漂流巌流島 の商品レビュー
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歴史ミステリ。ふだん読まないジャンルで新鮮。低予算チャンバラ映画4本立ての制作スタッフな僕(脚本家)と監督。そんな設定で繋がる短編集。『漂流巌流島』人名に惑わされた。『亡霊忠臣蔵』仇討ちの理由はなんともシンプル。『慟哭新選組』一番気に入った話。近藤さん……。『鍵屋ノ辻』元の事件を知らなかったので、へぇと思うばかり。僕と監督が居酒屋で打ち合わせ中、客として居合わせたら、好奇心で聞き耳を立てかねない。
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歴史に残る四つの出来事を、監督とシナリオライターの二人が資料を元に色々話し合ってるうちに、実は……、と意外な真相に辿り着く。この「本当は……」というのが読んでいて楽しいですね。期待以上の作品でした。
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歴史小説は馴染みのない名前の登場人物が多くて苦手なので、最初少しだけ読んでしばらく放置してあったが、ふとしたきっかけでまた読み始めた。この作品は現代と歴史とが絶妙に行ったり来たりするので変化があり、歴史小説が苦手な自分でも一気に読めた。オチを含めてどこまで史実に基づいたストーリー...
歴史小説は馴染みのない名前の登場人物が多くて苦手なので、最初少しだけ読んでしばらく放置してあったが、ふとしたきっかけでまた読み始めた。この作品は現代と歴史とが絶妙に行ったり来たりするので変化があり、歴史小説が苦手な自分でも一気に読めた。オチを含めてどこまで史実に基づいたストーリーかは解らないが、エンターテイメントとしては上質。
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歴史書かと思った。 ものすごく緻密に文書を調べ研究しているけど、小説としての面白さとなると、個人的には難し過ぎた。 表題作の『漂流巌流島』に到っては、映像を撮るために監督とシナリオライターが史実について話している…という基本的な設定が、途中まで分からなかった。 ・漂流巌流島(宮...
歴史書かと思った。 ものすごく緻密に文書を調べ研究しているけど、小説としての面白さとなると、個人的には難し過ぎた。 表題作の『漂流巌流島』に到っては、映像を撮るために監督とシナリオライターが史実について話している…という基本的な設定が、途中まで分からなかった。 ・漂流巌流島(宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘) 上にも書いたとおり。 作者が106頁で「正直な話、真面目に考証に凝ったところでオハナシがつまらないなら意味がない」と、キャラクターに言わせている通りのことを思った。 私自身が、あまり宮本武蔵に興味が無いせいかもしれない。 この推理が本当なら、歴史的に大発見かもしれないし、殺人事件のアリバイ崩しならそれらしいけれど… ★★ ・亡霊忠臣蔵(赤穂浪士の吉良邸討ち入り) 表題作よりは楽しめたけれど、資料羅列の候(そうろう)文が読みづらくて困った。 現代語訳でもつけて欲しかったが、この程度の文章を読めない読者はいらないということだろうか? ★★★ ・慟哭新選組(池田屋事件を中心に) 新撰組には興味もあったし、多少なりとも読んできたので、読みやすかった。 しかし、落とし所が近藤勇の思想… 地味感否めない。 ★★★ ・彷徨鍵屋ノ辻(荒木又右衛門で有名な仇討ちもの) チャンバラ好きの年配男性は、荒木又右衛門は大好きみたいだが、私は一つも読んだことが無い。 ただ、現代の場面が多いこの作品が一番読みやすかったし、謎解きも推理小説っぽかった。 ★★★★
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鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」の正統な後継。メジャーなテーマはやりつくされたかと思いきやまだまだ鉱脈は眠っている模様。資料にあたっての解説の緻密さが、ややもすればパンチの弱さにつながるが、一次資料好きにはたまらないだろう。7.5
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講談でおなじみの歴史上の決闘、討ち入りの"真実"を史料を読み込んで解き明かす。あっと驚く解釈。巌流島の決闘が、赤穂浪士の討ち入りが、池田屋事件が…!! "探偵役"はドラマ演出家と脚本家の卵という仕立ても楽しい。 ただ、へへへ、せっかくの史料部分をななめ読みにしてしまう僕。さらに、最後のエピソードが荒木又右衛門。うーん。これだけ元になっている決闘を知らない。 こちらの消化不良のせいでの星3つ。
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漂流巌流島 歴史ミステリの分野は幕末維新の暗号以来だ。 結構、楽しめた。 表題作の「漂流巌流島」、「亡霊忠臣蔵」「慟哭新選組」「彷徨鍵屋ノ辻」の4編から構成されている。 映画制作の現場においてシナリオライターと監督が沢山の資料を前にそれぞれの事件を別角度から解釈を加え事件を再構成...
漂流巌流島 歴史ミステリの分野は幕末維新の暗号以来だ。 結構、楽しめた。 表題作の「漂流巌流島」、「亡霊忠臣蔵」「慟哭新選組」「彷徨鍵屋ノ辻」の4編から構成されている。 映画制作の現場においてシナリオライターと監督が沢山の資料を前にそれぞれの事件を別角度から解釈を加え事件を再構成していく。 単なる事件として捕らえるのではなく何か裏があるという視点でモヤモヤ感が出てくるのはやっぱりその事件に裏があるからなんだろう。最近の時代小説のプロットも史観という大それたものではなくこういう疑問を積み重ねていっているものが多い。 誰でも知っているネタがベースだから世間のイメージを覆る発想は驚きの連続だ。多分、テレビでも似たようなものを見ているのかもしれないが読み返せる分、事実に基づいた別世界がはっきりつかめる。 巌流島は400年前、忠臣蔵は300年前、鍵屋ノ辻は350年前、新選組でも150年前だ。事実を伝える書物の裏を読む作業はまさにミステリだ。
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ネタ的には同社の鯨作品と被るようですが、映像監督と脚本家がホームズ/ワトソン役となっていて、ちょっとテイストが違っています。 なんて言うか、鯨作品は酒の席でちょっと軽めだけれど、こっちは資料を精査している感じ。 でも、リーダビリティ的にはどっちも読みやすいんですけどね。 ネタ的に...
ネタ的には同社の鯨作品と被るようですが、映像監督と脚本家がホームズ/ワトソン役となっていて、ちょっとテイストが違っています。 なんて言うか、鯨作品は酒の席でちょっと軽めだけれど、こっちは資料を精査している感じ。 でも、リーダビリティ的にはどっちも読みやすいんですけどね。 ネタ的には巌流島も面白かったけれど、鍵屋の辻ネタが面白かったかな。 後のネタも忠臣蔵と新選組なのでチャンバラものに興味があればお勧めですね。
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本作は、デビュー以来歴史ミステリを書き続けている高井忍先生の初めての著書、その文庫化作品です。ちなみに短編集ですね。 表題作『漂流巌流島』のほかに、『亡霊忠臣蔵』『慟哭新撰組』『彷徨鍵屋ノ辻』の全4編が収録されています。 基本的に、ビデオ映画の監督である三津木と、それにこき使...
本作は、デビュー以来歴史ミステリを書き続けている高井忍先生の初めての著書、その文庫化作品です。ちなみに短編集ですね。 表題作『漂流巌流島』のほかに、『亡霊忠臣蔵』『慟哭新撰組』『彷徨鍵屋ノ辻』の全4編が収録されています。 基本的に、ビデオ映画の監督である三津木と、それにこき使われるシナリオライターの<僕>が歴史的事件を題材としたビデオを撮る際に資料を洗い直し、どういうシナリオにするか飲み屋であーだこーだ言ってるうちに、通説とは違った、歴史事件のシナリオが見えてくる……みたいな構成になっております。(途中で女の子もでてきます) はっきり言って面白いです。取り扱ってるのは歴史的事件ですが、まず通説的なものを提示して、それに関する疑問点、矛盾を指摘し、全く別の視点の物語を見せる、と。本格ミステリ的なカタルシスを味わえます。 あと読み終わるとなんかとても勉強した気になれますね。すごい頭よくなった気分です。4つの中で特に面白かったのは新撰組の話です。一番よく知ってたからかもしれません。 ただ、僕は歴史に関して不勉強なので、新撰組の話は多少分かりましたが、それ以外はどれほどこの話がトンデモなのかがよくわかりませんでした。歴史なんて都合よく並び替えればそれっぽく見えるものですよね? 4つ目の「鍵屋の辻の決闘」なんて名前すら知りませんでした、って感じでしたし。うちの部員全員集めても知ってる人いないんじゃないかなこれ。 新撰組以外の話も結構ガチなのかな? ほんとこの本読むとこれこそ真実だ!って思っちゃいますけど、たとえば、源義経がチンギスハンの生まれ変わり、とか明智光秀こそ南光坊天海である、いかにテレビで真剣に語られていても、はーん?ってなっちゃいますしね。それと似たようなものかもって思っちゃうとなんかテンション落ちますね。そういうんだったらやだなーと。 ていうかこれこの本の感想じゃなくて、歴史ミステリってジャンルに対する否定ですね。はじめて読むんですけど、歴史ミステリってただ純粋にこういう史実を推理するロジックを楽しむものなのかあ。本当にそうだったかとか考えちゃいけないんだろうな。解説でも無責任な推理ですとかいってるもんなあ。徹底的に非現実のが俺は好きだなー。なるほど、これが歴史ミステリかー。ミス研にいなかったら絶対読まなかっただろうなあ。 何書いてるかわかんなくなってきましたが、締めますと、なんていうか雑学的な感じで万人に進められる本だと思います。普通に面白いです。勉強したい人にはおすすめです。 今回はそんな感じで終わりますー。
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どの話も大枠は同じ展開ながら話の中身は興味深いものがあった。 ひたすら事件の説明が続くより会話文も織り交ぜたほうが読みやすいかな。
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