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秋の断想 の商品レビュー

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2025/12/20

ジッドの作品の中でも評論や講演といった、なかなか文庫としては出てこないであろう作品をまとめたもの。 戦間期にあって、未来に対する彼の期待や考えるひととしての矜持がどこまでいっても貫かれている。訳の都合で、翻訳当時の旧字のままとなっているが、翻訳を担った方たちも、きっと彼のそういう...

ジッドの作品の中でも評論や講演といった、なかなか文庫としては出てこないであろう作品をまとめたもの。 戦間期にあって、未来に対する彼の期待や考えるひととしての矜持がどこまでいっても貫かれている。訳の都合で、翻訳当時の旧字のままとなっているが、翻訳を担った方たちも、きっと彼のそういう力を感じ、信じたからこそ今もこうして残っているのだと思う。 はじめに言葉ありき。私たちは存在を前提にしか考えることも生きることもできない。ゼウスもプロメテウスも同じひとつの裏表に過ぎない。キリストのもたらした誤謬、最期の叫び。わたしたちはただ生きて、そして死んでいく。それはただのことばでしかない。存在の網からは決して逃れられない。ジッドの神はそういうものであった。彼からしてみたら「見捨てるも何も一体全体生きるとは死ぬとはなんなのだ。今生きている以上何ものも救いもしなければ見捨てもしやしない。誰も死んだことなどないのだから」このくらいの感覚なのだろう。 だからこそ、次に生きるひとびとに「どう生きる”べき”なのか」を問い続け、そして問い続けたひとに惜しみない賛辞と激励を与えてきたんだとも。

Posted byブクログ