へびつかい座ホットライン の商品レビュー
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地球が突然意思疎通不能な「インベーダー」に侵略され、辛くも脱出した人類は水星や金星、冥王星などを新天地として新たな文明を築き上げている未来。へびつかい座方向からタイトビームに乗って飛んでくる謎のメッセージ「へびつかい座ホットライン」に含まれる情報を元に、禁断の遺伝子改変技術に手を染めたがゆえに死刑囚となった科学者・リロは、元大統領のトイードから、彼に秘密裏に協力することを条件に命を救い出される。トイードが提示した条件は、「インベーダー」を倒すための非合法な組織に加わって活動すること。トイードが作った自らのクローンが死刑執行されることと引き換えにトイードの秘密基地に向かったリロが見たのは、自分同様に集められた様々な分野の専門家たちのクローンだった。脱出を図り、失敗し、クローンとして再生され続けるリロが最後に見た、この世界の真実とは・・・ 人類の文明がインベーダーと「へびつかい座ホットライン」によって大きく変貌し、価値観やモラルもまた原形を留めないほど変容している世界。クローニング、身体改造、性転換、フリーセックスが当たり前となった世界で、複数のリロがトイードを出し抜くために必死の行動を続けます。リロは基本的に自分が助かることのみを目的に動いていますが、それが結果的に周りに理解者を作り、世界の真相を導く方向に向かっていくのが、この作品の展開の面白さ。しかも物語のメインとなるリロだけで3人いて、この3人が章ごとに入れ替わり立ち替わり現れるので、どのリロの話なのかしっかり考えながら筋を追っていかないとチンプンカンプンだと思います(^_^;SF慣れしていないと、この展開はキツいかなー。 物語の終盤、3人のリロの物語が少しずつ収束し、最終的にしゅっと1本の筋に納まってラストシーンに突入する様は、物語のダイナミズムを感じさせる心地よさです。あぁ、これで3人のリロは大団円を迎えるのね・・・ と思いきや、あれ???このラストシーンは、うーん・・・(^_^; 「余韻のあるラスト」と言って言えないことはないのでしょうが、鴨的にはどうにもすっきりしない尻切れトンボな終わり方に見えてしまいます。ここまで派手な舞台設定を用意してるんだから、もっと大きな花火をどかんと打ち上げて収束しても良いと思うんですけどねー。 まぁ、でもこの終わり方は、ヴァーリィらしいと言えば言えるんでしょうねぇ。
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残像の感動をそのままに読み始めたら、少し拍子抜け。クローン技術が読者を翻弄する。あれ?このリロは3号?4号?という感じになってしまう。同一人物の別々の人生や体験が、代わる代わる出てくるので混乱してしまう。八世界の事をもっと詳しく説明して欲しかった。
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最後が分かりにくい 表紙 6点鶴田 一郎 展開 6点1977年著作 文章 7点 内容 650点 合計 669点
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宇宙モノのSFを読みたい人が素直に楽しめる、正統派SF。主人公の女性リロが何度も殺され、その度にクローニングされて蘇生し、同じ名前の3人のクローンの物語が同時進行する。複雑だけれど終盤に3つのストーリーが接するあたりは読み応えあり。サイバーパンクの萌芽が垣間見えて楽しい。
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再読。前に読んだ時と印象が違う。もっと変な話だった気がする。あと、ハイブがもっと活躍したような記憶があるけど。 主人公への死刑宣告で幕を開け、最終的に主人公は3人になる、そういう話。と書くとすごくエキセントリックなポストヒューマンSFみたいだけど、本筋は王道のSF。活劇と言って...
再読。前に読んだ時と印象が違う。もっと変な話だった気がする。あと、ハイブがもっと活躍したような記憶があるけど。 主人公への死刑宣告で幕を開け、最終的に主人公は3人になる、そういう話。と書くとすごくエキセントリックなポストヒューマンSFみたいだけど、本筋は王道のSF。活劇と言っても良いくらい。背景として描かれるテクノロジーと社会はポストヒューマンそのものだけど、これも結構まじめなエクストラボレーションの結論という気がする。 そう考えるとものすごく真面目なSFだなあ。 しかし、この話はアイデンティティSFでもある。個人的には納得できてないけど、大きな一石は投じてる。
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クローンや性転換だとかが当たり前の世界において、あえてその意味を問うてくる。最初はまるでゲームのようにクローンを消費し、脱出を目指すが、そのあとからが本番。
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主人公が複数存在して、それぞれがストーリーを進めるという斬新的な(特に当時としては)作品。 以前から読みたかった本だ。でも、期待したのはホットラインの謎そのものなんだが、むしろテーマは主人公とそのクローンたちの一見ばらばらの活躍そして最後の集約にあるように思える。それはそれ...
主人公が複数存在して、それぞれがストーリーを進めるという斬新的な(特に当時としては)作品。 以前から読みたかった本だ。でも、期待したのはホットラインの謎そのものなんだが、むしろテーマは主人公とそのクローンたちの一見ばらばらの活躍そして最後の集約にあるように思える。それはそれで非常にきっちりとまとめあげており、きれいなエンディングとなっている、 が、私好みかと聞かれると微妙。インベーダーやへびつかい座人等すべてがクリアにならないもどかしさが残る。100点満点ではないな。
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主人公が何回か死ぬという変わった小説。ストーリテリングは、主人公の人格をうけつぐ別の個体によってつながっていくという実験的SF。同じ作者には一人称を使わない種族、バービーの物語もあったと思う。彼らが常に使う人称はweであった。
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