暁英 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鹿鳴館を主題とした長編小説を手がけた作家のエピソードから導入部がはじまり、時代は明治へ。 親日派の英国人建築家ジョサイア・コンドルはお雇い外国人として、工学校の教授職に。若き建築家の卵と交流を深めるが、彼には銀座の煉瓦街をつくりあげたまま行方をくらました建築家の消息をたどる、という密命も帯びていた。 コンドルが救命した病の母子たち、そして不平士族の叛乱、欧化政策の裏に隠された政府の陰謀、植民地支配をもくろむ英国とその商社、商人たち。彼らの思惑に近づき、やがて真相を知ったコンドルは、ひとつの決断をする。 鹿鳴館ができた背景、なぜ設計図が残されていないのか、というミステリーについては、贋作をめぐる謎解きでよくある手法なので、さして驚きはしなかった。ただ、著者かなりの渾身作であることはうかがえる。 鹿鳴館について資料が残っていないこと、活躍の歴史が短いこと、そして建築当時はかなり不評だったこと。など驚き。 これが絶筆で亡くなれたとか。じつに惜しい。他の著作も読みたくなった。
Posted by
タイトル通り、鹿鳴館をめぐる話なのですが裏の歴史とでも言うべきストーリーになっています。 時代背景などが、先日読んだ『暁の密使』に共通するものがあって、作品の端々で『暁の密使』を思い出しました。 残念ながら未完の絶筆。 もしこの本が完成していたら、本の厚みは倍になっていたのではな...
タイトル通り、鹿鳴館をめぐる話なのですが裏の歴史とでも言うべきストーリーになっています。 時代背景などが、先日読んだ『暁の密使』に共通するものがあって、作品の端々で『暁の密使』を思い出しました。 残念ながら未完の絶筆。 もしこの本が完成していたら、本の厚みは倍になっていたのではないでしょうか。(上下巻に分かれたかも) とても面白かったし、興味深い内容で、続きが読めない事が残念でなりません。 それでも、読んで損はない小説だと思います。
Posted by
浮世絵が好きなので、河鍋暁斎をとりあげた作品だからということで読みました。初めて「北森鴻」さんの小説を読んだのですが、まさかそれが絶筆とは思いませんでした。 残念なのはこれが「未完」ということです。ページ数も相当ありますが、これで未完ですから、最後まで書き上げていれば上下巻になっ...
浮世絵が好きなので、河鍋暁斎をとりあげた作品だからということで読みました。初めて「北森鴻」さんの小説を読んだのですが、まさかそれが絶筆とは思いませんでした。 残念なのはこれが「未完」ということです。ページ数も相当ありますが、これで未完ですから、最後まで書き上げていれば上下巻になったのかもしれません。 暁英は、河鍋暁斎のお弟子さんで、英国人です。河鍋暁斎の浮世絵というか日記のようなものに、結構登場したりして、なんだかとても楽しそうな雰囲気がうかがえました。それだけに、小説の「政治的」な内容にはちょっと違和感があるわけですが、これはこれで楽しく読めました。 誰か続き書いてください。と、とてもいいたいです。
Posted by
すっげ面白いところで!!絶筆ですよ畜生…結末知りたかったな。幕末〜明治時代は苦手なんだけど興味持って読めた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
誰もが名前を知っている鹿鳴館。 それを題材にした長編ミステリであり、北森鴻氏の遺作。 キャラクターが立ち、謎が展開し、話に引き込まれるのに、読み進むスピードがどんどん落ちる。 なぜなら、私はこの作品が未完であることを知っているから。 面白いけれど、解説にあるような、名を残す作品になったかどうかは分からない。 でも、完結した作品を読みたかったなぁ。解説の通りに面白かったんだろうな、著者も書きたかったろうなぁ。他の作品も好きでした。 そんなことを思いつつ、ご冥福をお祈り致します。
Posted by
作家の津島好一は新作のテーマに鹿鳴館を選んだ。 が、有名な建築物にもかかわらず、その資料は極端に少なく設計図さえ残されていなかった。 行き詰まった津島だが、ある人物と出会い、堰を切ったように物語を書き始める。 ―明治10年、新政府に雇い入れられた英国人建築家、ジョサイア・コンドル...
作家の津島好一は新作のテーマに鹿鳴館を選んだ。 が、有名な建築物にもかかわらず、その資料は極端に少なく設計図さえ残されていなかった。 行き詰まった津島だが、ある人物と出会い、堰を切ったように物語を書き始める。 ―明治10年、新政府に雇い入れられた英国人建築家、ジョサイア・コンドル。 後に鹿鳴館の建造を担当する彼は、工部大学校造家学科教授兼工部省営繕局顧問として多忙な日々を送っていた。 しかし一方で彼は、来日の仲介をした英国の商社、ジャーデン・マセソン社からある密命を帯びていた。。。 北森さんの未完の絶筆です。 その作品に、デビュー作でも登場した河鍋暁斎(狂斎)が登場しているのは因縁めいている気がしました。 よっぽど創作意欲をかきたてられる人物だったのでしょう。 他にも『暁の密使』でも登場したジャーデン・マセソン社もでています。 この商社は、北森さんが明治を語る上では欠かせない存在だったのでしょう。 またテーマが鹿鳴館ですから、『蜻蛉始末』ではダークなイメージだった井上馨も当然再登場。 今回は新政府の大物、って扱いでした。 そして津島は北森さんの分身みたいで、その創作過程など実際にこうだったのかな、なんて垣間見れたようでうれしかったです。 このたびの舞台は明治10年から、ということで西南の役も出てきます。 改めて、北森さんはこの時代についてよく調べられているなぁと感じました。 薩摩については勉強不足で、特に西郷さんは私には難しすぎてお手上げ状態なのですけど、この解釈はアリかなぁ、と納得してしまいました。 こうやって俯瞰すると集大成的な感じを受けてしまい、これらの符合になんともいえない気持ちになってしまいます。 本当に、書ききられていないことが残念でならない作品です。 杉江松恋さんの解説にもあるように、一応謎は解けるところまでは書かれてはいるのですけど。 解説によるとこれまでに発表された『蓮丈那智』シリーズが1冊にまとめられて出版される予定があるようです。 他にも未収録の作品もあるそうですので、それらが出されるのを期待しております。
Posted by
絶筆となった未完作。 骨董や民俗学など今まで知らなかった分野を ミステリー作品という形で分かりやすく教えてもらった。 また何度も読み返すだろう。
Posted by
絶筆にて未完。実に惜しいです。でも未完とはいえ刊行されたことからも分かるように、十分に読めます。もちろん、謎部分にやや不完全燃焼はありますが。これ、完成してたら凄かっただろうになあ。 このあたりの歴史にはあまり詳しくないのだけれど、雰囲気には浸って読めました。どのへんまでが史実な...
絶筆にて未完。実に惜しいです。でも未完とはいえ刊行されたことからも分かるように、十分に読めます。もちろん、謎部分にやや不完全燃焼はありますが。これ、完成してたら凄かっただろうになあ。 このあたりの歴史にはあまり詳しくないのだけれど、雰囲気には浸って読めました。どのへんまでが史実なのかはよくわからない(苦笑)。個人的には、暁斎とコンドルのシーンをもっと読みたかったなあ。
Posted by
今年急逝した著者の絶筆で未完作品だそうです。出版社の作品紹介をみて読みたくなりました。ミステリーで未完とは、どんな風に終わっているのでしょう。最後の一文を読んだ時の自分の気持ちを想像するとワクワクします。
Posted by
- 1