街場のメディア論 の商品レビュー
これはおもしろい! 相変わらずの内田節なのだが、メディアやキャリア教育論、出版文化の現状に対する見解等々、目から鱗の見解が示される。それでいてそれらの一つ一つが説得力を持つ。 それはすべて、筆者が自分自身の頭で考えて、自分自身の表現を紡ぎ出しているからだろう。他者の語る言葉を...
これはおもしろい! 相変わらずの内田節なのだが、メディアやキャリア教育論、出版文化の現状に対する見解等々、目から鱗の見解が示される。それでいてそれらの一つ一つが説得力を持つ。 それはすべて、筆者が自分自身の頭で考えて、自分自身の表現を紡ぎ出しているからだろう。他者の語る言葉をそのまま無反省に繰り返すことこそが今日のメディアの危機を招いている。それだからこそ、氏の態度は意味がある。こうしたことは、文体論とも関連があるのだろうな。 今後「街場の文体論」などが出る予定だとか。楽しみである。
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内田樹さんの語りは面白い。斬新な話にいつも感心させられる。メディアについて論じた大学での講義をまとめたものだが、最近のクレイマー・モンスターペアレンツ・モンスターぺーシェンツが出てきた背景について、鋭く指摘している。お客様、お生徒様(この表現はなかったが)、患者様の様々表現が如実...
内田樹さんの語りは面白い。斬新な話にいつも感心させられる。メディアについて論じた大学での講義をまとめたものだが、最近のクレイマー・モンスターペアレンツ・モンスターぺーシェンツが出てきた背景について、鋭く指摘している。お客様、お生徒様(この表現はなかったが)、患者様の様々表現が如実に物語っている。 電子書籍が出てきたとき、いよいよここまで時代はやってきたかと思ったが、やはり紙媒体の書物は消えない。それは同感だ。贈り物という書き方をしているが、それこそ未来への贈り物だ。無償で読む行為。私もよく図書館を利用する者だが、いい本は、図書館で読んだ後に改めて買い直すことをしている。何度も読み直しては味わう。そんな読み方をしているから、内田さんの意見に賛成である。この本もそうなりそうだ。
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独自の観点で様々なモチーフに対し突っ込んだ議論をする内田先生。友人の勧めで知り、今回3冊目かな?ブログも読んでます。今回はメディアがテーマ。 本論に入る前に、キャリアについての話。彼曰く、キャリアは「他者に呼び寄せられるもの」。実際、その通りだと思う。大学を出て、自分だけの力...
独自の観点で様々なモチーフに対し突っ込んだ議論をする内田先生。友人の勧めで知り、今回3冊目かな?ブログも読んでます。今回はメディアがテーマ。 本論に入る前に、キャリアについての話。彼曰く、キャリアは「他者に呼び寄せられるもの」。実際、その通りだと思う。大学を出て、自分だけの力で仕事ができる人もごくわずかはいるかもしれないが、ほとんどはできないわけで。職場ではいろんな指示を受けるもの。それを、「こんなことがしたいわけじゃない」などと言ってすぐに辞めるのは、そもそも考え方が間違っていると。小さなことからコツコツとやっていくことで、ある瞬間、パッと全体が見渡せるようになるものだと思う。 彼の取り上げた話題の中でも、マスメディアの凋落については特に興味深かったのが、テレビのみならず、新聞までもが、「知っているくせに知らないふりをして」いるということ。本来の目的である情報を伝えることよりも利益を優先してしまうこと、定型で語ってしまい伝え手の責任を放棄してしまっていること、これらだけでも、メディアのふがいなさが露呈されていると思います。ドラッカーも「知りながら害をなすな」と言っていますが、この事例はまさにそのダメの典型例ではないかと思う。ただし、こうした状況は、メディアのみならず日本全体にも広がっている気もします(自戒の念も込めて)。 後の章に進むに従い、個人的趣味嗜好の話になってしまったものの、それぞれ面白く読ませてもらいました。
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電子書籍にまつわる本かと思ったら、もっと本質的な話しでした。 大学での講義を元にしてあるのでわかりやすいです。 「第一講キャリアは他人のためのもの」は後の著作権の話しにつながっていく部分ではあるのですが、20代の時に、どんな仕事についたらいいか迷っていた時に読んでいたら・・と思え...
電子書籍にまつわる本かと思ったら、もっと本質的な話しでした。 大学での講義を元にしてあるのでわかりやすいです。 「第一講キャリアは他人のためのもの」は後の著作権の話しにつながっていく部分ではあるのですが、20代の時に、どんな仕事についたらいいか迷っていた時に読んでいたら・・と思える内容です。仕事に迷っている方は是非お勧めです。 第二講以降は既存のメディアについて鋭く踏み込んでいます。また著作権を理由に電子書籍に対して及び腰の現状については、著作権というものはいったい何かということを原点から説いています。 「無償で読む人を育てよ」というところに同感です。
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面白い。メディアとは人と人とのコミュニケーションを媒介するもの。作りだした物事はそれによって直ちに価値を持つのでなく、その存在に誰かが気付き価値を認識した時点で初めて意味を持つ。ただし、その認識された価値でさえ勘違いに基づくものであることが多い。
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最初の方は結構面白い話だったんだけど最後で なんか勢いがなくなった気がする。あくまで読んでる感覚だけど。 ただメディア、特に新聞とTVに関しての記述は中々勉強になった。 取り合えず弱者の味方をするのがマスメディアの役割で、そこから情報を基に修正出来るかどうかが重要。
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前半はちょっと同意できない部分もありましたが中盤、後半は面白かったです。 言うに値する視点である考えか。著作、教育、医療に対してのくだりも良かったです。
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どうも以前「文藝春秋」で、 村上春樹に関する原稿だったかを読んだときの印象が よほどよくなかったのか、 存在は知っていたが、読まず嫌いだった。 周囲の評判が上がれば上がるほど、 僕にはへそ曲がりの性分があるので、 いっそう無視することに決めていた。 ひょんなことから手に取り読む...
どうも以前「文藝春秋」で、 村上春樹に関する原稿だったかを読んだときの印象が よほどよくなかったのか、 存在は知っていたが、読まず嫌いだった。 周囲の評判が上がれば上がるほど、 僕にはへそ曲がりの性分があるので、 いっそう無視することに決めていた。 ひょんなことから手に取り読むことになった。 内田樹『街場のメディア論』。 いやぁ、おもしろかった。 凡百のメディア論と一線を画し、 自分の思考を貫くところが本当に面白かった。 メディアとは「ありがとう」という言葉。(p.203) 書物の価値は即自的に内在するのでなく、 時間の経過の中でゆっくりと堆積し、 醸成されてゆくものだと僕は思っています。(p.187) 僕はネット上で公開した自分のテクストについては 「著作権放棄」を宣言しています。引用も複製も自由です。 別に僕の許諾を得る必要はありません。 (中略) それは僕にとって、書くことの目的が 「生計を立てること」ではなく、 「ひとりでも多くの人に自分の考えや感じ方を 共有してもらうこと」だからです。(p.135) 内田が本書で展開する思考・論旨は、 インターネットにおけるソーシャルメディアの興隆を読み解くのに 役立つ予感がする。自前でもう少し考えを深めてみよう。 僕はこれまで内田樹のなにが気に入らなかったのだろう。 なにを受け入れたくなかったのだろう。 内田の思考を借りれば、 今が僕にとって内田の著作が読み頃であるように思える。 そのタイミングに「ありがとう」と感謝したい。 (文中敬称略)
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トラディショナルなメディアの凋落は、ネットや電子書籍のためではなく、彼ら自身に問題があったからだという話。大学2年生の講義を収載しているので、わかりやすい。目からうろこという感じ。
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電子書籍の議論の中で何が問題かというと、作り手が本を手にとる人が読者ではなく消費者として想定している点である、との考察は面白かったが、後半にいくにつれ…切れ味が落ちた。
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