わが友マキアヴェッリ(3) の商品レビュー
わが友マキアヴェッリ 3 文庫版 フィレンツェ存亡 著:塩野 七生 新潮文庫 し 12 40 ISBN:9784101181400 出版社:新潮社 判型:文庫 ページ数:272ページ 定価:520円(本体) 発売日:2010年05月01日 3巻は、政治の第一線から退い...
わが友マキアヴェッリ 3 文庫版 フィレンツェ存亡 著:塩野 七生 新潮文庫 し 12 40 ISBN:9784101181400 出版社:新潮社 判型:文庫 ページ数:272ページ 定価:520円(本体) 発売日:2010年05月01日 3巻は、政治の第一線から退いたマキアヴェッリが、モノ書きとして生きていく姿を、そして、失意のうちに亡くなるまでを描く 時代は、ルネサンスの終焉にむかっていた。自由な、花の都、フィレンツェは、大国の飲まれて新しい時代へと移り変わっていくのを見るしかなかった マキアヴェッリは、君主論、政略論、戦略論などの硬派な著作に加えて、喜劇マンドラゴーラなども書いているのは驚きだ。 思うに、書記官という職業を精一杯生きて、突然の解任、苦しみ抜いて、君主論を書いて、新しい時代になったら、精一杯復職活動をしたら、敗れたら、それこそ、失意のまま亡くなっていく マキアヴェッリは、分かりやすく、まっすぐな生き方、うらやましい精一杯の生き方だとおもいます まさに、塩野七生がいうように、わが友マキアヴェッリでした。 気になったのは以下です。 ・もの書きには、読んでくれる人が一番なのである。 元書記官は去り、代わって作家が誕生したのであった ・宗教を敵にまわしてはならない。また、神と関係することすべては、敵にまわさないように心がけるべきである ・ある制度を維持したいと思えば、ときにはその制度の基本精神に反することもあえてする勇気をもたなければならない ・時代は、あきらかに、中央集権体制をとる大国の時代に突入していた。 歴史の動向を左右できる力は、それまでの都市国家、ヴェネツィアやフィレンツェやジェノヴァのような都市型の国家の手から離れ、フランス、スペイン、トルコ、イギリスのような、領土型の国家の手に移りつつあったのである 1巻目次 序章 サンタンドレアの山荘・500年後 第1部 マキアヴェッリは、なにを見たか 第1章 眼をあけて生まれてきた男 第2章 メディチ家のロレンツォ 第3章 パッツィ家の陰謀 第4章 花の都フィレンツェ 第5章 修道士サヴォナローラ 図版出典一覧 解説 佐藤 優 2巻目次 第2部 マキアヴェッリは、なにをしたか 第6章 ノンキャリア官僚初登庁の日 第7章 「イタリアの女傑」 第8章 西暦1500年の働きバチ 第9章 チェーザレ・ボルジア 第10章 マキアヴェッリの妻 第11章 わが生涯の最良の日 第12章 補佐官、マキアヴェッリ 第13章 1512年・夏 図版出典一覧 解説 佐藤 優 ★3巻目次 第3部 マキアヴェッリは、なにを考えたか 第14章 『君主論』誕生(1513-1515) 第15章 若き弟子たち(1516-1522) 第16章 「歴史家、喜劇作家、悲劇作家」(1518-1525) 第17章 「わが友」グイッチャルディーニ(1521-1525) 第18章 「わが魂よりも、わが祖国を愛す」(1525-1526) 第19章 ルネサンスの終焉(1527) 図版出典一覧 解説 佐藤 優
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マキアヴェッリは、何考えたのか、をテーマとした第3巻。 フィレンツェ政府から追われたマキアヴェッリであったが、祖国の自由のことを考えていた人であった。フィレンツェが大国に飲み込まれないように翻弄する彼であったが、力及ばずにフィレンツェは滅亡してしまう。そして、それとともに、イタリアルネサンスも終焉することに。 マキアヴェッリの最期は、祖国のために働いていたのに、祖国に振り向かれないということへの絶望で、病に罹ってしまったのが可哀想だった マキアヴェッリの一生を通じて中世のフィレンツェの歴史を学べて、しかも、過去の塩野七生先生との作品とも関わっているのもあってとっても良い作品だった
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指導者に必要な条件 ヴィルトゥ 才能、力量、能力 フォルトゥーナ 幸運 ネチシェタ 時代性、 歴史家、喜劇作家、悲劇作家は形容詞でもある 歴史的、喜劇的、悲劇的 イストーリコ、コミコ、トラージコ 理論家であって、実践の機会のない、あるいは実践家ではないマキアヴェリ。ルネサンス...
指導者に必要な条件 ヴィルトゥ 才能、力量、能力 フォルトゥーナ 幸運 ネチシェタ 時代性、 歴史家、喜劇作家、悲劇作家は形容詞でもある 歴史的、喜劇的、悲劇的 イストーリコ、コミコ、トラージコ 理論家であって、実践の機会のない、あるいは実践家ではないマキアヴェリ。ルネサンスと共に生きた。 ローマがバロック的なのは、イタリアのためなのとは。
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完結編。 テーマは 「マキアヴェッリは、なにを考えたか」。 2巻で政治の表舞台から離れ、本人の意志とは関係なく作家生活に入ったマキアヴェッリの様子が描かれている。 そもそも「君主論」の作者としてしか知らなかったが、君主論を書くにいたるまでの過程が全て。 政治の世界にあくま...
完結編。 テーマは 「マキアヴェッリは、なにを考えたか」。 2巻で政治の表舞台から離れ、本人の意志とは関係なく作家生活に入ったマキアヴェッリの様子が描かれている。 そもそも「君主論」の作者としてしか知らなかったが、君主論を書くにいたるまでの過程が全て。 政治の世界にあくまでも戻りたいマキアヴェッリ。 そのための手段として書く「君主論」等の作品/論文。 それとは別に書いた喜劇が大ヒットする。 1巻、2巻も波乱万丈ではあったが、3巻も山あり谷あり、で面白い。 感想を書いていて気づいたが、まだまだマキアヴェッリをつかみきれていない。 まずは「君主論」から読んでみるか。
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日本語では発音し難いルネサンス期フィレンツェの政治家マキアヴェッリの評伝 政治家は日本語てきに何か違うな代議士と使い分けて欲しいものだ マキャヴェリズムの解説でなく それを生み出した人物と舞台と背景を描く というかいつものように塩野せんせが 好きな人物のどこが好きか気に入っている...
日本語では発音し難いルネサンス期フィレンツェの政治家マキアヴェッリの評伝 政治家は日本語てきに何か違うな代議士と使い分けて欲しいものだ マキャヴェリズムの解説でなく それを生み出した人物と舞台と背景を描く というかいつものように塩野せんせが 好きな人物のどこが好きか気に入っているかをとくとく語る内容である 対象が人物なので『海の都の物語』よりはまとまり良いが 『ローマ人の物語』に比べるとまだまだ若さゆえにいろいろあれである 塩野せんせをみていると作家の成長というより 枯れというより油が抜ける変化が作品にもたらす効果というのが趣深い あと解説のひとが存分に自分語りしていて微笑ましい
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全3巻の3冊目 本書の対象時期はマキャヴェリが公職追放をされた1513年から亡くなる1527年まで。 それまでが、フィレンツェ政府の官僚として政治の表舞台で活躍する姿が描かれていたのに対し、本巻でのマキャヴェリは、著述生活をしながら何とか政治の世界に復帰することを目指す。 こ...
全3巻の3冊目 本書の対象時期はマキャヴェリが公職追放をされた1513年から亡くなる1527年まで。 それまでが、フィレンツェ政府の官僚として政治の表舞台で活躍する姿が描かれていたのに対し、本巻でのマキャヴェリは、著述生活をしながら何とか政治の世界に復帰することを目指す。 この時期にマキャヴェリの名を後世に残した『君主論』はじめとする著作が書かれ、その意味でマキャヴェリの思索の時代と言える。 結局復職は叶わないのだが、その間フィレンツェだけでなくイタリアは大国の食い物にされてしまった。 未だ統一ならないイタリアのある意味中心人物と言えるクレメンス7世は何も決められず、いくつもの好機を逃し、フランスやイタリアのなすがされるままなのがもどかしい。 塩野さんが1527年のローマ略奪をもってルネッサンスの終焉であるとしたのは、何も文化財の破壊や芸術家の離散のゆえだけではなく、近代化しつつある大国を前に輝きを失ったイタリアを見たからなのかもしれない。というのは、ルネッサンスを産んだイタリアは都市国家や小国に分裂したままで、フランス、スペインのように中央集権化を成し遂げつつのようにはならず、政治の中心も芸術の中心も、こののち北へ移動してしまうからだ。 その同じ年にマキャヴェリが亡くなったのは、偶然にしても何だか出来過ぎのようで面白かった。
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マキアヴェッリ3巻目。マキアヴェッリが君主論・政策論を書くにあたり、何を考えたのか?その人生とフィレンツェの興亡を交え、その思考と境遇を深堀していく。 政界から追放されてもなおそこに戻ろうとするも、最後までその努力は実らず、結果その情熱を物書きとして昇華していったのは皮肉でもある。 ヴェネツィアの興亡をすでに読んでいたので、ルネサンス期の情勢がよくわかりました。
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いよいよフィレンツェが滅亡する。 ルネサンスが終わる。 マキアヴェッリが亡くなる。 悲しい。 あらゆる者の終焉は悲しい。 すべてのものに終わりは来るものなのだけれど。 マキアヴェッリの人生を辿る旅は そのまま都市国家フィレンツェの存亡に重なり ルネサンスの栄枯盛衰に連なり イタ...
いよいよフィレンツェが滅亡する。 ルネサンスが終わる。 マキアヴェッリが亡くなる。 悲しい。 あらゆる者の終焉は悲しい。 すべてのものに終わりは来るものなのだけれど。 マキアヴェッリの人生を辿る旅は そのまま都市国家フィレンツェの存亡に重なり ルネサンスの栄枯盛衰に連なり イタリアの没落を告げる。 都市国家を中心に栄えたイタリア。 そこではルネサンスが花開き 人々は陽気に生き 有能な政府事務官であったマキアヴェッリは フィレンツェの発展に尽力した。 しかし、周辺で勃興する中央集権体制の国家 フランス、スペイン、トルコ、イギリスが 次第に都市国家の集合体であった イタリアを蹂躙しだす。 難しい舵取りのこの時期に フィレンツェの命運を握る メディチ家から出た法王クレメンテ七世は 悪い方へ悪い方へ決断をする。 そして、最後にはフィレンツェのメディチ家は追放される。 その直後、マキアヴェッリは亡くなる。 五十八歳だった。 すべてが呼応したようなこの終焉。 ルネサンスの幕切れは新たな時代に席を譲るのだった。 人間的な、あまりに人間的なマキアヴェッリ。 それを描きだした冷静で緻密な塩野氏の筆に 読む者は心を打たれずにはいられない。
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求めても得られない活躍の場。 純粋に政治の世界で実践の機会をうかがっていたマキャベリの最期に切ない気持にさせられる。 いかに能力を持っていたとしても、風向きが悪く、立ち行かなくなってしまうことがある。そのときどうするかで真価が問われる。 別の道を探すか、風向きが変わるのを待つ...
求めても得られない活躍の場。 純粋に政治の世界で実践の機会をうかがっていたマキャベリの最期に切ない気持にさせられる。 いかに能力を持っていたとしても、風向きが悪く、立ち行かなくなってしまうことがある。そのときどうするかで真価が問われる。 別の道を探すか、風向きが変わるのを待つのか。 マキャベリ=君主論しか、頭になかったが、それ以外の人間らしい面が存分に楽しめた。本書に感謝。 次は、イタリア史か趣向を変えて東方見聞録にチャレンジ。
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最終巻フィレンツェ書記官を罷免され、君主論、政略論の著述や喜劇作家としての期間。友人との往復書簡等を通じて、非常にマキャベリを魅力的に書いています。解説が佐藤優氏というのが、マキャベリと佐藤氏の境遇があまりに似ているため笑えます。
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