四雁川流景 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
盆地を流れる川の周辺に暮らす人々を描いた短編集。 それぞれの物語から土地の姿と広がりが見えてくる。きっと自分の住む土地にもこんな物語が山程あり、これから先も生まれては消えていくのだろう。 病気や老いや死を通して、生きていることが実感されてくる。 ただそこに生活があり終わりがあるのだと穏やかな気持ちになった。
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言外の想いが読み始めには心地よかったのだけれど、少ししつこかったかなぁ。最後、疲れました。A デールのやさしさが好きです。
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道尾氏が「無人島に絶対にもって行きたくない本」と言ったのがこれ。人恋しくなる物語だからだそうです。 印象としては薄くて軽い羽衣のような感じ。格調高いというのではないなあ。でも下衆なところがまったくない。やはり美しいという言葉しかないかな。 巫女さんに憧れる小学生の話など...
道尾氏が「無人島に絶対にもって行きたくない本」と言ったのがこれ。人恋しくなる物語だからだそうです。 印象としては薄くて軽い羽衣のような感じ。格調高いというのではないなあ。でも下衆なところがまったくない。やはり美しいという言葉しかないかな。 巫女さんに憧れる小学生の話など、これほどべたべたしない精通を描いたものは初めて読みました。ああ、これなら学校でも紹介できそうです。 寝る前に読むといい夢が見られますよ。
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川の流れのように、キラキラと眩しく、優しくするりと物語は進んでいきます。 人との出会いや関わり方の大切さに気付かせらました。 「布袋葵」がお気に入りです。
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四雁川が舞台の物語が7つ収められている。 どの物語も「死」が身近にある。家族や身近な人の死や老いが静かに、時に急速に語り手達の世界を変えていく様が淡々と、それでいてひどく丁寧に描かれている。 どの物語からも不思議と穏やかな印象を受ける。 悲痛な境遇に置かれた人物もいるのに、その...
四雁川が舞台の物語が7つ収められている。 どの物語も「死」が身近にある。家族や身近な人の死や老いが静かに、時に急速に語り手達の世界を変えていく様が淡々と、それでいてひどく丁寧に描かれている。 どの物語からも不思議と穏やかな印象を受ける。 悲痛な境遇に置かれた人物もいるのに、その語りは私を傷つけなかった。 玄侑宗久さんの著作は『アブラクサスの祭』のイメージが強くて少し身構えながら読んだが、『四雁川流景』は想像していたよりずっと読みやすかった。
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結納を翌日に控えた千鶴が グループホームの夜勤を務める「Aデール」 父が死に50年以上使われた義足だけが 実家の床の間に置かれている「残り足」 高校で一つ上だった憧れの葉子から 40年ぶりに手紙が来る「布袋葵」 娘が事故で死んだのは直前の自分の電話のせいだと 自らを責め続ける妻と...
結納を翌日に控えた千鶴が グループホームの夜勤を務める「Aデール」 父が死に50年以上使われた義足だけが 実家の床の間に置かれている「残り足」 高校で一つ上だった憧れの葉子から 40年ぶりに手紙が来る「布袋葵」 娘が事故で死んだのは直前の自分の電話のせいだと 自らを責め続ける妻と近所の店で飲む「地蔵小路」 風穴に出かけたまま戻らない予備校の友人を探すため 彼の本にメモされていた整体室を訪れる「塔」 五年生の浩太は祭りに向けて神社に通うのだが 巫女の常世さんが気にかかる「スクナヒコナ」 和尚になるため義州が転がり込んだ寺では 和尚さんと元やくざと噂される谷さんが葬儀を営む「中州」 写真:サカネユキ 装丁:関口聖司 玄侑さん初挑戦です。やはり死生観とか神仏に関わる短編集。 「Aデール」が一番面白く温かかった。 結納という言葉が認知症が進んだ老人たちを 昔の元気だったころへ引き戻してくれる。 次に印象に残ったのは「残り足」です。 亭主関白かに見えた自分の両親が、 実は母親が主導権を握っていたこともあったと 父の死後知ることになる。 死を扱うストーリーって感動ものに走る傾向にありますが、 玄侑さんが日常的に死を考えているからかそんなことはなく いいことも悪いこともひっくるめて死に向き合っている印象です。
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初玄侑さん。 四雁川の傍に暮らす人々のそれぞれのお話。 切なくも暖かいお話ばかりでした。 一番初めのグループホームのお話が一番好きでした。 人生って色々。 大変なこともいっぱいだけど きっといいもの。
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短編7作品から構成されているが、いずれも「四雁川」という名の 川、近辺での出来事により構成されている。 ときおり、作者のきらりと光る描写の場面で立ち止まり ながら読み進めた。どれも強烈に心にせまることはないが 胸の奥の郷愁を呼び覚ます物語である。作者が僧侶だけあって 各所に宗教家...
短編7作品から構成されているが、いずれも「四雁川」という名の 川、近辺での出来事により構成されている。 ときおり、作者のきらりと光る描写の場面で立ち止まり ながら読み進めた。どれも強烈に心にせまることはないが 胸の奥の郷愁を呼び覚ます物語である。作者が僧侶だけあって 各所に宗教家としての片鱗がにじみ出る作品だ。
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あるウエブ友さんのブログから読むことになった本である。 芥川賞作家だが私はこの人の作品は初めてである。 四雁川の流れのように日々の営みも流れていく。 優しい筆致のなかに宗教の深みも感じさせてくれる。 読み終えて心地よい、これは私の作品を評価するときの 物さしであるが、どの作品も(...
あるウエブ友さんのブログから読むことになった本である。 芥川賞作家だが私はこの人の作品は初めてである。 四雁川の流れのように日々の営みも流れていく。 優しい筆致のなかに宗教の深みも感じさせてくれる。 読み終えて心地よい、これは私の作品を評価するときの 物さしであるが、どの作品も(短篇)心地よさが残った。
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読み始めてすぐに今回は介護かぁ・・・と残念に思った。前作の小説、解離性同一性障害が題材の『阿修羅』を読んで消化不良をおこしていたからまたかという想い。読み進めるうち軸が介護でないことが見えてくる。 古くから川のそばに人は住み着き、水と共に生きる。 四雁川が流れる盆地に龍ヶ淵公...
読み始めてすぐに今回は介護かぁ・・・と残念に思った。前作の小説、解離性同一性障害が題材の『阿修羅』を読んで消化不良をおこしていたからまたかという想い。読み進めるうち軸が介護でないことが見えてくる。 古くから川のそばに人は住み着き、水と共に生きる。 四雁川が流れる盆地に龍ヶ淵公園・稲荷神社・権現橋・地蔵橋・地蔵小道と延命寺がある。木々が茂り、四季に咲く草花、川の中に生きるものとそれを狙う鳥の羽ばたき、水音が聞こえ風が匂う。そこにありきたりの生活があり、個人にとっては重大な事件や死も繰り返された自然の一部として土地にしみ込んだ長年の歴史にのみ込まれていく。 景色を同じくして7つの短編からなる本 私が一番好きなのは最後の「中洲」 延命寺に修行見習いとして来た義洲(ぎしゅう)25歳。葬儀のあるたび寺へ手伝いに来ている70過ぎの谷と出会う。谷の背中には龍の彫り物がある。葬儀が入ると義洲は、30半ばの陽子と一緒に住んでいる谷の自宅へ知らせに行く。その玄関先には水槽があり巨大な真鯉が泳いでいる。 4年が経ち、義洲が寺の副住職となった夏のある日、谷が亡くなる。延命寺で和尚夫婦、義洲、陽子とで谷の葬儀をする。 初秋、義洲が谷の自宅を訪ねるとそこに陽子は居ず、家財道具もなく水槽も綺麗に洗い片付けられていた。陽子は町を出た。帰り道、義洲は四雁川の中洲にある見慣れない大きな石を発見する。生前、亡くなったらあの川に骨を撒いてくれと言っていた谷の言葉を思い出し、あの石の下に谷の骨があると義洲は確信した。寺に帰り報告する。和尚さん、奥さん、義洲は、あの巨大な鯉を抱え川まで運んだ陽子に想いを馳せながら三人で一緒にお茶をすすった。 四雁川が実在するのか調べてみたが見つからない。それでも今も四雁川に真鯉と谷の背中の龍が泳いでいるのか、鯉が龍になる伝説を思い出しながら読み終えた。 玄侑宗久さんのお坊さんの出てくる小説が好きです。「中洲」はこの一編だけでも一冊の小説になる血がかよった作品だと思います。
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