現代本格ミステリの研究 の商品レビュー
『後期クイーン問題』という本格ミステリファンの心を掴んで放さない永遠のテーマの研究書。 麻耶作品並びに、本格ミステリの作品における、あらゆる解決方法と可能性が辿りついた、本格ミステリの壁。メタミステリの自覚。真偽の決定と絶対化を閉じている世界。真実=メルカトルの世界。操りの多様...
『後期クイーン問題』という本格ミステリファンの心を掴んで放さない永遠のテーマの研究書。 麻耶作品並びに、本格ミステリの作品における、あらゆる解決方法と可能性が辿りついた、本格ミステリの壁。メタミステリの自覚。真偽の決定と絶対化を閉じている世界。真実=メルカトルの世界。操りの多様性と派生。 無限回廊に読者が迷い込む。 メタの要素や次々湧き上がる問題に直面した時、ひとつの真実だけが答えではなく、あらゆる検証と論理を我々が持つことで、本格ミステリはさらに魅力的に感じることができるはず。
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いわゆる「後期クイーン的問題」に新本格以降のミステリがどのように対処してきたかについての論考。後期クイーン問題を「本格ミステリの不可能性」と位置付け、それがどのように自覚され、回避されてきたか、またその回避法がはらむ問題点等が実作を基に分析される。本格ミステリの不可能性を示すため...
いわゆる「後期クイーン的問題」に新本格以降のミステリがどのように対処してきたかについての論考。後期クイーン問題を「本格ミステリの不可能性」と位置付け、それがどのように自覚され、回避されてきたか、またその回避法がはらむ問題点等が実作を基に分析される。本格ミステリの不可能性を示すため、『翼ある闇』のメタ犯人を追求したりと遊び心も嬉しい。『シャム双生児の秘密』を例に挙げた後期クイーン的問題の新たな射程も興味深い。いやー、面白かった。
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