原稿零枚日記 の商品レビュー
淡々とした語り口で語られる、ちょっとおかしな日常。何も不思議なところはありませんよと言いたげな語り手の態度が好き。すごく小川洋子らしい作品。
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日記形式で書かれている 女性作家の日々の暮らし。 って書くと エッセイを想像しますが 読むと日常と創作が混ぜこぜな感じになっております。 この女性作家からして 小説を書くよりも人の『あらすじ』を書く方が定評な 一風変わった感じです。 こぅいぅ雰囲気のお話し大好きです。 現...
日記形式で書かれている 女性作家の日々の暮らし。 って書くと エッセイを想像しますが 読むと日常と創作が混ぜこぜな感じになっております。 この女性作家からして 小説を書くよりも人の『あらすじ』を書く方が定評な 一風変わった感じです。 こぅいぅ雰囲気のお話し大好きです。 現実じゃナイのに、現実みたいに描かれてる。 想像なんだケド本当にありそうだったり 本当に経験してそうだったり・・・ 何も起こらないケド 毎日何か不思議が起こってる。 そんな本でした。
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作家の私の様々な一日の模様を日記形式に。ある日は取材旅行で訪れた温泉で食べた苔料理の話、または私の生家の見取り図の果てしなさ(庭先の無花果の木のそばの井戸に落とした赤ん坊の創作を現実にすり替えていく私。祖母の肘に住む二人の女性との思い出。)、ふらりと出かけた健康ランドでの一日と、...
作家の私の様々な一日の模様を日記形式に。ある日は取材旅行で訪れた温泉で食べた苔料理の話、または私の生家の見取り図の果てしなさ(庭先の無花果の木のそばの井戸に落とした赤ん坊の創作を現実にすり替えていく私。祖母の肘に住む二人の女性との思い出。)、ふらりと出かけた健康ランドでの一日と、その帰りのバスで出会った女性に言われた「あなたは私の八歳で死んだ娘なんです」という言葉(その言葉は私にすとんと落ちる)、バスツアーで巡った美術品巡りで消えていく参加者たちへの気持ちの寄り添い。 現実のすぐ隣に生きる地続きの不思議、いつしか私の目を通して現実は淡く色を透かしていき、不思議は生き生きと色彩を輝かせていく。最後の一文に()の中の書かれた今日の原稿の進み具合が少しくすりとさせる。
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なんかエッセイなのかと思ったが、何気ない日常の生活からちょっと逸脱していて独特な雰囲気が描かれている。読後はじわじわと身体中に余韻が浸る感じ。苔料理とか、え?苔?って感じですが。あらすじ係とかパーティー荒らしの話とか面白かった。ちょっと視点をずらすだけで日常の生活も特別なモノの変...
なんかエッセイなのかと思ったが、何気ない日常の生活からちょっと逸脱していて独特な雰囲気が描かれている。読後はじわじわと身体中に余韻が浸る感じ。苔料理とか、え?苔?って感じですが。あらすじ係とかパーティー荒らしの話とか面白かった。ちょっと視点をずらすだけで日常の生活も特別なモノの変わっていくのかな~。題名からくる原稿○枚ってどういう意味なのでしょう。
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小川洋子「言葉の標本」より。 。。。これが私の理想である。 小説が書けること(たとえ上手でなくても)、犬が元気なこと、タイガースが勝つこと。この三つさえあれば十分。他には大した望みはない。 。。。。。
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日記形式で書かれている作品。主人公の「私」は原稿がまったく進まない作家。 心地よい文章と描写だけど、自分ができないことを自分の感性が人とは大きく違うっていうことを開き直って言い訳にしちゃってる感が出ててちょっと読んでて息苦しかった。 あと、おそらく独身で子供のいない「私」なん...
日記形式で書かれている作品。主人公の「私」は原稿がまったく進まない作家。 心地よい文章と描写だけど、自分ができないことを自分の感性が人とは大きく違うっていうことを開き直って言い訳にしちゃってる感が出ててちょっと読んでて息苦しかった。 あと、おそらく独身で子供のいない「私」なんだけど、近所の小学校の運動会めぐりとか子供系のイベントにこっそり顔出したり新生児室の前で新生児を眺めたりするエピソードになんか引いた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とある女性作家の日記という体でつづられる不思議小説。 物語は取材のため山奥の温泉を訪ねた日から唐突に始まる。 日記だから主人公についての解説も何もない。 しかも散歩途中に料亭に迷い込み苔料理を食べ始めるに至って、 この本は一体何なんだと、これから残り200ページ以上どうなるのか、つかみどころがなさすぎて先行きが不安になる。 それでもめげず読み進めていると、ページが進むにつれ奇妙なほど世界観にはまってしまった。 主人公はどうやら独身で、入院中の年老いた母がおり、 役所の生活改善課から指導を受ける程度に生活は傾いている。 税金などの支払いを滞納しているから、本はあまり売れていない気配がある。 小説よりもあらすじを書くことが得意。 非常に赤ちゃんや子供に興味を持っていて、 毎年いろいろな小学校の運動会に忍び込んだり赤ちゃん相撲を見に行ったりする。 実に怪しい人だ。 全体としての起承転結はないけれども、1ページから20ページ程度で日々の出来事を積み重ねていく。 それぞれのエピソードも緩やかに連関があって、そういうのを探すのも面白い。 全体に流れる寂寞とした空気と、悲壮感の一歩手前の穏やかな雰囲気がなんとも心地よい。 レベルは全然違うが世にも奇妙な物語的な世界。 盗作疑惑にドキドキする日、 学習ノートに小説を書くことを怒られる日、 パーティー荒らしをかばう日、 見学地でひとりひとり参加者が消えていく日帰り美術ツアーの日が特に印象深い。 いや振り返ると全部面白い。 非日常の中に根ざした日常の風景や価値観が魅力的。 体裁的にも主人公の質感としても、『妊娠カレンダー』と類似した印象だけれど、もっと進化している。 また、『人質の朗読会』で一編のタイトルともなったB談話室が出てきてにやり。 あの話の主人公も、この会合に参加したことがあるかななんて想像してみたりした。 こういう意味不明系な話は好き嫌いが分かれると思う。 私的にも、最初はあまりに読者を突き放す出だしで憂鬱だったけれども、気づいたらちょっとびっくりするくらい面白かった。 小川洋子は天才だと思う今日この頃。 ちなみにタイトルは毎回、日記の最後に記されている本日の執筆枚数を表している。 ほとんど零枚である。いいのか。 http://www.horizon-t.net/?p=1009
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苔料理、譜めくり、あらすじ係、暗唱倶楽部。奇妙な主人公のまわりには奇妙なことが起こる。決して表舞台にはあがれないひっそりとした影を描くのが小川さんはうまい。
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静謐な雰囲気の中、ところどころに狂気を感じる。 小川さんの描く、静かに狂った女性の雰囲気がとても好き。
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日記形式の小説。 なぜか毎日ありえない状況に迷い込み、時には異界に引きずり込まれる。 エッセーに載っていた洋子さんの実生活が見え隠れするのも楽しい。このような妄想自体が洋子さんの実生活か・・・と思わせる。 どうしてこういう発想が出来るのか。上手いなぁ。 洋子さん好きには大歓迎の本...
日記形式の小説。 なぜか毎日ありえない状況に迷い込み、時には異界に引きずり込まれる。 エッセーに載っていた洋子さんの実生活が見え隠れするのも楽しい。このような妄想自体が洋子さんの実生活か・・・と思わせる。 どうしてこういう発想が出来るのか。上手いなぁ。 洋子さん好きには大歓迎の本です。
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