道元禅師(中) の商品レビュー
日本に帰国。中巻ではまだ永平寺には行かれていません。 上巻では色んな書物の名前や引用がたくさんたくさん出てきたのですが、中巻になると座禅のことが多くなってきます。 道元禅師の心持ちの変化が追えるようです。
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宋から帰った道元が、自らの禅道場を開くまでが書かれています。 説法がたくさん出てきます。多少読みにくいですが、道元の思想がよくわかります。
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宋にわたった道元は、諸国行脚の末に師・如浄と出会い、厳しい修行の末に印可を受ける。死期が間近に迫った師を残して帰国しがたい道元に対し、如浄は諭す。「あなたは日本に正法を伝えなければならない。あなたの教えの中に私は生き続ける」 日本に帰国し、日本初となる専門の禅道場を開いた道元...
宋にわたった道元は、諸国行脚の末に師・如浄と出会い、厳しい修行の末に印可を受ける。死期が間近に迫った師を残して帰国しがたい道元に対し、如浄は諭す。「あなたは日本に正法を伝えなければならない。あなたの教えの中に私は生き続ける」 日本に帰国し、日本初となる専門の禅道場を開いた道元の下には、様々な衆生が教えを求めて参じるようになった。それに比例して叡山の敵対意識は高まる。
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曹洞宗の開祖・道元の生涯を書いた力作。 仏教の教えは本当に難しくて、読んでいると、知らない言葉がたくさん出てきます。都度、仏教用語の事典で調べますが、それでも分かったような分からないような。 俗世の垢に塗れた僕ですから。道元の説法を隅から隅まで理解できていないのが正直なところ...
曹洞宗の開祖・道元の生涯を書いた力作。 仏教の教えは本当に難しくて、読んでいると、知らない言葉がたくさん出てきます。都度、仏教用語の事典で調べますが、それでも分かったような分からないような。 俗世の垢に塗れた僕ですから。道元の説法を隅から隅まで理解できていないのが正直なところです。ただ、鎌倉の時代、武士の台頭と度重なる天災とで、政情も世の中も激しく乱れ、不安の中にあって、只管打座(ただひたすらに座禅をすること)を説いた道元の教えは、今からほんの700年~800年前の日本人の多くの心を救ったに違いありません。遠くて近い昔の日本の、そして日本人の姿・有様が眼前に見えてくるようでした。 一番好きな場面は、執権・北条時頼との対話。渡宋し、正師・如浄の教えを受け、永平寺を開いた道元が請われて赴いた鎌倉の地。時頼が己の迷妄を断つため、道元に鎌倉の寺の住持になるように依頼します。しかし、時の権力者と交わるなかれとする道元は、毅然とこれを断ります。 「私には永平寺という寺があります。静かな山の中の小さな寺は、まことに修行に適しております。それ以上のものは、望みませぬ」 その場に居合わせた鎌倉武士たちに緊張が走ります。執権・時頼の申し出を拒否するなど、恐れ多くて、できるはずがないことだからです。ですが、道元は平然と断ったのです。 「それでは、自分の心を救う道はいかに」と問う時頼。それに対して道元ははっきりと答えます。 「捨てるのです」 「あなたの持てるものすべてを捨てるのです。地位を捨て、名誉を捨て、家を捨てるのです」 執権の職を降りることなどできるはずがないと時頼は強い口調で反論します。それに対して、道元はなおも説きます。 「仏土にあらざる王土なし。国が乱れるのは、仏の御心にかなっていないからです。長い歴史の中では、幾つもの国が生まれ消えていったではありませぬか。たとえ北条といったところで、そのひとつに過ぎませぬ。仏の御心にかなわない限り、国が栄えることはないのです」 執権を降りることはできない。それは鎌倉幕府をつぶすも同然である。時頼は怒気を含んで話します。そして、再び、鎌倉の地で寺の住持をしないかと道元に持ち掛けます。しかし、道元は即答します。 「お断りいたします」 天下の執権の命を聞かないのならば仕方がない、生かしてはおけぬ、と時頼は刀を抜きます。それでも道元はますます心静かです。座禅をする道元の姿はまさに悟りの境地を得た者の有様です。 そのとき、時頼は初めて、刀を前にされても動じない道元の姿に深い畏敬の念を抱くのです。今すぐに執権の座を降りることはできない、それでもいつかはすべてを捨てるときが来るだろう、と時頼。 道元は言います。 「水の流れゆくように、御心まかせになさいませ。発心はやむにやまれぬものでなくてはなりません。たとえ今はできなくとも、その御心がある限り、遠からずあなたはまことの発心を得て、身も心も自在の境地に至るでしょう」 時頼は道元に深々と頭を下げるのです。涙を流しながら、道元に感謝の意を表したのです。 …道元という難しいテーマを9年掛かりで書き上げた立松和平さん。よくぞここまで書き上げられたものと、僕も立松和平さんに深い敬意を表します。素晴らしい作品です。
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問答という言葉がある。 道元の言葉は簡単なようで、よく理解出来ない部分が沢山ある。 道元が壮年に達し、自分の信じる道を突っ走っている。 一番生き生きとした時期だと思う。 禅宗の日本の文化に与えた影響の大きさを感じながら読み進んでいるところだ
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