通貨燃ゆ の商品レビュー
様々な資料や理論を読み解き、通貨について述べられた本。通貨について論じる場合、純粋に経済的視点からみるのは誤りで、必ず政治的・地政学的視点の大切さを強調している。出展が明確であり、かつ論理的にわかりやすく説明がなされており、学術的な良書である。特に人民元に対する見方はとても参考と...
様々な資料や理論を読み解き、通貨について述べられた本。通貨について論じる場合、純粋に経済的視点からみるのは誤りで、必ず政治的・地政学的視点の大切さを強調している。出展が明確であり、かつ論理的にわかりやすく説明がなされており、学術的な良書である。特に人民元に対する見方はとても参考となった。また、ポンドからドルへの基軸通貨移行に伴う政治的覇権獲得の描写は興味深く読めた。全体的に共感できる箇所が多く、世の中の動きをよく分析しているものと思われ感銘を受けた。 ・ バラッサ・サミュエルソン理論(高成長国では生産性上昇→賃金上昇→物価上昇(インフレ)→為替上昇)は、中国には適用できない。 ・ トリフィンのジレンマ: 基軸通貨は基軸通貨国の国際収支赤字によってのみ外国人に供給され、その国際収支赤字は基軸通貨の信認を低下させるから、基軸通貨の供給量拡大と信認維持とは両立しえない。 ・ ドルの行方を論じる場合、決済通貨としてドルがどれほど便利であって、かつ代替のききにくいものかに着目すべきである。ドルは一般に思われている以上に、今後とも長い間第一の決済通貨として使われるであろう。 ・ ワシントンの知識人や専門家、一流とされるジャーナリストと同じだけの視野、経験、知識をもち、世論形成力をもつ知的集団は、まず米国の他には存在しない。
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Thu, 01 Jul 2010 「通貨とは国際政治そのものだ」 文庫本でよむのが,もったいないというか,申し訳ないほど かなりの重みのある本だ. 政治経済学という学問を軸に据えているようだが, 権力と政治(ある種,暴力や謀略を含む)の中で通貨を論じる. ブレトンウッズ体制で...
Thu, 01 Jul 2010 「通貨とは国際政治そのものだ」 文庫本でよむのが,もったいないというか,申し訳ないほど かなりの重みのある本だ. 政治経済学という学問を軸に据えているようだが, 権力と政治(ある種,暴力や謀略を含む)の中で通貨を論じる. ブレトンウッズ体制でいかに,イギリスからアメリカに国際政治権力が移ったかという点や,ユーロの可能性とドルの優位性, 第二次対戦以来の世界の最大の事件を 「ニクソンショック」 におく. ニクソンショックとはアメリカによる金兌換の一方的な停止. ここから,金融経済は漂流へ向かい,バブル,アメリカの金融危機などを 誘っていく. 今後を考えるにも,とてもおもしろい本だと思う.
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【書評】 スーザンストレンジはかつて、居心地のいい学問の専門分化を止めるときに来ていると主張した。本書は通貨にまつわる国際金融を巡るイシューを政治学と経済学の相互作用に重点を置いている点で筆者の言うように女史の意思を継ぐ形になっている。 本書ではドル基軸体制が今後とも続く体で書かれているが、その主張には説得力がある。内容も、ストレンジのように難しくはない。本書の核を 自分なりに解釈すると、通貨とは知的で制度化された戦争の手段になるのであり、現状の国際通貨システムは始め法源によって、今は慣行によって作りだされた経済合理を越えた権力の現れといったところか。 他の本と異なる特徴は、ドルと言う偉大なネットワーク財を支える「基礎的インフラ」に注意を払っているところだろう(文庫版のための補論)。ここを読めば、「全てのドルはNYに通ず」ることが分かり、そこへ集まるのは現金のドルではなく「情報」であることに気がつく。そして、ドル基軸を支える基礎的インフラは、国際公共財の健全な維持と言う名目に米国国益が挟み込まれ、米国企業が金融で優位を維持する仕組みを提供することが分かる。 しかし、本書の醍醐味はブレトンウッズ会議における記述である。英国の覇権を支えた閉鎖的な帝国特恵関税に穴をあけ、制海権を奪い、金•ポンド基軸体制を譲渡させる、覇権交代、父親殺しによる遺産相続にある。さらに、ニクソンショックが予見可能であったことを実証しようと言う意欲作でもあり、米国のメンツを保ちつつ他国に責任転嫁する外交的巧緻さを伺い知れる。またニクソン声明の意図を完全に読み間違える、今の日本に通じる情報感度の弱さが暴露されている。
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「通貨とは政治の産物であり、その流通圏はそのまま通貨発行国の勢力圏でもある」という観点に立ち、その覇権争いの節目と言うべき歴史的事件を考察し、これからの通貨勢力図を見通す、今まさにタイムリーな試論を展開する本
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通貨に関連した出来事の背景を政治の動きから描写。特に、ポンドからドルへの基軸通貨の交代が、経済活動の中で ”自然に””徐々に”ではなく、ある特定の時期に政治的に為されたとの部分は興味深い。その舞台として記述されているブレトン・ウッズ会議の英国側の代表があのケインズということは実は初めて知った(有名なことなのかもしれませんが)。日本が米国に戦争で敗れた同時期、英国もマネー戦争において米国に大敗北(どちらも国務長官ハルが大きな影響を・・・)しており、日英は同じ位相にたっている点などは初めて認識。その他にも”ユーロはフランスとドイツを永遠に縛り付ける制度””ドルの基軸体制はまだしばら続く”といった内容が記述されています。全体的に興味深く読ませて頂きました。 ☆3
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ある程度専門知識をもっていないと分かりにくい部分もあり。 ただ、全体としては通貨を別の視点から見ることができ面白かった。 ・メモ程度に箇条書 ポンドからドルへの基軸通貨交代の経緯 英国もまた第2次大戦の敗者であった(英国ケインズVS米国ホワイト) アメリカがIMFをワシントンに...
ある程度専門知識をもっていないと分かりにくい部分もあり。 ただ、全体としては通貨を別の視点から見ることができ面白かった。 ・メモ程度に箇条書 ポンドからドルへの基軸通貨交代の経緯 英国もまた第2次大戦の敗者であった(英国ケインズVS米国ホワイト) アメリカがIMFをワシントンにこだわった理由 中国の都市と農村の果たす人民元への役割 原油はドル決済(サウジとの密約など) ユーロ(独仏英の関係) ロシア、中国のドル基軸通貨への揺さぶり 世界的金融危機でドル回帰
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米国の為替政策の歴史を軸にユーロ、元にも言及。ドル石油の基軸体制は続くだろうと予想している。中国の都市と農村の関係で労働力は無尽蔵の話に は感心。
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