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朱子伝 の商品レビュー

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2021/05/26

「人類の知的遺産」シリーズの一冊として刊行された『朱子』のなかから、「朱子の生涯」の章を加筆修正した本です。 著者は「あとがき」で、朱子にかんする伝記は「朱子を神棚に祀りあげようとする姿勢は如何ともしがたく、彼の人間的葛藤や心の襞を描くことに抑制がはたらいている」といいます。こ...

「人類の知的遺産」シリーズの一冊として刊行された『朱子』のなかから、「朱子の生涯」の章を加筆修正した本です。 著者は「あとがき」で、朱子にかんする伝記は「朱子を神棚に祀りあげようとする姿勢は如何ともしがたく、彼の人間的葛藤や心の襞を描くことに抑制がはたらいている」といいます。これに対して著者は、「朱子がいわゆる人格者などとはとても思えない。むしろ彼は、人間的矛盾を一杯背負いこんだ人ではなかっただろうか」と述べており、本書では一人の人間としての朱熹の生涯のあゆみをたどることがめざされています。 著者のこうした試みが、朱子の研究においてどのような意義をもつものなのか、わたくしには判断がつかないのですが、「官」と「私」の世界のはざまで思索をつむいだ朱熹という人物のすがたが生き生きとえがかれた伝記だと思います。

Posted byブクログ