つやのよる の商品レビュー
死が近い女性、艶。その艶と深い関係があった7人を描くことで、艶が浮き彫りになる。 艶を若いときにレイプした従弟の妻。 艶の最初の夫の愛人。 艶の愛人だったかもしれない男の妻。 艶がストーカーしていた男の恋人。 艶のために父親の捨てられた娘。 艶を見取った看護師。 艶の最後の夫。 ...
死が近い女性、艶。その艶と深い関係があった7人を描くことで、艶が浮き彫りになる。 艶を若いときにレイプした従弟の妻。 艶の最初の夫の愛人。 艶の愛人だったかもしれない男の妻。 艶がストーカーしていた男の恋人。 艶のために父親の捨てられた娘。 艶を見取った看護師。 艶の最後の夫。 艶が最期を迎えるときを皆が知る。 人間は死ぬまでの長い間、ものすごく人に影響を与え与えられているんだと思った。ただこの艶とは関わりたくない。
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最初タイトルを見たとき、「つや」とは通夜のことかと思ってしまった。しかし、読み始めてすぐにそれが「艶」という女の名で、死の床に瀕しているらしいことが分かった。あながち、「艶と通夜」のイメージが間違ってだぶったわけではないらしい。そして、この「艶」は決して表立っては登場しない裏の主...
最初タイトルを見たとき、「つや」とは通夜のことかと思ってしまった。しかし、読み始めてすぐにそれが「艶」という女の名で、死の床に瀕しているらしいことが分かった。あながち、「艶と通夜」のイメージが間違ってだぶったわけではないらしい。そして、この「艶」は決して表立っては登場しない裏の主人公でもあった。 なかなか技巧をこらしたシチュエーションで、「艶」が直接登場する話は少なく、各編を通して他人の口から次第に「艶」の人柄や、名前通りの男性問題の数々が、間接的に明らかになっていく。そして、それぞれの物語は、「艶」の登場によって、少なからずその人生に影響を受けた人々の回想であり、現在でもある。 井上さんの小説をたくさん読んでいるわけではないが、この小説にも独特の、何か土着的なエロスの匂いがある。各編で描かれる女たちの情交は、まるで第2の「艶」が生まれ出てくるかのようだ。
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一人の女性と関係のあった男性の、妻の視点で話が進んでいくところに怖さを感じてしまいます。怖さというか、凄みといういうか、いやはや。そこまで男性を虜にしてしまう女性とはどんな感じの女性なのでしょうか?その辺の想像をかきたたされる物語です。どの様な女性を想像するかは、自分の経験や趣味...
一人の女性と関係のあった男性の、妻の視点で話が進んでいくところに怖さを感じてしまいます。怖さというか、凄みといういうか、いやはや。そこまで男性を虜にしてしまう女性とはどんな感じの女性なのでしょうか?その辺の想像をかきたたされる物語です。どの様な女性を想像するかは、自分の経験や趣味が否応無く反映されてしまいますね。一番最初の物語の石田行彦氏と、伝馬愛子氏のストーリーのを別の物語で読んでみたいと思いました。なんか、面白いストーリーが背後に隠れているような気がします。
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2010.6.28 三浦しをんの「私が語りはじめた彼は」とか、朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」みたいに、まわりの人々のお話から、その人が浮かび上がってくる手法。 やっぱり、関わりたくない~~
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7つの短編でほとんど関わりのない人たちの生活が語られます。共通点はタイトルにある艶(つや)という名の女性に全員が関わったことがあるということ。魅力的であろうこの女性は余命数日で読めば読むほどなぞが深まるばかりで全くイメージできないのです。
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井上荒野さんって好きなんですけどクセが強いですよね 艶、という死期の近い女性と関係を持った男のそばにいる女が空想、妄想、回想することで艶の実態が次第に明らかになっていく連作短編小説です。 O島(伊豆大島)とC市(調布市)が舞台。荒野さんも調布市出身ですからね。 ややこし...
井上荒野さんって好きなんですけどクセが強いですよね 艶、という死期の近い女性と関係を持った男のそばにいる女が空想、妄想、回想することで艶の実態が次第に明らかになっていく連作短編小説です。 O島(伊豆大島)とC市(調布市)が舞台。荒野さんも調布市出身ですからね。 ややこしいんですよ、登場人物が。 艶の従兄の妻とか艶の最初の夫の愛人、艶を看取った看護婦はまだしも、艶の愛人だったかもしれない男の妻。艶がストーカーしていた男の恋人、艶のために父親から捨てられた娘。 なかなかおもしろかったのに最終章の、艶の最後の夫の松生の語りで進められる話がつまらなすぎた。あれでまとめられるのはうーん。残念ですね。
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久しぶりに井上さんの読んでみたけどオトナ・・・ 死にかけている艶という女性、嫌いにはなれないですね。いろんなところで人に影響を与えてること、大なり小なり誰だってと改めて思う。
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