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日本文化論のインチキ の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2023/11/25

 江戸に幻想を抱く著名人、歴史に法則を見出すヘーゲル哲学など、あらゆる面で、著者は徹底的に批判する。意外な点をいくつか挙げると、佐賀藩の山本常朝『葉隠』は、徳川時代では知られておらず、武士の規範から大きく離れていることから、禁書扱いであった。遊女に関しても、中世と近世で意味合いが...

 江戸に幻想を抱く著名人、歴史に法則を見出すヘーゲル哲学など、あらゆる面で、著者は徹底的に批判する。意外な点をいくつか挙げると、佐賀藩の山本常朝『葉隠』は、徳川時代では知られておらず、武士の規範から大きく離れていることから、禁書扱いであった。遊女に関しても、中世と近世で意味合いが違うこと、フランスで女性に参政権が与えられたのは、1945年であることなど、本書は教科書には記載されていない面に触れる。

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2019/03/16

巷で話題になった日本文化論の非学問性を批判した評論で、ロジックや著者の考え方は分かりやすい反面、引用・紹介される本や論文がやや専門的なものに寄っていて、原典を知らないことによって実感としてピンと来ない部分があるというのが正直なところ。だからこそ、プロ倫やオリエンタリズム等の読んだ...

巷で話題になった日本文化論の非学問性を批判した評論で、ロジックや著者の考え方は分かりやすい反面、引用・紹介される本や論文がやや専門的なものに寄っていて、原典を知らないことによって実感としてピンと来ない部分があるというのが正直なところ。だからこそ、プロ倫やオリエンタリズム等の読んだことのある本への批判は受け入れやすく、納得。

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2018/10/03

なぜ人は「日本文化論」を求めるのか?それは、敗戦国である日本の自信を取り戻したいか、逆にもっと強烈に反省したいという気持ちがあるからだという。なら、その目的に適合するような形でインチキ本も出るのかもしれない。ただし、史料批判をやって実証主義的に論じたとしても限界はあり、残るは解釈...

なぜ人は「日本文化論」を求めるのか?それは、敗戦国である日本の自信を取り戻したいか、逆にもっと強烈に反省したいという気持ちがあるからだという。なら、その目的に適合するような形でインチキ本も出るのかもしれない。ただし、史料批判をやって実証主義的に論じたとしても限界はあり、残るは解釈次第という事になってしまう。そうなるとインチキと思えても、それは解釈の違いという事でしかなくなってしまう。日本文化論がアカデミズムの世界では相手にされていないというのが事実であるなら、そもそも学問的ではなく、一般人向けの娯楽本という事になるのだろうが。

Posted byブクログ

2017/02/25

ベストセラーなどでよく見る日本文化論本についての批評。『日本は海外のと比べてああだこうだ』と主張する本を学問的な厳密さからみて作者の無知や思い込みや意図からのおかしさを指摘する。著者のほかの本と重複するところがある。「恋愛輸入品説との闘い」(恋愛は明治期に輸入されたのでそれ以前に...

ベストセラーなどでよく見る日本文化論本についての批評。『日本は海外のと比べてああだこうだ』と主張する本を学問的な厳密さからみて作者の無知や思い込みや意図からのおかしさを指摘する。著者のほかの本と重複するところがある。「恋愛輸入品説との闘い」(恋愛は明治期に輸入されたのでそれ以前には存在しなかったという俗説への論駁)や小泉八雲の実像と評価などが後半中心。かれの新書にしては良いほうだと感じた。それでもサービス精神なのか余計な雑談のような散漫な部分や個人的な感情がむき出しの部分が多いのはいつものことだが。

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2015/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

社会科学及び学問のあり方から,従来の『日本文化論』を批判する。 まず,『歴史は一定方向に向かって進歩する』と主張して歴史に法則性を見いだそうとしたヘーゲルが「インチキ文化論」の源泉であると指摘し,「地道な実証」に「おかしな意味づけ」をすることで「非学問的」な議論が発生していることを批判する。 さらに,マックス・ウェーバーについて,「何でもかんでも宗教で説明」しようとする態度,「理念型」を用いた無理な議論の運び及び文献にあたる地道な作業の懈怠によって「学問をねじ曲げるのに貢献した」(65頁)と批判する。 ただし,詳細な論証は省略されており,小谷野氏の他の著作へのリファレンスもないのが残念(新書だから仕方が ない。)。 このほか,『日本語は非論理的な言語である』という主張に根拠がないこと,恋愛及び女性裸体は西洋から輸入されたとする主張への批判にも重点が置かれ,皇室と小泉八雲についても言及されている。 批評の対象とする論者の思想的背景を批判する手法を採っている点と,攻撃的(偽悪的?)な文体は好き嫌いが分かれると思われる。

Posted byブクログ

2014/05/05

日本文化論の入門書になるかなと思ったけど、日本文化論を知ってる人、その世界を知っている人じゃないと面白くない気がする。ただ、今後いろんな本を読む上で、参考にはなったかなー…という感じです

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2014/05/04

読了。相変わらず著者の膨大な読書量を背景とした蘊蓄を堪能。日本文化論、日本人論の名著とされる著書や著者がバッサバサと切られるのは壮観。 ただし私が好きな小谷野節は少なめ(田中優子女史への突っかかりが唯一か)。

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2014/02/04

日本文化論の「名著」を取り上げ、その「インチキ」を暴いた本です。 日本文化論に対しては、左派の方から、「日本文化」なるものを単一の実体のようなものとして扱う「本質主義」を批判するものがありますが、本書の立場はこうしたものとは一線を画しています。著者が「インチキ」だと批判するのは...

日本文化論の「名著」を取り上げ、その「インチキ」を暴いた本です。 日本文化論に対しては、左派の方から、「日本文化」なるものを単一の実体のようなものとして扱う「本質主義」を批判するものがありますが、本書の立場はこうしたものとは一線を画しています。著者が「インチキ」だと批判するのは、日本文化論の多くが実証的な手続きを踏んでいないということです。そうした意味では、本書はイデオロギー・フリーな立場からの日本文化論批判と言えるのではないでしょうか。 著者がこれまでくり返し論じてきた、「恋愛輸入品説」批判、「日本人は裸体に鈍感」論批判、平河祐弘らのラフカディオ・ハーン研究に対する批判なども、日本文化論批判という観点から再説されています。

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2012/05/23

タイトルの通り、日本文化論に関する通説批判なんじゃけど、自分に日本文化論の素養があまりにも無くて、楽しみ切れなかったというのが正直な感想。ただ、小谷野さんが一癖も二癖も、下手したら百癖あるんじゃないかという程のクセモノである事は伝わった。『もてない男』、『恋愛の昭和史』を手配した...

タイトルの通り、日本文化論に関する通説批判なんじゃけど、自分に日本文化論の素養があまりにも無くて、楽しみ切れなかったというのが正直な感想。ただ、小谷野さんが一癖も二癖も、下手したら百癖あるんじゃないかという程のクセモノである事は伝わった。『もてない男』、『恋愛の昭和史』を手配した。

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2012/03/05

よくある日本人論というものの大部分を「西洋としか比較していないのではないか」「歴史に法則性や、なにか深い原因のようなものを探ろうするのは非科学的でないか」「ある階層だけを日本人とみなすことは真実を見失うのではないか」「江戸時代という近世だけを元来の日本の姿ととらえているのはおかし...

よくある日本人論というものの大部分を「西洋としか比較していないのではないか」「歴史に法則性や、なにか深い原因のようなものを探ろうするのは非科学的でないか」「ある階層だけを日本人とみなすことは真実を見失うのではないか」「江戸時代という近世だけを元来の日本の姿ととらえているのはおかしくないか」といういちいちもっともなとらえかたで、過去の様々な有名日本文化論を批判している本。 その視点はすごくおもしろかったのだが、本の大部分が、読者にとってはどうでもいい同業の学者のこの論はここがおかしい的批判がえんえん続く著者の自己満足的な内容になっていたのが残念。 悪い意味でアカデミックな本なので、日本文化論界隈の学者の内輪もめに興味があればおもしろいかも?

Posted byブクログ