原稿零枚日記 の商品レビュー
すばる』誌に2009年1月号から2010年4月号まで連載された、著者独特の妄想・嘘日記。著者と思しき作家が綴るのは、いかにも生活感のある日常の中で展開される妄想的な事象の数々。妄想の中に入るあまり、結局本日も書かれた原稿は「零枚」と日記の文末に書かれる毎日が続く。 著者らしい、や...
すばる』誌に2009年1月号から2010年4月号まで連載された、著者独特の妄想・嘘日記。著者と思しき作家が綴るのは、いかにも生活感のある日常の中で展開される妄想的な事象の数々。妄想の中に入るあまり、結局本日も書かれた原稿は「零枚」と日記の文末に書かれる毎日が続く。 著者らしい、ややグロテスクで描写が細部にいたる奇怪な事象の数々は、その世界が好きな人にはたまらない。よくもまあこんな嘘が次から次へと出て来るものかと呆れるばかり。虚構の話を紡ぎ出す才能はやはり作家ならではのものだ。原稿が書けない言い訳を考えている内に、逃避する心が妄想の世界で遊ぶのだろうか?
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読み終えてしばし陶然とする。 売れない作家が原稿を書いたり捨てたりしながら日々の生活を綴った体裁だが、そこは小川洋子、内容はどこをとっても非日常的なフシギを織り交ぜた掌編になっている。 オススメします。
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相変わらずの小川ワールドですが、本作はあまり入り込めなかったなぁ。 しかし盆栽フェスティバルの文言にはぷっと笑ってしまいました。
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苔を食べたり、関係のない小学校の運動会を毎年見学に行ったり。 それなのに、自身の原稿は遅々として進まない。 「あらすじ」を作るのはうまいというのに… 日記風の不思議な世界が醸し出される小説でした。
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ある作家さんのちょっと不思議な創作身辺雑記。この人は、小川さんご本人とはどのくらいの距離があるのか、もしかして、かなり等身大の思いが語られているのではないか、と思いながら読みました。数々のヒット作を世に出し、今や大家とも言える位置におられると思うのに、小川さんの心の中では何に対し...
ある作家さんのちょっと不思議な創作身辺雑記。この人は、小川さんご本人とはどのくらいの距離があるのか、もしかして、かなり等身大の思いが語られているのではないか、と思いながら読みました。数々のヒット作を世に出し、今や大家とも言える位置におられると思うのに、小川さんの心の中では何に対しても足元が危うい自分を感じられているのでは、という気持ちがあったんですよね。“素寒貧な心の会”より入会証とバッジが届いたり、公民館の“あらすじ教室”の優れ者講師だったり、小学校の運動会や病院の新生児室、子泣き相撲を気配を消してひっそりと見学したり、盆栽フェスティバルに三人で出かけ本人以外の二人は盆栽の中に楽しく取り込まれてしまったり・・・。自分の居場所があるような、ないような、それを悲しんでいるのか、それもまたよし、と思われているのか、「ブラフマンの埋葬」や「猫を抱いて象と泳ぐ」をまた読みたくなってくる優しくも静かなお話でした。
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日記だからひとりの人の話のはずですが なんだか複数の人にも思える どんどん読めば 職業や家族関係が見えて来ます 趣味思考なども 源一郎サンのツイッターで これ、上手すぎるんですけど… …書評者が困るような仕掛けがしてあって、小川さん、意地悪だ! と書いてありましたが これはどうい...
日記だからひとりの人の話のはずですが なんだか複数の人にも思える どんどん読めば 職業や家族関係が見えて来ます 趣味思考なども 源一郎サンのツイッターで これ、上手すぎるんですけど… …書評者が困るような仕掛けがしてあって、小川さん、意地悪だ! と書いてありましたが これはどういう意味だったのかな 職業があらすじをまとめること 原作よりすばらしいあらすじを書き 筆が進まない老作家のうちにおよばれして 老作家を前に あらすじを読み聞かせ 本人を感動させた日があったから 源一郎サンに主人公の能力を超えた 書評が書けるのか!との挑戦と 受け取ったのかな
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