バジリスクの魔法の歌 の商品レビュー
今まで何となくファンタジーを避けていたのは、嫌いじゃないけどテンションについていけてないと、温度差を勝手に感じてたのかも。ピーターパーン!とか夜空に叫んでみたりとかさ、豪邸に住んでない限り、家族にも近所にも迷惑じゃん。この本は復讐物語なので、そういう置いてきぼり感を感じることなく...
今まで何となくファンタジーを避けていたのは、嫌いじゃないけどテンションについていけてないと、温度差を勝手に感じてたのかも。ピーターパーン!とか夜空に叫んでみたりとかさ、豪邸に住んでない限り、家族にも近所にも迷惑じゃん。この本は復讐物語なので、そういう置いてきぼり感を感じることなく、普通に読めた。4世紀に渡って統治してきた一族を破壊して、当主としてのさばる一家に復讐する話。楽器が兵器。吹くと人が死ぬ。なんか日本にもそっくりの話とかありそうね。吟遊詩人が琵琶法師みたいな。でもやっぱりファンタジーはなんか違う。
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マキリップのファンタジーを読むといつも、イメージが何層もあらわれてきて、歌が聞こえて色彩が見えてくる気がする。私は「奥地」に行けない人間だと感じた。いつも女性の存在が決して母なる存在としてだけイメージではなく一個人として描かれるのが当たり前だけれどいいな。
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音楽と魔術に彩られた復讐譚。第二部のクライマックスにあたるオペラ上演のシーンが迫力あってぞくぞくしました。そこから第三部があるっていうのがまたすごい。 ファンタシイらしく背景描写が豊かで、読んでいるだけで楽しい。最初の吟遊詩人や「奥地」の挿話に惹かれます。宮廷文化華やかな都と...
音楽と魔術に彩られた復讐譚。第二部のクライマックスにあたるオペラ上演のシーンが迫力あってぞくぞくしました。そこから第三部があるっていうのがまたすごい。 ファンタシイらしく背景描写が豊かで、読んでいるだけで楽しい。最初の吟遊詩人や「奥地」の挿話に惹かれます。宮廷文化華やかな都と対照的で。サブキャラクタではヘクセルとリーヴが好きでした。 テーマは重たいものだけれど、けっこうコミカルなところがあるのが意外で好印象。ダミエット姫のとぼけた(ずれた?)人物像のおかげでしょうか。ペリオール家の人物はみんなおもしろかったなあ。裏主人公はルナ姫ですね。ブリオにはなんとなくボルジア家もの(プーヅォ『ザ・ファミリー』とか)のドン・ミケロットを思い出しました。 2008年頃から創元推理文庫が熱心にマキリップ邦訳を出してくれていて、なかなか追えていないのですが少しずつ読んでいかないと。復刊中の『イルスの竪琴』第一巻を入手したのでまずはそこから。楽しみです。
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ドラマチックでわかりやすく、幻想的なムードも華やかさもいっぽい。 オススメできます。 繁栄を極めたトルマリン一族は、対立していたバジリスク公家に襲われ、皆殺しにされた。 たった一人生き延びた子供グリフィン・トルマリンは、カラドリウスと名を変えて遠い北部へ送られる。 記憶もなくし...
ドラマチックでわかりやすく、幻想的なムードも華やかさもいっぽい。 オススメできます。 繁栄を極めたトルマリン一族は、対立していたバジリスク公家に襲われ、皆殺しにされた。 たった一人生き延びた子供グリフィン・トルマリンは、カラドリウスと名を変えて遠い北部へ送られる。 記憶もなくし、ふだんはルック(鴉)と呼ばれて、岩の島にある吟遊詩人の学校で育つ。 吟遊詩人になることを勧められるが、それはためらう。外地へ出ることには不安があったのだ。 恋人シリーナとの間には息子ホリスも生まれるが、真の姿を自分でもわからないルックは次第に妻とは距離が開く。 トルマリンの名は口にすることも出来ない危険な名前になっていたが… バジリスクことペリオール家の当主が治めるベリロンの都。 放浪の果てに、ついに都に戻ったカラドリウスは、ひょんなことから司書として宮廷での仕事に就く。 トルマリン公家に伝わっていた貴重な資料が放置されていて、整理する仕事があったのだ。 バジリスク公の姫君ダミエットに楽器の指導もすることになり、綺麗だが音痴で頭が空っぽな姫に恋されてしまう。 カラドリウスの方は親子ほども離れている姫の気持ちにぜんぜん気づかず、どちらかといえば上の賢い姫君ルナに印象を受ける。どちらにせよ仇敵なのだが… 都の若者達の間には、バジリスク公家への反乱の動きもあった。 廃墟となっているトルマリン宮で残党が密かに連絡を取り合い、武器を隠して運び入れている。 トルマリン音楽学院の教授ジュリア・ダルセットは、ベリロン大公の誕生祝いの祝典のために苦労していた。 神経質な作曲家の作るオペラの主役は、音痴の姫なのだ。 ジュリアは自由に演奏の出来る酒場に出入りして、そこで知り合ったジャスティンと恋人になっていた。ジャスティンは反乱軍の一味なのだが、ジュリアは知らない。 やがて、バジリスク公の誕生祝いの祝典が迫ってくる…
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素性の分からない子供の視点から話が始まる。どうやら生き残りらしい。どこかの島へ預けられ、成長し、大人になり、子供をもうけ…あれよあれよと青年を通り過ぎ、中年へ。そして舞台はきらびやかな貴族のお屋敷へ。視点は女性音楽家へ。 たびたび登場する「ピコシェ」は弓を使いネックを立てて弾く...
素性の分からない子供の視点から話が始まる。どうやら生き残りらしい。どこかの島へ預けられ、成長し、大人になり、子供をもうけ…あれよあれよと青年を通り過ぎ、中年へ。そして舞台はきらびやかな貴族のお屋敷へ。視点は女性音楽家へ。 たびたび登場する「ピコシェ」は弓を使いネックを立てて弾く弦楽器らしい。表紙絵にもあるが、二胡のような音色だろうか。二胡の音色で西洋音階ってどんな音楽だろうか。農民の楽器らしいので、労働歌とか、シンプルな音楽なのだろう、と想像が膨らむ。 華やかな舞台でのクライマックス場面は圧巻だった。復讐の話だけれど、読んでいる時の雰囲気は悪くも暗くもない。
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シブいおじさま(30代後半)が主人公。ちゃんと年相応の渋みがあり、まだ青年らしい部分も残っていて、こういう人物を描くのは難しいだろうなぁと思いつつ読みました。 吟遊詩人たちの住む島、呪いや魔法の道具を使う公女、復讐を決行する者と巻き込まれる者。 でも、なんといっても音楽(歌、楽...
シブいおじさま(30代後半)が主人公。ちゃんと年相応の渋みがあり、まだ青年らしい部分も残っていて、こういう人物を描くのは難しいだろうなぁと思いつつ読みました。 吟遊詩人たちの住む島、呪いや魔法の道具を使う公女、復讐を決行する者と巻き込まれる者。 でも、なんといっても音楽(歌、楽器)の描写がすばらしいです。 ピコシェってどんな音がするんだろう(笑. また、オペラを練習するダミエットが意外に可愛らしくて、それも面白かったです。 この人のお話はいくつか読みましたが、ファンタジー的なものが飾りとしてではなく、そういうものが本当に存在している世界を、その世界に住んでいない私に、本当にあった歴史物語みたいに見せてくれるところが好きです。 まぁ、作家が育ってきた文化圏と日本文化圏とはかなり異なっているところもあるので、すぐに想像がつかない物体だったり気候だったり感覚だったりも出てくるのですが、そこは仕方ないですかね……。 2010/9/15 読了
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滅ぼされた公家の子孫が、敵討ちをする話なんだけど、そこはファンタジーなので魔法の歌と特殊な楽器で敵討ちをする。こう書くとつまらない感じですが、豊かなイメージと少しユーモアもあって、私の好みです。背景に流れている音楽が、幾種類もあって豊かな気持ちになれました。
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北の岩と水と炎の音楽はむきだしの真実を語り、都の祝祭の音楽は虚飾の下に真実を隠す。北のパートと都のパートの対比が面白い。奥地の魔法と原始の詩人の伝説が気になる。本編終了後のカラドリウスの話などあったら面白そう。
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バジリスクによる殺戮から生き残った幼い少年の復讐譚。ありがちなストーリーを、音楽と魔法の味付けで愉しませてくれる。主人公が真面目で深刻な分、可笑し味がますしかけが巧み。ホント、この作品オペラにすればいいのに!
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