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賜物 の商品レビュー

3.9

7件のお客様レビュー

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2022/10/14

221014*読了 いろいろあって、この本を読み終わるのには長い時間がかかってしまった。 「巨匠とマルガリータ」にしろ、ロシア文学って奇抜な作品が多いのか?と思わせられました。 主人公フョードルの妄想なのか、現実なのか分からない場面は出てくるし、日本人にはなかなか分かり得ないロ...

221014*読了 いろいろあって、この本を読み終わるのには長い時間がかかってしまった。 「巨匠とマルガリータ」にしろ、ロシア文学って奇抜な作品が多いのか?と思わせられました。 主人公フョードルの妄想なのか、現実なのか分からない場面は出てくるし、日本人にはなかなか分かり得ないロシアの詩とその呼称(四脚ヤンプなど)が出てくるし。韻を踏んでいるところも、日本語にしてしまうと分からないから、ルビを振ることで伝えてくれていて、本当に翻訳者さんは大変だったろうなと思います。 亡くなったと思われる鱗翅類を求めて探検をしていた父の立場になっての想像と、第四章を丸々使ったフョードル作の小説と…本当に独特。 つまらないわけでは全くなく、おもしろいんだけれども理解が追いつかないというか。 とにかく個性がたっぷりでした。 また、この小説はナボコフさん自身と関連づいてる面もいくつかあるらしい。 そして、「ロリータ」はいつか読んでみたいなぁ。

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2012/01/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

難解だけれども、とても壮大で美しい小説。 この小説は、時間、あるいは記憶が主題となっている。 ロシア革命でドイツに亡命し、小説家、詩人として自らの作品を世に問いつつあるロシア人青年フョードルが主人公。 フョードルが詩人としてはじめて出版した詩集に描かれている幼年時代の記憶。 フョードルの知人である夫妻のひとり息子で、自らベルリンの公園の森で命を絶ったヤーシャの記憶。 探検家であり昆虫学者であるフョードルの父の記憶を題材にした未完の小説と、そのなかに描かれる異国の蝶の美しさ (ナボコフ自身、蝶類の学者だそうだ!)。 世界そのものの真の美しさに目を向けようとせず、抽象的な理論に終始する19世紀ロシアの唯物論者チェルヌィシェフスキー批判の小説。(こういう時代背景があってドストエフスキー「罪と罰」も生まれたんだなぁ。) 主人公は、時間にしばられた有限な存在としての人間の記憶に、あらたに言葉の音楽を吹き込んで作品とすることで、円環としての人間の営みを超越することを願望する。 「このすべてがそんな風に閉ざされ、魂の物置の片隅で失われてしまっていいものか、そんな風にはさせたくない、このすべてを自分に、自分の永遠と自分の真実に適用し、それが新たに成長するのを助けたいという、居ても立ってもいられないような狂おしい願望に彼はとらわれた。方法はあるーーただ一つの方法が。」 「そして非対称性や不平等に向かおうとする衝動から、ぼくには本当の自由を求める叫びが聞こえる、それは円環から脱出したいという願望であって…」 そして時間のかなたへと飛翔するのだ。 「さらば、本よ!」

Posted byブクログ

2011/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。 ジーナかわいいよジーナ しかし私が学生のとき読んだ『賜物』はこんな話じゃなかった ・主人公は文学青年 ・国境を越えて旅に出る ・そのまま生死不明 ・まあバッドエンド こんな感じだった じゃあこの記憶は別の小説のものなのか! どういうことなの!

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2010/10/09

ナボコフの大長編。しかし大長編というようなおおきなドラマはない。もしろ作家はディテールの、ミニマムな言葉のアクロバットに熱中しており、ちょうど泉鏡花にそっくりだ。 このような作品を十分に味わうには、余暇と忍耐強さが必要だろう。 自分も後年のひねった、珍奇さのある小説のほうが楽しい...

ナボコフの大長編。しかし大長編というようなおおきなドラマはない。もしろ作家はディテールの、ミニマムな言葉のアクロバットに熱中しており、ちょうど泉鏡花にそっくりだ。 このような作品を十分に味わうには、余暇と忍耐強さが必要だろう。 自分も後年のひねった、珍奇さのある小説のほうが楽しいのだが、これはこれで実に濃厚な、ナボコフならではの文学になっていると思う。

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2010/08/03

[ 内容 ] 1984年、ベルリンに暮らす20代半ばの亡命ロシア青年フョードルは、最初の詩集を刊行したばかり。 世界的な鱗翅類学者の父は1916年に中央アジアへの探検旅行に出かけたまま行方不明となり、美しき母と姉はパリに暮らす。 彼自身の生活は貧窮を極めるが、プーシキンやゴーゴリ...

[ 内容 ] 1984年、ベルリンに暮らす20代半ばの亡命ロシア青年フョードルは、最初の詩集を刊行したばかり。 世界的な鱗翅類学者の父は1916年に中央アジアへの探検旅行に出かけたまま行方不明となり、美しき母と姉はパリに暮らす。 彼自身の生活は貧窮を極めるが、プーシキンやゴーゴリといった偉大なロシア文学への献身が揺らぐことはない。 父とともに蝶を追った別荘の思い出、亡命ロシア人サークルにおける文学談義、運命の女性との夜ごとのベルリン彷徨…。 やがて彼は、芸術を二次的なものと考える進歩的思想家チェルヌィシェフスキーの評伝執筆に全力を傾けるようになる。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2019/06/02

[関連リンク] ナボコフ「賜物」にクラクラ: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2010/06/post-ccce.html 分身と幻影 - なんて退屈。: http://d.haten...

[関連リンク] ナボコフ「賜物」にクラクラ: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2010/06/post-ccce.html 分身と幻影 - なんて退屈。: http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20101101/1288836649

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2010/06/11

「ロリータ」で有名な作者のもう一つの代表作。 随所に文学的な技巧がちりばめられていて、作者の力量の高さをみせしめられる。 だが、翻訳であることもあり、作中にあるロシア語で書かれた詩などの本当の良さやすごさは今一つ分からなかった。

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