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他者のような自己自身 新装版 の商品レビュー

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2012/08/25

 ポール・リクール初めて読んだが、文章がなかなか難解だった。「自己」なるものをめぐって思考が凝らされてゆく。最初は言語における「自己」「自己自身」等が分析されるが、当然ながらフランス語での話なので、フランス語の知識がない自分にはかなり理解が難しい。  しかし苦労して読んでいくと、...

 ポール・リクール初めて読んだが、文章がなかなか難解だった。「自己」なるものをめぐって思考が凝らされてゆく。最初は言語における「自己」「自己自身」等が分析されるが、当然ながらフランス語での話なので、フランス語の知識がない自分にはかなり理解が難しい。  しかし苦労して読んでいくと、このスリリングな知的探究がおもしろくなってくる。  ただし、最後の方、なぜか話題は「倫理」にうつってゆく。なぜそうなるのかよくわからなかった。先日読んだマイケル・サンデルの続きであるかのような錯覚に陥った。カントが道徳の根本的価値と断じた「自律」の概念をたどることによって、「自己」をめぐる本書のテーマに還ってくる点は理解できたが。  ポール・リクールはもうちょっと著書を読んでみないと、立ち位置がよくわからないと感じた。

Posted byブクログ