時効捜査 の商品レビュー
『警察庁長官を撃った男』(鹿島圭介)がとても面白かったので、同じ国松長官狙撃事件を題材にしたこちらも手に取りました。 本書の方が警察の捜査内容が詳細に書かれている。そして一人一人の捜査官の人となりなどを掘り下げているので、いささか脱線気味な部分も多い。 2冊とも面白かったが、...
『警察庁長官を撃った男』(鹿島圭介)がとても面白かったので、同じ国松長官狙撃事件を題材にしたこちらも手に取りました。 本書の方が警察の捜査内容が詳細に書かれている。そして一人一人の捜査官の人となりなどを掘り下げているので、いささか脱線気味な部分も多い。 2冊とも面白かったが、鹿島さんの方は「中村泰」という革命家の生き様を描いた本で、こっちは警察内部の抗争や操作の詳細を克明に記録したもの、といった印象を受けた。 読み物としては断然鹿島さんの方が面白いし、まとまっている。しかしこっちも読んでみると同じ事件を扱っていても、事件の対する視点が違うので、また楽しめた。 2冊読んでみて、結局犯人は中村の仲間の「ハヤシ」で、中村は現場に同行しただけなのではないだろうかと思った。 この事件の真相が解明される日が来ないと思うと、何とも感慨深いものがある。
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一つの事件をめぐって、都道府県警察において最大 規模の警視庁とその上位組織の警察庁が迷走する様 がかかれている。捜査指揮者の稚拙な思い込みや、 公安部、刑事部の瑣末な縄張り争い。まるで自らが 真実に迫ることを放棄するかのような、行動。これ が当時の警察機構の実態だったと言われても...
一つの事件をめぐって、都道府県警察において最大 規模の警視庁とその上位組織の警察庁が迷走する様 がかかれている。捜査指揮者の稚拙な思い込みや、 公安部、刑事部の瑣末な縄張り争い。まるで自らが 真実に迫ることを放棄するかのような、行動。これ が当時の警察機構の実態だったと言われても、あき れてものも言えない。自己保身にために餓鬼のよう に迷走する組織の無様さがありありとわかった。
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事件当時は蜂の巣をつついたように大混乱 だったんだろうなぁ現場・・・。 せっかく情報が集まってきて蓄積されても、 初動や捜査指揮者の指示が間違っていたら、 なかなか解決に辿り着けない。 こんな大きな事件なのに、未解決事件となって しまって捜査に携わってきた人々は、 さぞかしガッ...
事件当時は蜂の巣をつついたように大混乱 だったんだろうなぁ現場・・・。 せっかく情報が集まってきて蓄積されても、 初動や捜査指揮者の指示が間違っていたら、 なかなか解決に辿り着けない。 こんな大きな事件なのに、未解決事件となって しまって捜査に携わってきた人々は、 さぞかしガッカリしていることでしょう。 投入された捜査員たちの数はのべ48万人。すごい数。 「北朝鮮ルート」の章、遺留弾頭の特徴から拳銃の 特定や流通ルートを割り出すなど、地味だけど緻密。 捜査へのこだわりはスゴイと思いました。 たくさん人の名前や担当した事件名が出てくるので、 再読する時は、捜査員の略歴や相関図や対立関係図 などをメモして頭の中を整理しながら読もうと思いました。
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捜査があまりにザンネン過ぎる。 この著者の他の著作と比べると読みにくい。小説じゃないから当然か? 衝撃の真相?
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警察庁長官狙撃事件と言う時効を迎えた事件をテーマに、緻密に取材を重ねている。捜査員の心情にもフォーカスされているため、新聞記事のつなぎ合わせのようなドキュメンタリーとは異なり、リアルな人物像と組織の意思決定プロセスにスポットを当てた作品となっている。 結果として犯人が捕まらない未...
警察庁長官狙撃事件と言う時効を迎えた事件をテーマに、緻密に取材を重ねている。捜査員の心情にもフォーカスされているため、新聞記事のつなぎ合わせのようなドキュメンタリーとは異なり、リアルな人物像と組織の意思決定プロセスにスポットを当てた作品となっている。 結果として犯人が捕まらない未解決事件として幕を閉じる結果となった原因がわかる気がした。
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警察トップが狙撃され瀕死の重傷を負いながら、なぜ迷宮入りしたのか。公安警察が歴史から消そうとした内幕を、段ボールに詰まった捜査資料と格闘し、捜査員たちと喧嘩寸前の議論をしながら書き上げました。
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先日読んだ「警察庁長官を撃った男」では国松長官狙撃事件の犯人として挙げていたのが一人の老テロリストという余りにも非日常的な犯人像を提示していたので、その関連書として本書も取り上げてみた。 とは言え、本書は基本的にはオウム教団の犯行であると信じ込む公安捜査部による事件捜査の進展を...
先日読んだ「警察庁長官を撃った男」では国松長官狙撃事件の犯人として挙げていたのが一人の老テロリストという余りにも非日常的な犯人像を提示していたので、その関連書として本書も取り上げてみた。 とは言え、本書は基本的にはオウム教団の犯行であると信じ込む公安捜査部による事件捜査の進展を時系列に追うものであり、公安の手法のまずさが事件の真相に迫るものではなかったことを解きほぐしてはいるのだが其れ以上真相の究明には到っていない。 特殊な銃器が利用されていることから北朝鮮の関与も捜査すべきだったという捜査員の疑義は紹介されているが、それを裏付ける事実は特に提供されていない。また前述の「老テロリスト」についても上申書が出されたと通り一遍の紹介だけで済ませている。 そういう意味では特に目新しさも無く期待はずれであった。
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たしかに警察庁のトップが銃撃された大事件ではあるが、これほどまでに一事件を克明に描いた本はあまりないのでは。ただし、結局のことろ真相に迫れていないことで、不完全燃焼の思いが読後に残る。
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刑事と公安。警察庁と警視庁、そして検察庁。キャリアとノンキャリ…。 それぞれの確執が事件を迷宮に追い込んだ。 決め打ちで、ストーリーを描いて、捜査をすることの限界を知らしめる。 *** 栢木には、目の前の中年男が「逃げ切ったぞ!」と快哉を叫んでいるように思えた。 一五年間の...
刑事と公安。警察庁と警視庁、そして検察庁。キャリアとノンキャリ…。 それぞれの確執が事件を迷宮に追い込んだ。 決め打ちで、ストーリーを描いて、捜査をすることの限界を知らしめる。 *** 栢木には、目の前の中年男が「逃げ切ったぞ!」と快哉を叫んでいるように思えた。 一五年間の捜査のすべてが、この空間に、この瞬間に凝縮されている。それを悟った刹那、栢木國廣は「呪縛」から解き放たれた。 *** ここに、このノンフィクションの思いも凝縮されているように思う
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