ぼくらは海へ の商品レビュー
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子どもたちだけで大きな筏を作る、という爽やかでワクワクするテーマと、どちらかといえばじめっとした不快感のある同級生や大人との人間関係を描いた児童文学。 同級生との人間関係や、焦り、裏切りの描写が本当に真に迫っている。
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最初、児童文学とは知らずに読み始めたので、 「少年、海、筏」とお題が揃ったところで、 イヤ~な予感を持ちつつビクビク読んだ。 そのうち、子供たちだけで海にのりだして筏が転覆して、 な展開があるんじゃないかと思うと、 少年たちが無邪気(でもないか)に筏づくりを進めて行くシーンも、 ...
最初、児童文学とは知らずに読み始めたので、 「少年、海、筏」とお題が揃ったところで、 イヤ~な予感を持ちつつビクビク読んだ。 そのうち、子供たちだけで海にのりだして筏が転覆して、 な展開があるんじゃないかと思うと、 少年たちが無邪気(でもないか)に筏づくりを進めて行くシーンも、 単純には楽しめない。 でも、子供同士の縦・横の関係や、 それぞれの性格や家の事情などの背景を読み進めながら 学校を超えた場所で、 一緒になってものを作る中で生まれるもの、は良いなあと思う。 終盤、自分の予想を超えたところの事件と、経過と、最終章は 衝撃的だったけれど、 読み終えた後はどこか気持ちの良さもあり。 そのあと、あとがき・解説を読んで これが児童文学として発表されたと知り、そう思って読んだ人にとっては ちょっとどころではないインパクトがあったんじゃないかと。 さらに、この作家が「ずっこけ三人組」の人だと知って、さらにビックリ。 私はそのシリーズを読んだことはないけど、 それだけの著名な人が書いた作品としても 問題作なんではないかなあ。 読み終わって、 そういえばパーソナルな電気機器が一つも出てこなかったなと気がついた。 子供たちは家・学校・塾・その他の場所で、 それぞれの人間関係を作り悩んでいる。 今は個人の家電のせいで、 別の人格になれる場所はどんどん少なくなっているような気がする。 まあ子供がいないので、ただの憶測ですが。
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すごい。自分たちだけで船を作る。この少年時代のワクワク起動の活力感と、どうしようもなく目の前にある現実に冷めている部分を同時に描きつつ…。あとがきのあさのあつこさんが書いていたアンビバレンツな感情を抱くのは、この小説が答えを書いていないからだろう。ラストの少年達は見つからない。見...
すごい。自分たちだけで船を作る。この少年時代のワクワク起動の活力感と、どうしようもなく目の前にある現実に冷めている部分を同時に描きつつ…。あとがきのあさのあつこさんが書いていたアンビバレンツな感情を抱くのは、この小説が答えを書いていないからだろう。ラストの少年達は見つからない。見つけるのは読者か、それより未来の人間か。
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夏休みのオススメコーナーでたまたま見かけて読んでみた。工事現場で船を作り海へ漕ぎ出すワクワク感、それぞれの家庭事情の困り感に共感できる。子どもの頃に感じた、なんとかならないかという憤りのようなものを思い出す。
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かつての児童文学の不文律を多いに無視した作品ですが、逆に文学の不文律は遵守しているように思われます。児童文学とは何か、文学とは何か、或いはそうしたカテゴライズの不毛さを痛感させられます。ただ、この作品が子供たちに訴える何らかの力を持った作品である事は確かです。
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あさのあつこさんの解説から読んでしまったので、どんな結末なのか、それが気になって読んだ。 親の考え方や家庭環境が、子供の人格形成に大きく関わることは、最近特に感じるところであった。この小説に登場する少年たちの環境は決して理想的な家庭ではない。だからこの結末を描きたかったのかな。 それにしても、恐るべし那須正幹氏。
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「ラストが衝撃」とか「異端の児童文学」としてではなく、 子どもたちの有機的な、生きた人間関係がすばらしいと思った。 あー子どものころってこうやって、なんとなくくっついたり、 なんとなく離れたりしたよなぁ、と。 たとえば児童文学に類型的な仲良し4人組なんかが出てくると、それはも...
「ラストが衝撃」とか「異端の児童文学」としてではなく、 子どもたちの有機的な、生きた人間関係がすばらしいと思った。 あー子どものころってこうやって、なんとなくくっついたり、 なんとなく離れたりしたよなぁ、と。 たとえば児童文学に類型的な仲良し4人組なんかが出てくると、それはもう、大人が子供時代を美化して描いてるんだよなぁと思う。 やなやつとけんかして友達になるシーンがあると、これは物語のルールに則って書いてるんだなと思う。 でも実際はそうじゃない。 子どものころの関係性ってもっと生きたものだった。 ……というところを描いているところがすばらしいと思った。 それだけに、ラストは、イメージで象徴的に終わらせている感じがして、 私は好きじゃなかった。
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一般的にイメージしている冒険小説とは違った。 学業も大切であるが、子供たちにも大切にしたいものがある。 その大切にしたい気持ちや行動が「舟を作る」ということで表現されている。 いわゆる冒険に向かうワクワク感ではなく、子供たちの悩みや突発性が表現されていた。
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とても懐かしい頃に戻れる一冊で、みなさんのレビューでもある通り、衝撃的な結末が待ってました。一番最後の終わり方も色々考えさせられた作品です。
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児童文学なんだとおもうんだけど、なんというか結構ダークな話。 「爽やかさ」とか「健やかさ」とか、ないわけじゃないんだけど、全部が吹っ飛ぶくらいにダーク。 最終章のあの終焉に向かう淡々とした描かれ方が実に不気味。
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