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俺俺 の商品レビュー

3.2

122件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    28

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    17

  5. 1つ

    5

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2023/04/29

俺がたくさん出てきて、どの俺かもわからない。最後まで読んだが自分には何が何なのか、良く分からなかった。

Posted byブクログ

2023/02/17

職場付近のマックで成り行きから隣のお客になりすます…というはじまりから、最後はずいぶん遠くまで行く。 生きるために自分らしさを身につけるすべは教わらず、形ばかりで互いの切実さに触れあわない絆しか作ってこなかった人々ばかりが増えていき、自分が死んだことすらわからなくなる。 そん...

職場付近のマックで成り行きから隣のお客になりすます…というはじまりから、最後はずいぶん遠くまで行く。 生きるために自分らしさを身につけるすべは教わらず、形ばかりで互いの切実さに触れあわない絆しか作ってこなかった人々ばかりが増えていき、自分が死んだことすらわからなくなる。 そんな下等な連中と自分は違うと馬鹿にしているが、馬鹿にしているのは自分のことだから、下等なのも自分自身ということになる。自分で自分を貶めているんだから、この悪循環は終わらない。 でもこんな下等な自分の最後が誰かの役に立っていることに気付き、歓喜するもその時にはすでに… ユーモアがあって子気味良く読み進められるが、底なしに自分を映し出してくる、気が変になりそうなくらい恐ろしい話。でももっと今の「俺」が知りたくなる。

Posted byブクログ

2022/07/24

安部公房の赤い繭を思い出した。片や「俺」が増える、片やいなくなるの違いはあるけれど、「俺」が分からなくなるという点では近いものが。

Posted byブクログ

2021/06/28

石田徹也さんのイラストと、謎なタイトルにひかれて読み始める。 マックで隣合わせた男のミスで、ひょんなことから携帯を盗んでしまった俺。その携帯の持ち主に電話をかけてきた母。 魔が差した俺は、息子に成り済まし借金があると話し母親にお金を振り込ませてしまった。 翌日、家に帰ると知らない...

石田徹也さんのイラストと、謎なタイトルにひかれて読み始める。 マックで隣合わせた男のミスで、ひょんなことから携帯を盗んでしまった俺。その携帯の持ち主に電話をかけてきた母。 魔が差した俺は、息子に成り済まし借金があると話し母親にお金を振り込ませてしまった。 翌日、家に帰ると知らないおばさんが部屋に入りこんでいた。 どうやら、おばさんは俺のことを携帯の持ち主の息子だと思いこんでいるらしい。 その日を境に、俺が増えはじめる。 不安になって、自分の実家に帰省してみたら、別の俺が住んでいた。 俺と俺と俺と俺と俺。まわりは全部俺だらけ。 思考が追い付かないまま、終盤へ。 いつのまにか、俺をとりまく壮大なストーリーになっていた。 不思議な読後感であり、理解しがたい後味の悪さが癖になりそうな作家さんだ。

Posted byブクログ

2018/12/17

中3の女子が面白いから読んでみてよというので、読むことに。今の中学生ってこんなのが面白いのかと思いつつ読み始めるが、いつまでたっても話に入り込めない。電車で読んでいてもすぐに眠くなるし、ダラダラと時間がかかってやっと読了。 カメラマンを目指していたが諦めて今はカメラ売り場で正社...

中3の女子が面白いから読んでみてよというので、読むことに。今の中学生ってこんなのが面白いのかと思いつつ読み始めるが、いつまでたっても話に入り込めない。電車で読んでいてもすぐに眠くなるし、ダラダラと時間がかかってやっと読了。 カメラマンを目指していたが諦めて今はカメラ売り場で正社員として働いている永野均は、成り行きで携帯電話を盗んだ。そしてそれを使ってオレオレ詐欺をはたらいて、100万を携帯電話の持ち主の大樹の母親から振り込ませる。 でも、気づいたら俺、均は母親にとって大樹になっていた。そして、自分の永野の実家に行くと別の永野均がいて、母親は自分のことが分からなかった。それがきっかけで俺は別の俺の均と大学生の俺に出会い、自分故に分かり合える3人で楽しく過ごす。でもやがてそこら中に俺がいて、俺の嫌な部分を別の俺に見せられる。 やがて、俺ばかりで埋め尽くされてお互いに削除しし合うようになる。 大人のせいか、この話の意味とかいろいろ考えてしまう。 自分を受け入れられない、自分を信じられない、だから、人も信じられないのかとか。でも、結局分からない。意味はないのかも。 最後に殺し合わなくなるところは、人類が誕生して社会を最初に作った人たちのようだ。 表紙は不気味で面白い絵が使われている。この本の内容にぴったり。 不思議で不気味で、だるい。

Posted byブクログ

2018/10/29

あるところで『安部公房が好きな人」にオススメです』という紹介文を目にして読んでみました。 確かにね。 しかし悩ましい作品です。読了しても整理がつかず、他の人がどう感じたのかネットで検索してみました。そうしたらこれもバラバラですね。色んな人が色んな受け止め方をしている。 &quo...

あるところで『安部公房が好きな人」にオススメです』という紹介文を目にして読んでみました。 確かにね。 しかし悩ましい作品です。読了しても整理がつかず、他の人がどう感じたのかネットで検索してみました。そうしたらこれもバラバラですね。色んな人が色んな受け止め方をしている。 "俺"の周りの人間が次々に"俺"に変わり、"俺"は他の"俺"になり、記憶でさえ混線する。増殖し続け"俺"だらけになった果てに"俺"同士の殺し合いが始まる。と言うのが粗筋。なにせ主人公の永野均が檜山大樹と言う別人に変わり、会社の同僚達おろか自分の記憶さえすり替わって行く。一方では別の永野均が現れ、さらにまた別の永野均を名乗る学生が出てきて・・・・。書けば書くほど読んでる人には判んなくなる(笑)。 安部さんがその作品の中で、名刺に自己を奪われたり、マスクをかぶることで人格が変わったり、コンピューター上に自己の複製を作ったりして「人間の存在の不確かさ」をテーマにしたように、この小説も他者との混和による「アイデンティティの崩壊」を描いて居て、そういう意味ではよく似ています。星野さん自身が影響を受けた作家の一人に安部さんの名前を挙げてますし。ただ、安部さんが何処か内面に深く沈み込んでいくような物語なのに対し、この作品はやや外向的で毒々しくスラップスティック感があります。 でもそれだけでは無く別の要素もありそうな気がします(これが頭の整理がつかない原因)。 では、それが(何せ世の中が"俺"だらけになる物語なので)「画一化・均質化する大衆批判」かといえば、どうもそれについての批判や分析的なものは見られず、突っ込んでいません。むしろその先にある「同族嫌悪(=自分の嫌な部分を他者に見出し、激しく攻撃する)」なのかなと思えます。実際、物語の前半では3人の"俺達"が仲間意識で強く結びつくのですが、次第に嫌な部分を見つけ、"俺達だらけ"の中で無意味な殺し合いが始まり、終盤ではカニバリズムまで出てきちゃう、相当なものです。 ただ、それについては割にシンプルかつ直接的に原因や結論が書かれていて、ならばこれほどの長編では無く、短編から中編でも十分だったのではないかと思ってしまいます。エンディングに描かかれるディストピアからの脱出もやや安直な気もします。 しかし、この小説、映画化されてるんですね。そりゃ無茶でしょう。誰が誰なのか混然とし、頭がグチャクチャになり、しばしば前を読み返さざるを得ないような話ですから、映像化したらさらに混乱。それともスラップスティック・コメディ化したのかな。 色々書きましたが、他に無い不思議な面白さを持った話で、最後まで緊張感を持ったまま読ませて貰いました。

Posted byブクログ

2018/10/11

久しぶりの星野智幸。 オーエ賞の受賞やら、ジャニタレ主演の映画化やらで自然と敬遠してしまっていたが、そんな必要なかった。とても面白かった。 星野智幸作品に通底するテーマは「人の不安とは、安らぎとは」というものだと勝手に認識しているのですが、「ロンリー・ハーツ・キラー」で「他者(象...

久しぶりの星野智幸。 オーエ賞の受賞やら、ジャニタレ主演の映画化やらで自然と敬遠してしまっていたが、そんな必要なかった。とても面白かった。 星野智幸作品に通底するテーマは「人の不安とは、安らぎとは」というものだと勝手に認識しているのですが、「ロンリー・ハーツ・キラー」で「他者(象徴)に依拠し過ぎること」が描かれたのに対し、本作で描かれたのは「自己に依拠し過ぎること」でした。 結果、生まれる懐疑心と同調圧力によるカタストロフィは2作品とも、自死と他死が区別がつかない形で描かれます。 というわけで、終わりはいつもの星野節、という感じではあるのですが、本作の魅力は序盤から中盤の「周囲が『俺』である」というわけのわからなさをいかに描いているかに尽きると思いました。読んでて気持ちいいような悪いような酩酊を覚えた本は、ホント久しぶり。 読み終わって1週間ほど経ちますが、まだちょっと具合悪いです。

Posted byブクログ

2017/12/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

俺の崩壊。 オレオレ詐欺で簡単にお金をだまし取ることができた俺、永野均は、それから檜山大樹になっていた。 自分だと思っていたはずの永野均は別にいて、それからも俺を名乗る奴は日に日に増えていった。 他人と接することにうんざりしていた俺は、自分をまったく同じ意見を持つ俺らに好感を抱き、 世界が俺でいっぱいになればいいのにと思うようにすらなった。 けれど、都合のいい俺ばかりではなかった。 次第に増殖していった俺ら同士での対立と、互いを攻撃し合う削除によって俺らだけの世界はあっさりと危ういものとなる。 俺俺時代、ね。 アイデンティティの崩壊とでもいうのか。 極端な話にも思えるけど、誰にでも起こりうる可能性はある気もする。 表紙の絵を描かれた人も若くして亡くなったし、なんだか意味深。

Posted byブクログ

2017/06/24

後半の話が飛躍し過ぎのような気がする。 違う世界に飛ぶなら、冊子を分けて第二部にして欲しかった。 と言うか、入れ違いの話だけでも十分に面白い物語に仕上げられたはずなのが勿体無いと思われる

Posted byブクログ

2016/03/04

え~い、くだらん。それでも前半は、自我やら個性やらについて「俺」なりに考えをめぐらしてみたりもした。「俺」はれっきとした「俺」なんだけど、無限の先祖の遺伝子が集積しているからして、無限の「俺」の寄せ集めなのか。でもって誕生後も、数えきれぬ他人との関わり、直に接するだけでなく様々な...

え~い、くだらん。それでも前半は、自我やら個性やらについて「俺」なりに考えをめぐらしてみたりもした。「俺」はれっきとした「俺」なんだけど、無限の先祖の遺伝子が集積しているからして、無限の「俺」の寄せ集めなのか。でもって誕生後も、数えきれぬ他人との関わり、直に接するだけでなく様々なメディアを通して無限の人々の感性に影響を受けているのだから、やはり無限の「俺」の寄せ集めなのか。などとまあ、それなりに「俺」について考察しつつもあった。されど後半は何ぞや。まことにもってくだらん。終章のタイトルが『復活』とあるので、淡い期待を抱いて読み進めたが、けしからん。誰が書いて、誰が本にして、誰が薦めたのだ。きっと先祖で繋がってる「俺」か。選書して読了したのは紛う方なき「俺」だ。

Posted byブクログ