粘菌その驚くべき知性 の商品レビュー
以前「粘菌が迷路を解く」等と言ってちょっと話題になった粘菌の話しです。 単細胞生物に判断能力、記憶力はあるのか?さらに「逡巡」することがあるのか? そのような動作は「知性」と呼べるのか? 等々、とても興味深いです。 粘菌の動きを数値モデル化して考えるくだりなんかはけっこう感動的で...
以前「粘菌が迷路を解く」等と言ってちょっと話題になった粘菌の話しです。 単細胞生物に判断能力、記憶力はあるのか?さらに「逡巡」することがあるのか? そのような動作は「知性」と呼べるのか? 等々、とても興味深いです。 粘菌の動きを数値モデル化して考えるくだりなんかはけっこう感動的です。面白いです。 本の内容はかなり独特で、しかも高度なものですが、文章は平易で、非常にわかりやすい。 とても楽しく読めました。(^_^)/
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粘菌にどうやって迷路を解かせたのか分かった。 粘菌恐るべし! 知性とは何か?意識は? 考えさせられました。
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誰もがその名前を知りながら、生態については殆ど知識を持ち合わせない「粘菌」を題材に取り、「知性」を機能として捉え直しながらその意味論にまで踏み込んで行く。新書というメディアはこの遠大なテーマを扱うには尺が短過ぎるとみえ、終章はかなりの猛ダッシュを余儀なくされる。粘菌に関する一通り...
誰もがその名前を知りながら、生態については殆ど知識を持ち合わせない「粘菌」を題材に取り、「知性」を機能として捉え直しながらその意味論にまで踏み込んで行く。新書というメディアはこの遠大なテーマを扱うには尺が短過ぎるとみえ、終章はかなりの猛ダッシュを余儀なくされる。粘菌に関する一通りの知識を得たいだけなら一読の価値は有るかも知れないが、著者の提示する問題を真に追いたいなら別の科学哲学の啓蒙書を読む必要ありと思う。
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粘菌といえば南方熊楠、ばかりではない。北大などを中心に粘菌の研究は続けられている。本書ではこの10年くらいで分かってきた新しい話題が紹介されている。実際にビデオなどで観る方がわかりやすいのだろうけれど、実験の雰囲気が伝わってくる。粘菌がえさ場までどうやって最短距離で向かっていくの...
粘菌といえば南方熊楠、ばかりではない。北大などを中心に粘菌の研究は続けられている。本書ではこの10年くらいで分かってきた新しい話題が紹介されている。実際にビデオなどで観る方がわかりやすいのだろうけれど、実験の雰囲気が伝わってくる。粘菌がえさ場までどうやって最短距離で向かっていくのか。迷路などを使って実験している。また、JRの主要都市を結ぶ路線と、粘菌の動きの対比も興味深い。さらに、粘菌にリズムを記憶する能力があるという。一定の時間間隔である刺激を与える。刺激があると粘菌は歩みを止める。そこで、刺激があるべき時間になっても刺激を与えないでおく。すると、粘菌は何の刺激もないのに、その時間になると歩みを止めた。おもしろい。数学的にいろいろなモデルが提案されているようだけれど、そこについていくのはちょっときつかった。数学的な記述をうまくかわしていけば、おもしろい話題が満載であった。ところで、この粘菌、単細胞のはずだけれど、かなりの大きさになっている(変形体という)。しかも、核が分裂して、1つの細胞内にいくつもの核ができている。ちょっとそのあたりがイメージしづらい。ちなみに、著者はイグ・ノーベル賞を受賞。「爆笑問題のニッポンの教養」にも出演されました。それから、本書の中で蔵本由紀著「非線形科学」は名著だからぜひ読むようにとすすめられていましたが、私は最後まで読み通すことができませんでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ゾウリムシに知性はあるのか?カテゴリーの新書。知性として認識されるもののメカニズムは意外と単純なものの中にあるということを、粘菌を通して探っていく。最短経路の算出を行う実験、このネットワーキングがどのようなアルゴリズムによって行われるのか?分散処理の総体としての知性の表れ。後半は、学習、逡巡といったさらにチャレンジングな課題に挑んでいく。たぶん現在進行形の研究も多いため、特に後半部分は考え方のアイディアレベルの紹介が多いがとても楽しめる。刺激による周波数の選択と位相の揃い加減。まあ世の中が波しかないとしたらそこだよね。
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粘菌が迷路を解く仕組みと脳の仕組みの、抽象的なメカニズムレベルでの類似。使用による強化と、使用されない経路の消失。
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2010年のイグ・ノーベル賞を受賞した研究者本人による、最新の粘菌研究に関する新書。粘菌研究と言っても、生態学的な領域に止まるものではなく、粘菌の細胞のダイナミクスをシミュレーションモデルに落とし込み、簡単な原理から複雑な情報処理能力が導かれることを明らかにしている点が、非常に興...
2010年のイグ・ノーベル賞を受賞した研究者本人による、最新の粘菌研究に関する新書。粘菌研究と言っても、生態学的な領域に止まるものではなく、粘菌の細胞のダイナミクスをシミュレーションモデルに落とし込み、簡単な原理から複雑な情報処理能力が導かれることを明らかにしている点が、非常に興味深い。そして何より、著者の粘菌愛がすさまじい。
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ナウシカには「この菌には意思があるのか!」という台詞がある(らしい)が、「粘菌の知性」をテーマに生物学と情報科学の両輪からのアプローチで研究を進める中垣俊之氏の著書。粘菌に迷路を解かせるという生態を観察する一方で、計算機上にシミュレーションモデルを作り、その原理を検証しているとこ...
ナウシカには「この菌には意思があるのか!」という台詞がある(らしい)が、「粘菌の知性」をテーマに生物学と情報科学の両輪からのアプローチで研究を進める中垣俊之氏の著書。粘菌に迷路を解かせるという生態を観察する一方で、計算機上にシミュレーションモデルを作り、その原理を検証しているところがすごい。 同氏はイグノーベル賞を2度も受賞していることでも有名だ。粘菌が迷路を解く(2008)、粘菌がJRの路線ネットワークを解く(2010)。本書では両方の研究についても解説されている。 IPネットワークのルーティングも粘菌に解いてもらいましょうw
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二度のイグ・ノーベル賞受賞で、粘菌の迷路問題やカーナビへの応用という話は、テレビニュースでさえ何度も取り上げられていたが・・・ 本書では、当然のことながら、それぞれの実験について、丁寧に説明されていた。 ある程度素地のある人でないと、すっと理解できる話ではないと思う。 ど文系の私...
二度のイグ・ノーベル賞受賞で、粘菌の迷路問題やカーナビへの応用という話は、テレビニュースでさえ何度も取り上げられていたが・・・ 本書では、当然のことながら、それぞれの実験について、丁寧に説明されていた。 ある程度素地のある人でないと、すっと理解できる話ではないと思う。 ど文系の私には、自律分散方式の組織の柔軟な問題解決力に希望が見出せるくらい・・・だろうか。
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粘菌の知性を紹介する過程で、組合せ最適化、ネットワーク、動的最適化、認識論、複雑系の適応現象、創発現象、自己組織化など色々な示唆がされていて非常に興味深く読める。
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