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グローバル化と銀 の商品レビュー

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2011/01/12

15世紀から19世紀に中国へスペイン領アメリカや日本から銀が流れ込んだ様子を書いている。著者は1571年にスペインがマニラを建設してから、グローバル化が始まったとし、輸出した銀を日本がインフラの整備に使い、また銅などの代替え商品があり、国際貿易に適応していったのに対し、スペインは...

15世紀から19世紀に中国へスペイン領アメリカや日本から銀が流れ込んだ様子を書いている。著者は1571年にスペインがマニラを建設してから、グローバル化が始まったとし、輸出した銀を日本がインフラの整備に使い、また銅などの代替え商品があり、国際貿易に適応していったのに対し、スペインは銀の産出量で優位で、精製過程でもちいる水銀へのアクセスが容易であったものの、代替商品がなく、国内のインフラも整理しがたく(とくに川が整備不能)、ハブスブルク家も戦争に銀から得た利益を浪費し、没落していったことを述べている。「一条鞭法」成立後の明朝は紙幣を廃止し、銀本位制に移行したため、銀を得るために輸出産業である絹や茶に労力を振り向けねばならず、「発展なき成長」に陥ったとする。要するに貴金属は直接生活の資源にならないのにも関わらず、それを得るための費用はバカにならず、貴金属を得るために人や資本を振り向けなばならないのである。その結果、人々の生活水準がさがる。つまり、銀は高くついたのだ。中国は西洋より500年もはやく紙幣を発明していたのに、紙幣制度を発展させられなかったのは残念なことである。16世紀あたりはいまより中国の人口が世界人口に占める割合が高く、25%にのぼったそうである。

Posted byブクログ