ワイオミング生まれの宇宙飛行士 の商品レビュー
ただの SF じゃなく宇宙開発 SF と銘打つだけあって、宇宙開発をテーマに虚々実々の展開な作品が集まっており、またそれぞれ違った読み口で楽しめました。
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本書は、宇宙開発に光をあてた全7篇からなるアンソロジーです。 スペースオペラではなく、"宇宙開発"ってところが特徴的ですね。 以下、収録作。 ・主任設計者 アンディ・ダンカン ・サターン時代 ウィリアム・バートン ・電送連続体 アーサー・C・クラーク&...
本書は、宇宙開発に光をあてた全7篇からなるアンソロジーです。 スペースオペラではなく、"宇宙開発"ってところが特徴的ですね。 以下、収録作。 ・主任設計者 アンディ・ダンカン ・サターン時代 ウィリアム・バートン ・電送連続体 アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター ・月をぼくのポケットに ジェイムズ・ラヴグローヴ ・月その六 スティーヴン・バクスター ・献身 エリック・チョイ ・表題作 アダム=トロイ・カストロ&ジェリイ・オルション うん、なんといっても表題作が素晴らしかった。 ロズウェル・エイリアン(いわゆる"グレイ")に酷似した外見で生まれてきたアレグザンダーは、世論とりわけマスコミの煽りを受けつつも、ただひたすらに宇宙飛行士を志望し、火星を目指すようになる。 そんなアレグザンダー少年の成長を綴った物語は、情感たっぷりで、読み終えた後は心に迫るものがあった。 こーゆう物語に弱いんだ。 さて、表題作や「月をぼくのポケットに」のように、宇宙への憧れを描いた作品もあれば、「主任設計者」や「献身」のように、宇宙開発の苦難を書き記した作品もある。そして、そのどれもが人間臭くてドラマチックだ。 そうか、宇宙開発ってのは、つまりは夢に憧れ、挑戦し続ける人びとの物語なのだ。 だから、物語のなかを駆けまわる登場人物にエールを送ってしまう自分がいるのだ。
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宇宙開発をテーマにしたSFアンソロジー。SFは想像の飛躍を楽しみたい派なので、序盤の歴史改変ものは知識不足も相まってあまり楽しめませんでしたが、それ以外の短編は面白かったです。特にお気に入りは二編。「電送連続体」、第二次世界大戦後に物質をデータとして転送する技術が開発された世界の...
宇宙開発をテーマにしたSFアンソロジー。SFは想像の飛躍を楽しみたい派なので、序盤の歴史改変ものは知識不足も相まってあまり楽しめませんでしたが、それ以外の短編は面白かったです。特にお気に入りは二編。「電送連続体」、第二次世界大戦後に物質をデータとして転送する技術が開発された世界の物語。技術の発達と同時に人の在り様も変遷していく様子が面白かったです。表題作「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」、映画の宇宙人そっくりな外見に生まれた主人公が宇宙飛行士を目指す話。ユーモアと独創性に溢れた傑作でした。
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非常に楽しみにしていたSFマガジン創刊50周年記念アンソロジー。 感動した! 素晴らしい作品集だ。 まさに宇宙開発! ロシアでの宇宙開発を感動的に描く「主任設計者(アンディ・ダンカン)」。どこまでが真実でどこからが虚構かがわからないのだが、すばらしく感動。技術者道。...
非常に楽しみにしていたSFマガジン創刊50周年記念アンソロジー。 感動した! 素晴らしい作品集だ。 まさに宇宙開発! ロシアでの宇宙開発を感動的に描く「主任設計者(アンディ・ダンカン)」。どこまでが真実でどこからが虚構かがわからないのだが、すばらしく感動。技術者道。 宇宙開発が当初の予定通りに進んだらこうなるみたいな「サターン時代(ウィリアム・バートン)」、今世紀最高のスーパーコンビによるのだが、イマイチ今回のアンソロジーには似合わない「電送連続体(アーサー・C.クラーク、スティーヴン・バクスター)」、偽・月の石を題材にした感動作「月をぼくのポケットに(ジェイムズ・ラヴグローヴ)」。 そしてパラレルワールドを描く大期待の大好きなバクスター作品「月その六(スティーヴン・バクスター)」、EVAで空気がなくなる当いう定番の背景ながら、ロマンあふれる「献身(エリック・チョイ)」。 そして、感動のエンディングを迎える「ワイオミング生まれの宇宙飛行士(アダム=トロイ・カストロ、ジェリイ・オルション)」。本作はエンディングの詰めの甘さが見られるが、とにかく表題作にふさわしいロマンあふれる作品だ。 いい作品に出合った時は非常に気持ちがいい。選者中村融の力量が問われるアンソロジーだが、今回は(同い年だからか)とても感動した。うれしい。
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そもそも宇宙開発SFというジャンルの、改変歴史物というものを初めて読んだので(架空の開発物はともかく)、歴史に疎いまま読み始めるとどこまでホントでどこから妄想なのかとってもあいまい。てへっ。歴史ifシミュレーションは基礎知識が必要… 面白かったのは、「主任設計者」「月をぼくのポ...
そもそも宇宙開発SFというジャンルの、改変歴史物というものを初めて読んだので(架空の開発物はともかく)、歴史に疎いまま読み始めるとどこまでホントでどこから妄想なのかとってもあいまい。てへっ。歴史ifシミュレーションは基礎知識が必要… 面白かったのは、「主任設計者」「月をぼくのポケットに」「ワイオミング生まれの宇宙飛行士」。
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私自身、完全に「SF」に目を奪われて買ったのだが、むしろ重要なのは「宇宙開発」の部分。 最初に収録されている『主任設計者』を読みはじめて「おや?」と思い、アンソロジーテーマを見直し、納得した。 未知とそれ故の恐ろしさの充満する宇宙へ臨む人々が織り成す様々な物語に、我々がこれまでに...
私自身、完全に「SF」に目を奪われて買ったのだが、むしろ重要なのは「宇宙開発」の部分。 最初に収録されている『主任設計者』を読みはじめて「おや?」と思い、アンソロジーテーマを見直し、納得した。 未知とそれ故の恐ろしさの充満する宇宙へ臨む人々が織り成す様々な物語に、我々がこれまでに歩みそして今後歩んでいくであろう対宇宙の道の、様々な可能性を垣間見た気がした。 人間ドラマを織り交ぜた物語が非常に多く、宇宙の壮大なスケール感を感じさせるようなSFを期待して読むと若干肩透かしかもしれない。 私は最後まで、とても面白く読めた。
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どの作品にも宇宙への前向きな夢が込められていて、読後感がとてもよかった。特に好きなのは、スティーブン・バクスターの「月その六」。ラストの主人公の語りが、この作品が発表された当時の、宇宙開発に抱く希望を象徴しているように思った。
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アポロ世代と『プラネテス』ファンは必読の宇宙開拓SF短篇集。 少しだけ先のSFが好き。西暦3000年とか人類が現在の人類でなくなったような遠い未来ではない。 それは、子どもの頃、藤子不二雄や手塚治虫のマンガを読んでいたからかもしれない。そして、アポロが月を目指していたからかもし...
アポロ世代と『プラネテス』ファンは必読の宇宙開拓SF短篇集。 少しだけ先のSFが好き。西暦3000年とか人類が現在の人類でなくなったような遠い未来ではない。 それは、子どもの頃、藤子不二雄や手塚治虫のマンガを読んでいたからかもしれない。そして、アポロが月を目指していたからかもしれない。 人類が月に行く。 それは、単純にワクワクすることだった。 アポロ11号での人類初の月着陸は、生放送では見てはいないけれど、録画映像やその後たくさん書かれた物語(家には「人類月へ行く」という学習マンガがあった)を通して、その偉業を体感している。 大阪万博には行けなかったけれど、アメリカ館に展示していた月の石を見たかったと今でも思っている。 そのアポロをぎりぎり覚えている1960年代生まれの者としては、西暦2010年の現状に納得していない。 なぜ、人類は木星や土星はおろか火星にさえ到達していないのか。 それは、私だけではなかった。 多くの作家が作品の中で、月へ火星へもっと先の惑星を目指した。 そんな物語を集めたのが、この『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』。 やはり表題作は読み応えがある。 それにしても、なぜ人類は宇宙開拓の歩みを止めてしまったのか。 冷戦の終了? コストに合わない? もし、月や火星に科学技術を発展させたり二酸化炭素やプルトニウムを発生させないエネルギーとなる新しい鉱物が発見されたなら! それは人類にとって、現実的にも想像的にも素晴らしいことだ。『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』や『プラネテス』がSFでなくなる。
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表題作の最後の一文で公園でべそべそと泣きました。 SFSFしているのは『電送連続体』と『月その六』なんですが、ほかもSFでなければ書けない話です。 とにかく読んでほしい作品ばかり。
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SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーである「ワイオミング産まれの宇宙飛行士」読了。改変歴史もので宇宙開発を取り扱ったものを中心としたアンソロジーなんだけど、大変良質でによによした。これは良いアンソロジー。 一番好きなものを選ぶのはちょっと困るけど、最初の「主任設計者」か表...
SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーである「ワイオミング産まれの宇宙飛行士」読了。改変歴史もので宇宙開発を取り扱ったものを中心としたアンソロジーなんだけど、大変良質でによによした。これは良いアンソロジー。 一番好きなものを選ぶのはちょっと困るけど、最初の「主任設計者」か表題の「ワイオミング産まれの宇宙飛行士」、大穴で「月をぼくのポケットに」かな。クラークの「電送連続体」も悪くはないけど、一番までは行かないかも。 「主任設計者」はソ連の宇宙開発ものなのだけど、アクショーノフのコロリョフへの想いの向け方が素敵過ぎる。いつか自分でオマージュしたくなる。 「ワイオミング産まれの宇宙飛行士」はテーマも、主人公の生き方や人格も大好きだ。マスコミへの皮肉たっぷりに描いてるのが好き。でも、一番好きなのは三人称視点に見せかけた二人称視点での記述だろうと思う。こういうのは大好きだ。二人称視点そのままだと鼻につくからなあ。
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