ストーリーとしての競争戦略 の商品レビュー
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「デザインには理由(ワケ)がある」と、いつか読んだ本の帯にあったのを思い出す。 デザイン、アートと呼ばれるそれらは、ただ思い付いたものを作り上げているわけではない。キチンとした論理、過去の背景や学術的立ち位置(文脈)、他作品との関連に意味合いなどなど。 (素人の)私達はただただ驚くだけしか出来ないかもしれないけれど、実際見る人が見ると作品の骨子/思想というものが見えるそうな。まぁ真実は分かりませんが…。 色々な人が「経営はアートだ」という意見を発信していて、直近で読んだ近い内容は山口周の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』かな。正直こっちはあまり論理的ではなかったんだけど、本著は同じことを言いながらそれ以上の説得力を持っている。 つまり、皆が言う「アート」とは、経営ストーリー(デザイン)における美なんだな。全てが綺麗に噛み合っているから、それはアートのように語られると。そう言ってくれよ…。 戦略ストーリーの5Cに語られているけど、つまり利益を出しながら他者と差別化をする上で、どの構成要素までそれを一貫できているか、ってとこが結びだろうか。 『イノベーションのジレンマ』や『ジョブ理論』ってのは、この中の差別化の一部だし、安易な構成要素であればすぐに模倣されてしまうんだろう。 経営におけるベース理論としてこの一冊は是非オススメしたい。これを読んでおくと色々なものがつながって面白い…。
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ストーリーとは部分的な成功の積み重ねではなく、全体としての整合性と持続可能な差別化を追求するための「物語」。サウスウエスト航空の「ポイント トゥー ポイント」、マブチモーターの「モーターの標準化」ガリバーの「買取専門」など、一見業界の常識からは非合理に見えることもその戦略を突き詰め選択と集中により長期利益を確立してきた。仕事の中でいつも合理的に合理的にと考えてきたつもりだが、強くて太いストーリーを持たずに戦うことは、真似され競争は激化する。「ストーリーとしての競争戦略」にそって一貫性をもった仕事の重要性を考えさせられた。 また、面白いストーリーをつくると組織として一貫性をもって進めるという言葉も戦略を実践していくうえでの重要なポイントであると感じた。
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2024年に読んだ本の中で一番面白かったです。 戦略立案の肝となる点、以下の2つは常々自分の観点としていきたい。 ①良い戦略には、それぞれの打ち手に『好循環』と『繰り返し』の関係性を見いだせる。中心地からそれぞれの目的地に流れていく田舎の国道のような関係性ではなく、合流・分離・再...
2024年に読んだ本の中で一番面白かったです。 戦略立案の肝となる点、以下の2つは常々自分の観点としていきたい。 ①良い戦略には、それぞれの打ち手に『好循環』と『繰り返し』の関係性を見いだせる。中心地からそれぞれの目的地に流れていく田舎の国道のような関係性ではなく、合流・分離・再合流を繰り返す都会の地下鉄のような関係性と感じた。 ②その中でも、始発駅となる東京駅のようなクリティカルコアはある。そしてそれは逆張りの性質があり、模倣困難性を高める。(模倣しようとすると、他の組織内の要素がそのようにできていないため、かえって悪い影響が出る) 上記説明の前提となる、これまでの戦略論の振り返りも面白かった。今まで常識とされていて理屈は分かるけど腹落ちしないことの違和感が掴めたように思いました。 ・2割の理屈が土台で、そこから先の8割は理屈じゃなくなる ・日本企業は機能分化ではなく、価値分化の文化。ストーリーの重要性が高い ・よくある事業戦略理論は合理的で良い理論だがすべてを説明できるようなことはない ・戦略とは競争の中で違いを作ること ・ストラテジックポジショニング流派においては、経営層は違いを作るうえでの超重要決定者。オペレイショナルケイパビリティ流派においては、経営層はより間接的な影響を持つ。
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たびたび、実務者に媚びているので逃げ道を確保しているなと感じました。 分厚い本ですが、内容は相当するものではないと思います。最初にネタバレがあって、その内容をグダグダ延ばしているだけです。また、ビジネスモデルやアカウンティングなど的外れとは言いませんが、戦略ストーリーを中心とすれ...
たびたび、実務者に媚びているので逃げ道を確保しているなと感じました。 分厚い本ですが、内容は相当するものではないと思います。最初にネタバレがあって、その内容をグダグダ延ばしているだけです。また、ビジネスモデルやアカウンティングなど的外れとは言いませんが、戦略ストーリーを中心とすれば真ん中ではない内容も多く占めています。
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事業開発、事業推進の業務に携わっている方には必読の本だと思いました。 戦略をその場凌ぎの経営層向けのやらされ仕事ではなく、本当に顧客に刺さるものとして策定するかは本当に重要な仕事であると痛感しました。 キラーパスという、一見非合理だけど全体のなかでみるとストーリーとして繋がっている戦略立案にチャレンジしてみたいと思いました!
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ストーリーを主軸に掲げているだけあって、読み物として面白い。著者の性格が文章ににじみでて、親しみとユーモアで楽しみながら読み進められる。 内容にあっては、型にはまらない説得力のある内容になっている。よくあるフレームワークなどを押し売りする内容を批判しつつ、本当に通用する戦略の考...
ストーリーを主軸に掲げているだけあって、読み物として面白い。著者の性格が文章ににじみでて、親しみとユーモアで楽しみながら読み進められる。 内容にあっては、型にはまらない説得力のある内容になっている。よくあるフレームワークなどを押し売りする内容を批判しつつ、本当に通用する戦略の考え方とはなにか、考えさせられる。 これを読めば戦略性のあるストーリーを作れるようになる、というものではない。だが、少なくとも巷に溢れている紋切り型のフレームワークや思考法で成功を標榜するようなものによって踊らされることなく、本当に優れた戦略とはなにかを本質的に考える入り口に立つことができるだろう。
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これはすごく面白かった。ビジネス書ではあるんだけど、すごく読みやすく、実際の企業の戦略自体がとても面白かった。普段何気に目にしている企業にもきっちりしたストーリーがあるんだなと認識させられた。コンサルティングであれば一度は読んでみた方がいい本。いいか悪いかは別にして。 企業が競...
これはすごく面白かった。ビジネス書ではあるんだけど、すごく読みやすく、実際の企業の戦略自体がとても面白かった。普段何気に目にしている企業にもきっちりしたストーリーがあるんだなと認識させられた。コンサルティングであれば一度は読んでみた方がいい本。いいか悪いかは別にして。 企業が競争優位性を発揮するには、希少性があるものを先見の明を持って誰よりも早く始めることが大事。と思われがちだけど、本当にいいものはすぐに模倣されるし、模倣されると過当競争になり、差別化するのは価格面しか無くなる。そうなると、利益率がどんどん落ちていって、規模の大きな所しか事業継続できなくなっていく。 この本の面白いところは、模倣困難性の「一見非合理なもの」がキラーパスとして機能しており、それが複数の要素と広く、長く、太く繋がることで発揮していく(それをストーリーと定義)、と分析している点である。 例えばスターバックスコーヒーの例。スターバックスのコンセプトは「第三の場所(サードプレイス)」。自分の家、仕事場とは別の場所。リラックスできる「避難所」という位置付け。コーヒーを売っているのではなく(実際は売っているのだけど)、その第三の場所を提供するサービスというコンセプト。だから、バタバタ急いでいる人には向かない。あえて、注文を受けてコーヒーを渡す場所を離れたところに設置し、一から手間をかけてコーヒーを準備する。そうすることで急ぐ人には「時間がかかる店」との認識を持ってもらい、自然と避けるようになる。店内はゆったりした雰囲気になるというもの。 ただこのコンセプトを実現するためのキラーパスが「直営店経営」にあることは知らなかった。なぜなら、フランチャイズとした方がコストも経営リスクも抑えられる上、事業拡大のスピードも早いからだ。 それでも直営店経営にこだわったのは出店地の選定の自由度と、顧客の回転率を下げることだという。フランチャイズとしてオーナーに任せると、当然共食いになるような出店の仕方は避けるだろうし、オーナーとして利益を上げるために顧客回転率を上げるような店舗経営を行うだろう。そうなるとスターバックスのコンセプトである「第三の場所」という価値が顧客に提供できない。このコンセプトを死守するため、コストもリスクも高い直営店経営という、一見非合理な戦略をとるというのである。 競合他社も「第三の場所」の提供には追随するが、合理的にフランチャイズでやるため、うまくいかない。結果、模倣困難性を発揮し、スターバックスがうまくいった、というものである。 こんな話が盛りだくさんで書いてあって、とても面白く読めた。 中小企業診断士の試験の中で必ず学ぶVRIO分析の模倣困難性のさらに先、それはストーリーにあるというこの本。ボリュームは多いけど(500ページある!)、読み物としても面白いので(前半はやや退屈)、プロジェクトXとかガイアの夜明けなどが好きな人は多分楽しめると思う。良書。
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本書では事業戦略を2つの切り口で分析、考察している。自分はこれまでその2つをそれぞれ独立した別々のものと捉えており、両方の繋がりや関連を意識して考えることがあまりなかったように思う。 事業戦略というと、ビジネスモデルとか他社との差別化とか何となくふわっとしたもののイメージ(且つ...
本書では事業戦略を2つの切り口で分析、考察している。自分はこれまでその2つをそれぞれ独立した別々のものと捉えており、両方の繋がりや関連を意識して考えることがあまりなかったように思う。 事業戦略というと、ビジネスモデルとか他社との差別化とか何となくふわっとしたもののイメージ(且つ世の中一般で見ると営業戦略があたかも事業戦略のように扱われているケースが少なくないように思う)だったが、本書を通じて戦略とは何かを整理することができた。 もちろん最初から全てを予測することは不可能であり、中には結果的にそうなっていたというものもあると思うが、戦略における各要素間の繋がりについては常に気にしておこうと思った。
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戦略は、違いをつくって、つなげる ストーリーという視点は戦略をつくる仕事の面白さを取り戻すため 戦略でつくる違い、ゴール(長期的な利益)は、ポジション、コスト、ニッチ 戦略ストーリーの柱は、競争優位(結)、コンセプト(起)、構成要素(承)、クリティカル・コア(転)、一貫性(評価手...
戦略は、違いをつくって、つなげる ストーリーという視点は戦略をつくる仕事の面白さを取り戻すため 戦略でつくる違い、ゴール(長期的な利益)は、ポジション、コスト、ニッチ 戦略ストーリーの柱は、競争優位(結)、コンセプト(起)、構成要素(承)、クリティカル・コア(転)、一貫性(評価手順) ストーリーの強さ(蓋然性)、太さ(つながりの多さ)、長さ(拡張性、発展性) 部分的には非合理に見える要素が他の要素との相互作用を通じて、ストーリー全体での合理性に転化する(特にコンセプトが非合理で、排除の論理と自滅の論理) ちょっとした創造性は広く共有されている通念や常識を疑う 骨法十カ条 ①エンディングから考える ②普通の人々の本性を直視する ③悲観主義で論理を詰める ④物事が起こる順序にこだわる ⑤過去から未来を構想する ⑥失敗を避けようとしない ⑦賢者の盲点を衝く ⑧競合他社に対してオープンに構える ⑨抽象化で本質をつかむ ⑩思わず人に話したくなる話をする
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500ページにわたり企業の競争戦略について詳細に解説する一冊。 面白かった!…けど難しかった! サクサクと進むには自分の力が足りなかった。 じっくり長く向き合うには単純に体力が足りず、ちまちまと読んでいたら2ヶ月ほどかかってしまった。 後半の各企業の具体例の話になってからは引...
500ページにわたり企業の競争戦略について詳細に解説する一冊。 面白かった!…けど難しかった! サクサクと進むには自分の力が足りなかった。 じっくり長く向き合うには単純に体力が足りず、ちまちまと読んでいたら2ヶ月ほどかかってしまった。 後半の各企業の具体例の話になってからは引き込まれるように進んだのだが、前半に苦戦。 後半に出てくる、ガリバー、スターバックス、アスクルやAmazonといった企業の成長にまつわる「戦略のストーリー」を解説付きで読むと、そうなるべくして今のポジションになったということがスッキリと理解できる。企業がどうして差別化されているかのストーリーは単純に面白い。 作中の中で戦略をサッカーの例で例えてくれていたので、その点も理解しやすかった。 経営という仕事を直接している訳ではないが、企業に勤める人間として、自分の会社ってこの視点とれてるかなとか提供している価値ってなになのかなとか見つめ直すことには繋げられそう。 部下に考えを伝えていく際にも「ストーリー」の考え方、静止画でなく動画で伝わるようになどはポイントとして押さえておきたい。
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