未来医師 の商品レビュー

フィリップ・K.ディック【著】,佐藤龍雄【訳】

2023/05/06

医師パーソンズが25世紀の未来にタイムスリップするSF小説。未来世界は医療行為が罪とされ、出産がコントロールされているディストピアであった。ディストピアを改革する物語と思えたが、タイムスリップの伏線が張り巡らされた物語である。タイムマシンによって過去を変え、未来を変える物語はよくある。タイムマシンで行動することが織り込み済みで現在や未来があるという物語である。私は『映画ドラえもん　のび太の魔界大冒険』で初めて、この種の物語に触れて感心した。

2023/03/28

あまり入り込めなかった。パーソンズがロリスに惹かれる過程や、コリスの再殺害を決意する過程の描写がざっくりすぎて、ついていけない。

2022/06/26

25世紀は人間の平均寿命は15歳。治療行為が重大な罪となる世界。
文庫本帯の文句でディックお得意のディストピア小説を期待したが、この設定は最初にちょっこと出てくるだけでその後全く生かされず、唯の荒唐無稽なタイム・パラドックス話に読者は最後まで付き合わされる事になる。
原稿料を貰う為のディックのやっつけ仕事作品なのは確か。

2018/06/26

SF的に面白い面白くない以前に、奥さんがいるのに（その時点で帰れるであろう目算はまだあるのに）、別の女と関係持って子供まで作る時点で「ねーわ」って思ってしまった。

2016/10/22

ディックの作品を年代順にたどるひとりディック祭り。
この作品はというと、ディックの特徴である現実の贋物感だったり、不安感もなくいまいちな作品。この2年後「高い城の男」が発表される。夜明け前の闇か。

2016/02/26

❖本作は次々未訳著書の翻訳が進む中、かなり遅くに紹介されたもの。そんな経緯もあって本作に期待はさほどしてなかったのだけれど、意外と愉しめた。作品前半部の場面展開（転換）について、物語の行きづまりからの逃避（はぐらかし）かと思ったが（著作にはままある）、後半部のタイムリープの交錯するたたみかけるような物語展開にそれは巧く符合して、パズルのピースが次々嵌まるような小気味よさがあった。著作（長編）は明確でない結末が多い印象を自分は持つが、本作はオチも巧く効かせて、すっきりした後味のよい終幕（読後感）であった。

2023/08/10

現代的な価値観が時代のどこかで転換し医療が禁忌とされるような全く異なる思想を持つ社会へと変貌を遂げた２５世紀が舞台。主人公が迷い込んだ２５世紀の社会の様子が少しずつ明らかになっていくのがとてもわくわくして読むのが止まらなかった。純粋に面白いと言える一冊。

2013/04/07

ラスト２０ページぐらいは名作の予感を感じさせるが、それ以前の文章が結末に対する壮大な枝葉となっている感あり。この作家にはこれくらいのささやかなハッピーエンドですら許されないのではないかとも思えてしまう。

2013/04/04

未訳だった小説ということでそれなりかと。構成要素や仕掛けはディックそのものですが、評判の高い他の作品ほどの衝撃は無かったです。残念ながら。

2013/03/30

最近SFを読んでなかったので、書店で適当に目に入った古そうなこの作品を購入．
なんと原作は1960年。
未来にタイムスリップしてしまった医者が主人公。
めまぐるしい場面展開でいい感じなのだが、いかんせん翻訳物は登場人物の名前が覚えられない。。。
特にこの作品は人物描写があまり書かれていなかったので、余計誰が誰かよくわからなくなってしまった。