養育費実態調査払わない親の本音 の商品レビュー
個別の事案に触れるたび、同じ事件はないと実感する。 しかし、その立場になれば多くの人が感じることもあるはず。 多くのケースに触れ、蓄積し、今後の対応に活かすことを、 人は「経験」と呼ぶのだから。 そういう点で考えると、表面的であるとはいえ、多くのケースに 触れることができて有意...
個別の事案に触れるたび、同じ事件はないと実感する。 しかし、その立場になれば多くの人が感じることもあるはず。 多くのケースに触れ、蓄積し、今後の対応に活かすことを、 人は「経験」と呼ぶのだから。 そういう点で考えると、表面的であるとはいえ、多くのケースに 触れることができて有意義だった。特に2件だけといえ、「子ども」 の意見を、本書のような視点から聞いているのは貴重だと思う。 (父・母の分も含め)代理人として、子の監護・養育費が関わる紛争 において、依頼者に提示する資料としても意味があるのではないか。 それから、中村多美子弁護士の『誰のための「養育費」問題なのか』 は、実務経験を踏まえた簡潔なまとめで、勉強になった。特に、 「養育費の取り決めの場面では、生活の実態とかけ離れ、当事者の 合意なく、何かまるでそれ自体が法律であるかのように、標準算定表 が裁判所で一人歩きしている。」との一文は、代理人の立場からも 自戒の念を持って読まれるべきだろう。「その金で、子どもに何ができ るのか、非監護親がそれ以外の収入でどのような生活をしているのか、 そのバランスは「生活保持義務」にかなっているのか、表だけでは見え なくなっていることがあまりに多すぎるように思われるのである。」との 記載は、理論・理念と実務の運用との乖離を端的に表している。 引用は、上記2点の交点ともいうべき、中村弁護士の論文内の項目名 「子どもの視点」における記載。非常に納得できるところである。
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いったい、養育費を払えないのでなく『払わない』理由なんて存在するんでしょうか?? 離れて暮らす我が子の養育費を払わない親の本音を聞こうというインタビュー集。 もちろん、「とても人に言える理由なんかない。自分は親としての義務を放棄した人でなしだ」という自覚している人はインタビュー...
いったい、養育費を払えないのでなく『払わない』理由なんて存在するんでしょうか?? 離れて暮らす我が子の養育費を払わない親の本音を聞こうというインタビュー集。 もちろん、「とても人に言える理由なんかない。自分は親としての義務を放棄した人でなしだ」という自覚している人はインタビューに出ては来ませんから、払わない理由がありえると考える人だけが出て来ます。 (「払えない」理由のある人も若干出て来ます) 当初ありえないだろうと思っていた理由が少しづつ見えて来ます。 現在の養親を信用できないのに、その養親にお金を託すことができるのかという問題。 いくら、お金は子どものためで養育親のためではないと思おうとしてもしても、実際にお金を使うのは子どもの周りの大人ですから、信用できない人にお金を渡すより渡さない方がいいという判断もあるんですね。 少なくとも養親が「裁判所が親権を認めた親」であるなら、その人をこの親として信用しなければならないと強制することができるかもしれませんが、親権をきちんと話し合ったと裁判所が認めなくても離婚できる日本の結婚制度では、それもできない。 死別でない限り、子の福祉には子の両親が尽くさなければならない。それが自明の理であるような社会を、みんなで作りたいものです。
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