外務省革新派 の商品レビュー
日米戦争への道を敷いたのは日本陸軍だけではなく、それを支える国民の声があったというところまでは認識していたのだが、さらに外務省革新派という人たちもいて、積極的に全体主義への流れを作っていったとのこと。 まずは、このことだけで驚くわけだが、それが省内でのディスカッションにとどまら...
日米戦争への道を敷いたのは日本陸軍だけではなく、それを支える国民の声があったというところまでは認識していたのだが、さらに外務省革新派という人たちもいて、積極的に全体主義への流れを作っていったとのこと。 まずは、このことだけで驚くわけだが、それが省内でのディスカッションにとどまらず、国の外交方針に対する批判を含むさまざまま論文などを発表し、世論の形成にも寄与したという。 日本て、まったく「全体主義」ではないと思う。これだけの意見の多様性があるわけなので。。。。 とはいえ、外務省革新派の政策は直接的に外交政策に影響したところは少ないという。その影響は過大視されているのかもしれないが、暗黙のプレッシャーにはなっていたようだ。 戦後、革新派の何人かに戦犯になり、公職をパージされたりしたわけだが、結局、大使になったり、重要な役職についていたりしたらしい。 きっと頭の良い実務的に優秀な人たちだったんだろうな。 そういう優秀な人たちも、時流のなかでは、意味不明の右翼的、精神論的な言説を繰り広げていたということで、なんだかな〜と思う。
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満州事変後の外務省革新派とよばれる外交官の派閥について書かれたもの。緻密な調査研究に基づき論理的かつ学術的に話が進められており、説得力がある。太平洋戦争に至る我が国の政策決定に与えた影響についてよくわかった。印象に残る箇所を記す。 「政党は政争に明け暮れ、党利党略にかまけて国民...
満州事変後の外務省革新派とよばれる外交官の派閥について書かれたもの。緻密な調査研究に基づき論理的かつ学術的に話が進められており、説得力がある。太平洋戦争に至る我が国の政策決定に与えた影響についてよくわかった。印象に残る箇所を記す。 「政党は政争に明け暮れ、党利党略にかまけて国民の要望に応えず、最も重大な国防を軽視しているように、少壮軍人たちの目には映った」 「利潤本意の資本主義経済や政党主体の議会政治は、既得権擁護に傾きがちで国民の要望に応えないばかりでなく、時代の要請つまり「世界史的大変動」にも対応できない、と彼らは批判し、経済の計画化と効率化、国民の経済的・社会的平等の実現、それを基盤とした国民の再統合を図る革新的な政策案を提示する」 「併しながら今日既に欧羅巴連邦といふ事が提唱され、東洋に於ても東亜連盟乃至共同体の主張を見るのであって、世界史は今後必然的にその方向に進展せざるを得ないものと信ずる」(文藝春秋1940.1) 「自給自足を営むのには、その圏内に於ける各国の間に、従来の如く小さい国も大きい国も絶対主権を主張し、国境を設け、税関を設け、貨幣を別々に持つ、さうして小さな国までが軍備を持つ、さういふことであってはならぬのであって、その間には言はば国境は殆ど撤去されねばならぬ」(白鳥敏夫、1940.10講演)
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まずは改めて満州事変の同時代における衝撃の大きさを痛感する。 幣原外交の寵児と言われた白鳥であったが、 満州事変を引き起こした者達の理念や理想をダイレクトに体感するこで それまでの価値観がふっとんだことであろう。 理解を超えた事変の展開の中で、理想は実現可能なのだ、 世界は変革す...
まずは改めて満州事変の同時代における衝撃の大きさを痛感する。 幣原外交の寵児と言われた白鳥であったが、 満州事変を引き起こした者達の理念や理想をダイレクトに体感するこで それまでの価値観がふっとんだことであろう。 理解を超えた事変の展開の中で、理想は実現可能なのだ、 世界は変革することができるのだと思ったことであろう。 それがどんどんエスカレートし敗戦前についに「世界維新」という 発想に至るとはなんて極端に突き詰めたのだとびっくりする。 これは革新派の性格にもよるのかもしれないが、 事変が勃発したり敗戦が濃厚となったときに従前の論理を覆し、 新秩序建設なり神懸り的言説なりが発信されているようだ。 ある見かたでは、ただ時勢の変化に対して後付けで様々理屈や根拠を つけようとしているだけにも見える。 本書では章立てている個所では比較的に出来事を淡々と描写し、 逆にエピローグでは様々な革新派の性質についての考察をしている。 その影響力の限界や、背景にある大衆化社会についてなど。 先にエピローグやプロローグを読んでから1章に入ると読みやすいと思う。
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一九三八年七月、時の外相宇垣一成の私邸を八人の青年外交官が訪れ、所信を披瀝するとともに、彼らがリーダーと仰ぐ白鳥敏夫の外務次官起用を強く訴えた―ときに軍部以上の強硬論を吐き、軍部と密着して外交刷新を実現しようと行動した外務省革新派。彼らが主張した「皇道外交」は、満洲事変後の「世界史的大変動」の中で大衆に受け入れられ、世論を先導していく。戦争へ向かう時代を新たな角度で切り取る意欲作。
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本は旅の最良の友です。今回はそうではありません。知性の衰えもあるでしょう。それ以外があるのです。ビデオです。携帯プレイヤーに多くの作品が収納できるのです。興味深い本でした。しかし、心に響かないのです。原因は、作品にあるのか、僕にあるのかどちたでしょう。それだけです。
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【読書】1930・40年代の日本が戦争に向かう激動の時代。軍部と密着して外交刷新を実現しようと行動した外務省革新派。それを白鳥敏夫という一人の外交官を中心にみる。当時の政府内部の政策形成における雰囲気を感じる。
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[ 内容 ] 一九三八年七月、時の外相宇垣一成の私邸を八人の青年外交官が訪れ、所信を披瀝するとともに、彼らがリーダーと仰ぐ白鳥敏夫の外務次官起用を強く訴えた―ときに軍部以上の強硬論を吐き、軍部と密着して外交刷新を実現しようと行動した外務省革新派。 彼らが主張した「皇道外交」は、満洲事変後の「世界史的大変動」の中で大衆に受け入れられ、世論を先導していく。 戦争へ向かう時代を新たな角度で切り取る意欲作。 [ 目次 ] プロローグ 八人の青年外交官 第1章 外務省革新同志会 第2章 満洲事変の衝撃 第3章 皇道外交 第4章 「人民戦線諸国」対「全体主義諸国」 第5章 現状維持派との対決 第6章 新秩序を目指して 第7章 その後の革新派 エピローグ 外務省革新派の歴史的役割 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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ソ連は現在、一国社会主義に甘んじているように見えるが世界共産主義革命の夢を放棄したわけではない。当面ヨーロッパでの共産革命は無理だと判断しただけで、その矛先は今、アジア、特にインド、中国に向けられている。 外務省革新派は、あくまでアメリカと対等の信仰関係樹立を目指していた。外務省...
ソ連は現在、一国社会主義に甘んじているように見えるが世界共産主義革命の夢を放棄したわけではない。当面ヨーロッパでの共産革命は無理だと判断しただけで、その矛先は今、アジア、特にインド、中国に向けられている。 外務省革新派は、あくまでアメリカと対等の信仰関係樹立を目指していた。外務省革新派が実験を握り、戦争に向かう日本外交の舵取りをしたとは言えないが、皮肉なことに日本は国策は彼らが主張した方向に進んだ。
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