上げた、いま現在のエスキモーの本当の暮らしです。 題名になっているナルヴァルックという名前は、住まわせてもらったエスキモーの母からもらった名前です。 この平和できれいな自然の中に暮らすエスキモー達に迫った核実験や核廃棄物を捨てられた土地に、昔から住んでいた彼らが同化政策で本来のエスキモーでなくなった生活をしているが、それでも彼らの中に残っているエスキモーの伝統や誇りを家族の中から体験した事が書かれているので、まるで読んでいて、一緒に鯨の生肉を食べている自分をイメージしてしまいました。 アメリカの文化や便利が入り込んで、彼らの生活が大きく変わってきているが、それが幸せな事なのか、また、そのままでいいとは思わないが何故、こんな政策で取り込まれてしまったのか、考えさせらル事も多々ありました。 写真はないけど、いろいろな事が読んでいて目に浮かんでくるようで、読みやすい女性の筆者の優しさとあわせて心地よい本でした。 かといって、上っ面でない、一緒に暮らさなければ分からないエスキモー達の生活や今がしっかりと伝わってくる一冊です。
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アラスカ物語のフランク安田を敬愛する著者がエスキモーと家族同然の生活をおくりながらエスキモーの人々が直面する現実を見据えた本。 福島原発の事故のあと せめて 辺境の 原始的な生活の本で心の洗濯でもしようかと何気なく購入したら いきなり最初から核の問題からはじまっており驚いた。 アメリカという国はなんて 困った国なんだろう。 クジラをとって 生活していた先住民の暮らしは今後どうなってしまうのであろうか。 麻薬やアルコールが若者たちを むしばんでいる様子もよくわかる。 これを読んでウーマンアローンも読みたくなった。 しかし 世界中に 出没していますね 日本人は。
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30代の女性が単身、エスキモーの村で暮らし、エスキモーの名を貰い、彼らとともに捕鯨を体験する。彼らの生活や、深まっていく絆を描きつつ、捕鯨問題やエスキモーの抱える問題を浮き彫りにする。貴重なルポルタージュ。
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エスキモーは野菜を食べないから、そのうんちはコロコロとしたもので、だからお尻も汚れなくてトイレットペーパーで拭く必要もないんだって。こんなことを経験しているぐらいエスキモーにとけ込むのはスゴいの一言です。水素爆弾の実験の計画や、原子爆弾の実験により汚染された土壌の処理による人体へ...
エスキモーは野菜を食べないから、そのうんちはコロコロとしたもので、だからお尻も汚れなくてトイレットペーパーで拭く必要もないんだって。こんなことを経験しているぐらいエスキモーにとけ込むのはスゴいの一言です。水素爆弾の実験の計画や、原子爆弾の実験により汚染された土壌の処理による人体への影響という陰の部分はこの本を読むまで知りませんでした。地球温暖化に関しても、白人のメディアが多用する「シロクマが生活出来なくなっている」というセンセーショナルな映像ではなく、「温暖化ってそれはそれで良いんじゃない?」という視点も、エスキモー的なのでしょうか。ミックー(シールオイルに干し肉をつけ込んだもの)が珍味だそうです。酒に合いそうとのこと。是非、食してみたいものです。
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エスキモーの生活を日本に居ながらにして知ることができ、面白く読み始めたが、現状を知ると失望する。アメリカからお菓子や宗教、ドラッグなどが浸透し、働かない若者が大半、一大イベントの捕鯨・解体作業に若者がほとんど参加しないだなんて。
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エスキモーの家族に迎えられて~アメリカ合衆国アラスカ州のベーリング海の北,チュクチ海に面する村で,捕鯨組に命懸けで入り,4月から北風で海が凍るのを待つが,頭領は村の公務員でもあるので町に出張したきり帰ってこず,待ち惚けを喰らう。他の組が逃してしまった鯨を残念に思い,捕らえた鯨が薄...
エスキモーの家族に迎えられて~アメリカ合衆国アラスカ州のベーリング海の北,チュクチ海に面する村で,捕鯨組に命懸けで入り,4月から北風で海が凍るのを待つが,頭領は村の公務員でもあるので町に出張したきり帰ってこず,待ち惚けを喰らう。他の組が逃してしまった鯨を残念に思い,捕らえた鯨が薄くなった氷の下に消え,グラスファイバーの舟とアルミの櫂で捕らえた80歳になる鯨は除雪用のブルドーザーで引き揚げられ,解体される。世話をしてくれた夫婦は,アメリカの同化政策の中でも言葉と伝統を継承してきたが,次の世代にそうした心得はない。若者はなす事もなくだらだら過ごし,チャリオット計画を阻止したものの,油田開発と環境破壊には格別の関心を寄せていない。核物質廃棄場として海岸が使用されたことは立ち去ってから知る~地球温暖化を忌避していない地域もある。伝統漁法だけが素晴らしいのではなく,トータルの生活様式が貴重なのであって,文明に晒されて消えていく運命にあるが,1世紀振りに鯨が獲れたことを喜ぶカナダの村もある。ビタミン摂取のために生肉を食うよりも,寄生虫の恐ろしさが上に立つ。酒とマリファナと薬物・・・いやいや大変だ。まさきという名に男かと想像すると裏切られる
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想像を超える場所、想像できない生活。だけど、人間の根本はやはり同じ。考え方、喜ぶこと、辛いこと、幸せ、問題。遠い場所の民族に共通点を見て、人間の変わらないあたたかさを感じた。 変わりゆく世界、その中での文化、環境。遠いところで起きているけれど、この本で、いきなり近い場所になった...
想像を超える場所、想像できない生活。だけど、人間の根本はやはり同じ。考え方、喜ぶこと、辛いこと、幸せ、問題。遠い場所の民族に共通点を見て、人間の変わらないあたたかさを感じた。 変わりゆく世界、その中での文化、環境。遠いところで起きているけれど、この本で、いきなり近い場所になった。
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