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終わらざる夏(上) の商品レビュー

3.9

80件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2019/10/12

占守島(シュムシュ島)に終戦ギリギリに急遽動員された奇妙な3名 45歳の英語翻訳者 若い反戦医師 やくざな戦争の英雄 彼らが主人公で終戦対策要員として派遣された 彼らの回りの登場人物に「一人ひとりの人生の価値」を認め、他方国家の意思により、翻弄され、蹂躙される。 それでも「人生...

占守島(シュムシュ島)に終戦ギリギリに急遽動員された奇妙な3名 45歳の英語翻訳者 若い反戦医師 やくざな戦争の英雄 彼らが主人公で終戦対策要員として派遣された 彼らの回りの登場人物に「一人ひとりの人生の価値」を認め、他方国家の意思により、翻弄され、蹂躙される。 それでも「人生は尊い」ものとして描かれている。 個々のシーンでは涙する場面も少なくない。 終戦ギリギリにソ連が不可侵条約を破って侵攻してきた歴史は、満洲を中心に語られるが、樺太も、千島列島にもドラマがあった。特に占守島は日本軍の最強精鋭部隊がソ連軍に壊滅的打撃を与えた歴史の1ページをものにしたが、知られていない。

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2018/10/18

8月15日の玉音放送の音声が不鮮明で、ポツダム宣言受諾、無条件降服の情報が伝わらない千島列島の北端の島に取り残された最強の戦車部隊。 終戦に間際に戦後処理の通訳として応召されたXXの運命は。 満州、樺太でソ連軍が終戦後攻めこんできた話は知っていたが、千島列島の北端の小さな島に最強...

8月15日の玉音放送の音声が不鮮明で、ポツダム宣言受諾、無条件降服の情報が伝わらない千島列島の北端の島に取り残された最強の戦車部隊。 終戦に間際に戦後処理の通訳として応召されたXXの運命は。 満州、樺太でソ連軍が終戦後攻めこんできた話は知っていたが、千島列島の北端の小さな島に最強の戦車部隊が取り残されていたとは、驚き。 集団疎開先から、脱出した6年生の女子と4年生の男子は、行く先々で親切な大人に出会い、何とか上野駅にたどり着く。集団疎開も、満足な食事もなく、過酷な状況だったようだ。

Posted byブクログ

2018/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一億玉砕の掛け声のもとに根こそぎ戦地へかき集められていく男たち。舞台は北千島の占守島なのだがまだ登場人物たちがそこに集まる前のそれぞれの話がほとんどで、いまいちまだ完全には乗り切れない。が、浅田節で、特に東北弁だったりするとそりゃもう涙腺は緩む。。翻訳家で年齢制限ギリギリ、目も悪いのに召集されてしまった片岡の妻久子とその母のエピソードが胸にくる。占守島に古くから住んでいて日本とソ連でいつのまにか分割され移動させられ、傲慢にも「幸せ」を勝手に決められた千島アイヌの人々の話も印象的。

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2018/02/10

たかが紙切れ一枚に人生を左右された人々を、浅田次郎が悲しくも雄雄しく描く。本文中の「空も海も風も、お天道さんだって嘘っぱちにちがいないが、おふくろだけは本物だと思った」を読み、鳥肌が立った。下巻が楽しみだ。

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2017/10/26

昭和20年夏、3人の男に召集令状が届く。 弘前で告げられた赴任先は千島列島の国境の島占守島だった。 著者の戦争小説にハマり、3冊目。 召集される者を選出する所から、とても丁寧に、1人1人の物語が語られています。 なので、上巻では島に向かうところまで。 占守島の戦いについては、ま...

昭和20年夏、3人の男に召集令状が届く。 弘前で告げられた赴任先は千島列島の国境の島占守島だった。 著者の戦争小説にハマり、3冊目。 召集される者を選出する所から、とても丁寧に、1人1人の物語が語られています。 なので、上巻では島に向かうところまで。 占守島の戦いについては、まるで知識のないままです。 役者は揃いました。 下巻に進みます。

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2016/03/07

連作の短編集のように進みます! それぞれの戦争への想いが丁寧に描かれています。 英語が堪能で知識のある夫婦、満州に新妻を置き去りにした軍人、母親想いの鬼熊。 悲しい時代の日本人の姿なんですね!

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2015/08/31

戦後七十年の2015年に読みたかった作品。浅田次郎のスタイルは私は好きかも。 今後、和平交渉に向かってどう展開していくのか楽しみ

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2015/06/14

2015.06.08 「永遠のゼロ」を読んだ人にはこの本を! ということらしいがまさにその通りだと思った。そしてその中身は重厚である。終戦間近に赤紙が届き、それぞれの立場の人が戦地へ。そしてその家族やそれぞれの土地での人間の生き様を描いていて胸にくる。「ほしめぐりの歌」そして千島...

2015.06.08 「永遠のゼロ」を読んだ人にはこの本を! ということらしいがまさにその通りだと思った。そしてその中身は重厚である。終戦間近に赤紙が届き、それぞれの立場の人が戦地へ。そしてその家族やそれぞれの土地での人間の生き様を描いていて胸にくる。「ほしめぐりの歌」そして千島列島の最北端で生まれた老人の言葉は胸を打つ。 「カムイ・ウン・クレ」神、われらを造りたもう、と。必ず通じるから。死を免れて生きる道を選ぶはずだから。わしらはみな、日本アイヌもアメリカアイヌも、たがいに争う意味などまるでない、ちっぽけな、人間という獣にすぎないのだから。アイヌとは「人」という意味である。

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2015/05/20

さすがの時代物。圧倒される調査、知識、取材量。こうは真似できません。下巻は史実にここまで忠実ならば、かなり悲惨な結末になるはず。

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2014/11/11

召集令状による徴兵の仕組みが細かく描かれていてよく分かった。 召集令状を受け取る本人や家族はもとより、作戦計画を立て必要な兵力を物量として下部組織に割り当てる参謀や、上から割り当てられた物量を個人名に落とし込む各連隊の責任者、さらには連隊で発行された召集令状を本人に直接届ける役場...

召集令状による徴兵の仕組みが細かく描かれていてよく分かった。 召集令状を受け取る本人や家族はもとより、作戦計画を立て必要な兵力を物量として下部組織に割り当てる参謀や、上から割り当てられた物量を個人名に落とし込む各連隊の責任者、さらには連隊で発行された召集令状を本人に直接届ける役場の担当者に至るまで、それぞれが課せられた義務や職責を懸命に果たそうとしつつも、皆それぞれの置かれた立場や個人的事情から様々な内面の葛藤を抱いている。作者はそれら一人一人に寄り添うようにして、その葛藤や苦悩を見つめる。その眼差しは温かい。

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