薄紅天女(上) の商品レビュー
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ずっとずっと、大切に手元に置いておきたくて、文庫が出たのでとうとう買いました。わたしの読書の原点。 小学校6年のときに読んだのが最初だったと思います。区の図書館で見つけて空色勾玉を手に取りました。躊躇するほどの分厚さ。それでも手に取ったのは、当時某マンガに影響されて勾玉という単語に弱かったので。 結果としてのめりこんですぐ次の白鳥異伝、薄紅天女と続きました。結局最終的にいちばんだいすきになったのが、この薄紅天女です。 この本を、当時から変わらず、なによりも愛してやまない理由は、キャラクターがだれもかれもほんとうにすきだからです。 二連のやんちゃっぷりがかわいくて、藤太と阿高のかっこよさに惚れぼれして、当時のわたしの恋心をきれいにかっさらっていた阿高にはほんとにもう参りました。ちょっと斜に構えていながら、誰よりも藤太を信頼していて、そのまま普通に大人になれると思いきや、妙な血筋から変な力を持ってしまって。ちょっと不器用で言葉の少ない阿高が、どこまでも愛おしかった。 二連がいちばん輝いていたのは竹芝での千種さんとの騒動あたりで、あのあたりが上巻ではとてもすきでした。 でもいちばんすきなのは、下巻の、苑上に向かって、一緒にこないかと言わなかった、という、あのシーン。覚悟を決めていた、一生お墓にもっていくと決めた苑上を知っているからこそ、あのシーンは涙が止まらなかった。(よく考えるとお墓に持っていくという言葉の真意をはじめてわかったのは苑上のせりふだった) 児童書向けとは言われつつも、大人になっても、たのしめる作品であることは間違いなくて、ぜひよんでほしいし、もし子供ができたとしたら、本棚に置いておいてあげたいなと思う一作。 こんなすてきな作品をありがとう、と、いまでもだいすきで追いかけている、荻原規子さんに感謝。
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勾玉三作目。 大王の子孫といわれる阿高と藤太という二人の少年のお話です。 今作も大蛇の剣を巡るお話かと思っていたのですが、少し趣向が違う様子。まだ上巻なのでなんとも言えないですが。 幼いころから両親のいなかった阿高は竹芝の家で育てられますが、阿高の母親が実は蝦夷の巫女、チキサニだったという事実を知り、さらに真実を探るべく蝦夷へ向かいます。 阿高の父、勝総の末弟である藤太はチキサニのことを知っていて、阿高に隠していました。阿高に不思議な力があることも。 帝の者と、蝦夷の者が阿高の力を利用しようとしていることを知った藤太もまた蝦夷へ向かいますが・・・・・。 藤太の前に現れたのは狼の姿をした阿高だった。 と、ざっくりしすぎですが、あらすじはこんなところでしょうか。(全然うまく書けなかった) 上巻、なかなか核心をつかずといった感じで妙にふわっとしてましたね。 でも特に苦もなく読み進められました。時代もかなり移り変わり、実在する人も出てきたりでなかなか新鮮です。 白鳥異伝の小倶那と遠子の子孫が竹芝…阿高になるのでしょうか。 そろそろ家系図が欲しくなってきました。 とりあえず今作もかなり胸が締め付けられます。阿高が心配。
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単行本で積読み。 久しぶりに読むとこれまた日本ファンタジーのまさに代表作きたわこれーーーー!! と血がたぎる:笑 面白くて面白くて・・・・とにかくとまらない。 全体感想は下巻も読んでから!
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藤太と阿高。二連と呼ばれる二人は竹芝の地で連れ添わぬことはなかった。兄弟ではないが、兄弟以上の絆をもつ二人は竹芝の名物でもあった。 藤太は隣の地の少女に恋い焦がれたことにより二人の関係に変化が現れる。 夜な夜な阿高に現れる不思議な女性、坂の上田村麻呂、そして蝦夷。勾玉に選ばれ少年は、歴史の巡り合わせのように再び争いに身を投じ翻弄されていく勾玉シリーズ三作目。 一作目の空色勾玉、二作目の白鳥異伝とは系譜を繋がりつつ、今回一番変わったのは主人公が少女と少年ではないとうこと。二連と呼ばれるふたりの絆は強く、竹芝の仲間たちもいて微笑ましい。 登場する坂ノ上田村麻呂や蝦夷、アテルイといった歴史的にも有名な人物が登場し、帝と蝦夷の争いを描く、その前哨戦といったところか。 空色の稚羽矢や白鳥の小俱名のように能力を持ったのは蝦夷の巫女、チキサニの息子、阿高だ。しかしその力そのものは空色の沙耶や白鳥の遠子も呼ばれていた「巫女」の力だという。竹芝の子、藤太は力に翻弄される阿高を説得し落ち着かせる役目を担っているが、それは今までの沙耶や遠子の役割だった。藤太はどちらかというと帝、つまり輝に連なるものの血だ。この逆転現象はきっと歴史の流れによって変わってきてしまったのだろうか。実際のところはまだわからない。 少年少女が題材ではない分、色恋の甘酸っぱさはなかったが、千種という少女がそれを補完している。 藤太が惚れた千種、彼女の存在こそ、彼らを遠ざける要因にもなったが、素直になれない彼女もまた愛らしいところのある少女だ。 彼女が再びどう登場するのか楽しみでもある。 上巻は読了。下巻へ続く。
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空色勾玉、白鳥異伝に続く勾玉三部作の第三作目。 前の二作は神話などに基づいていたのに対し、薄紅天女は田村麻呂やアテルイなど史実の人間が登場して、どちらかというと現実味を帯びている気がした。 とは言え、やっぱり勾玉シリーズは面白い。 上巻ではほとんど友情や絆がメインだったけれど、阿高と藤太の絆はすごいと思った。あそこまで信頼できる人間がいることは正直羨ましい。 それと共に、謎があって続きがとても気になる。チキサニが放った悪路王が一体どんなものなのか、都で何が起きているのか。これからの展開にドキドキしてしまう。 あと一冊でこのシリーズが終わってしまうのは正直寂しいけれど、下巻も読み進めようと思う。
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東の坂東の地で阿高と同い年の叔父の藤太は双子のように育った。けれど、阿高の前に蝦夷が現れて・・・。勾玉三部作の第三弾。面白い。下巻へ。
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勾玉三部作最終章。時代物を読んだ後だったので、えらく読みやすく感じました。 闇(くら)の女神がまさか男に転生とは。ということで出だしは男二人が主人公で進むので、白鳥異伝と較べて、色恋沙汰は少なめ(?)。とはいえ、ましろと千種の修羅場が見ものだったり。 時代は進み、坂上田村麻呂とか蝦夷討伐とか、神話時代を抜けた頃。前2作に較べれば、より現実に近い感じ。平城遷都とかね、実際の地名・人物が出てきます。 チキサニの記憶を受け入れ、下巻は都へ大移動。異文化を受け入れるというのは大変なこと。阿高は倭と蝦夷をどのようにまとめるのでしょうかね。下巻の展開が楽しみ。現実世界では、結局武力行使で平定したんだろうなあ。なんだかんだと日本という1つの国家をなしているのだから。それでもアイヌの人たちは『内地とは別』、と思っているのかな。 リサトが可哀そうすぎて。涙目。 たまたまの偶然ですが、お仕事で坂東市にちょろっとお邪魔。籐太と阿高の二連はこの関東平野を馬で駆っていたのか、なんてフィクションなのに思ってみたりしてました。いやはや偶然にビックリでした。そもそも坂東市という市自体知らなかったし(すいません)。 チキサニ、大人しい女性かと思いきや、前作遠子とキャラかぶっている?
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前2作との繋がりも今の所薄い上に惹かれるところがあまりない。ファンタジーとしてきたところに坂上田村麻呂が出てきたのが一番の原因だと思うが…。下巻に期待。
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17歳まで共に育ってきた藤太と阿高。同い年の叔父と甥。 藤太にとって、今までと違う千種の存在。 阿高の中にいる、母であり蝦夷の女神でもあるチキサニ。 チキサニを追う都人・坂上田村麻呂に蝦夷。 様々な人の存在が二人の関係を変える。 蝦夷と共に消えた阿高。 坂上と共に阿高を追う藤太...
17歳まで共に育ってきた藤太と阿高。同い年の叔父と甥。 藤太にとって、今までと違う千種の存在。 阿高の中にいる、母であり蝦夷の女神でもあるチキサニ。 チキサニを追う都人・坂上田村麻呂に蝦夷。 様々な人の存在が二人の関係を変える。 蝦夷と共に消えた阿高。 坂上と共に阿高を追う藤太、広梨、茂里。 チキサニの記憶を得た阿高は、怨霊はびこる都へ行くことを決める。
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