まさか!? の商品レビュー
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米レッグ・メイソンでストラテジストとして勤務する一方、コロンビア・ビジネススクールで非常勤としても教鞭をとる筆者の著作。 一言でいうと意思決定論についての本。 ・・・ 一言でいうと「ムズかしいなあ」というのが感想。 私たちの日々は、絶えざる選択の連続であります。で、その中には大小さまざまな判断ミスがあるわけです。 そうした判断ミスについて原因と対処法を考えているのが本書。 ただ、どうも私の理解が不十分だと感じています。 当然本書は章立てもしてあるし、章の個別の事例を読んでいる瞬間は理解できます。ところが、じゃあ結局なんなの?とまとめようとすると言葉がでない。つまり自分が理解できなかったという事でしょう。 ・・・ その中でも個別で理解できた興味深い事例としては、人は直近の事例にアンカーしてしまうという例。 アンカリングというのはAnchor(錨)から来ていますが、参照指標の固定化、みたいな話です。私の個人的な例でいうといつも私は自分の給料は安すぎるとキレています。で、以前行動経済学の本を読んでいてふと気づきました。私はローカルの給与からすればまあ高めのお給金を頂戴していますが、計数管理している関係上、大まかな駐在の給与とか、ほかのローカル社員の給与(とりわけ小さい部署だと)がぼんやりわかってしまいます。すると、私は自分が(アジアの片田舎で仕事している割には)恵まれているということをサクっと忘れて、自分より給与が高い駐在や上位のローカルにアンカーししていまい、「ワシは給料が低い」と一人嘆くことになります。 つまりアンカリングとは、意図せず判断基準が引っ張られるということだと理解しています。私の勝手な理解だと「身の程知らず」とも言えます笑。 さて、そのアンカリングですが、本書では不動産売買やM&Aが例に出されています。 全く関係がない企業や事例の金額であってもその金額が当の不動産売買やM&Aに左右してしまうということです。 例えば、皆さんが5,000万円のマンション購入を検討されているとしましょう。契約当日、朝のニュースで地方の台風で農作物被害の累計額が6,000万円程度と報道されます。するとあなたは、5,000万円の予算と考えていたのに、オプションやらなんやらで、6,000万円くらいまでなら良いか、という気持ちになってしまうという事らしいです。 どうやって証明したのか良く分かりませんが、あるかも、とは思いました。 ちなみに対処法は「相手の提案のアンカーに左右されないよう、他の様々な選択肢を考慮に入れて、じっくりと考える事である」(P.52)とあります。なんだそれ? ・・・ それ以外にも、個々になるほど、と思う所は多かったです。 ・人は「一貫性」を好むため、「認知的不協和」を想像や思い込みで潰す。 ・人はストレスがかかると短期的なことしか考えられなくなる(長期的プランや展望に思いがゆかない)。 ・専門家の意見よりも、集合知による予測・見込みが正しいことが結構ある。 ・購買の現場では商品や価格ではなく、「背景」(音楽や映像)が影響を与えることがある。 ・高い相関性が見られても、それらが因果関係にあるとは限らないこと。 ・運と実力の合計がハイパフォーマーの正体。原則は平均回帰する。 てか投資会社の社員なのに最後の一つについてはアクティブ運用をけっこう否定していますね。 ・・・ ということで意思決定の本でした。 意思決定を突き詰めると、統計学と行動経済学(心理学)を勉強しないと完璧にはできませんね。 ただ、そんな完璧なミスのない人生もつまらないかもしれません。ちょっとした判断ミスやイレギュラリティーは人生のスパイスとして受け止めたい、というのが最近の私の考え。 大き目なお金の運用とか、会社の方向性を左右するとか、そういう判断をするときはこうした嗜みがあると良いとは思います。 また、会社で相手の意見を論破したい人とかは、こうした判断ミスの仕組みは勉強しておいても良いかもしれませんね。
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専門用語も多く、統計学や経済に不慣れな身には読み辛いところもあるが、巷に溢れるビジネス書や幸福指南本に対して「?」と思っていた部分が解明された気がする。何年か後に読み直して、自分が頷けるか試したい。気持ちとしては星3.5。
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意思決定のよくありがちな過ちを指摘してくれる一冊。つまるところは思い込んでしまうことの危険性が説かれている。まさか,うっかりは多分無くならない。時々は読み返して反省したい。
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Vol.75 既定値(デフォルト)の誤りに騙されないために必要なこととは? http://www.shirayu.com/letter/2010/000145.html
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人間が陥りがちな認知的な誤り、認知バイアスについて、主にビジネス上の失敗点 から紹介した本。 書かれているトピックと簡単な自分なりのメモ。 自分自身に対して自信過剰にならないこと →自分とよく似たケースでの統計的な事例にあたること。 一つの選択肢に固執しすぎないこと →他の選択肢や自分と異なる意見を積極的に探すこと。 自分の思考記録をつけること。 専門家に頼りすぎないこと →専門家といえども何かを予測するような部分において頼りになるとは限らない。 過信せず統計データなどを参照すること。 状況の力を考える →人間はその人自身の性質以外に周囲の環境に影響されておこす行動が非常に多い。 環境の影響力を常に考えること。 部分と全体 →全体とは部分の総和ではないこと。部分同士の「関連性」に目を配ること。 正解は時と場合による →ある選択肢が有効な場合は、その前提条件を理解しておくこと。 クリティカルポイント →正規分布を無視した大きな相転移について理解しておくこと。 運と実力を見極める →起きた事象が運によるものか、実力によるものかの判断は難しい。過信しないこと。 扱っているテーマは心理学系の本などではよく話題にされている事柄であるが、 平易に書かれているのでそれらの知識がなくともすらすら読める。 筆者が投資銀行のストラテジストであることも影響しているのか 投資系に含蓄のある話が多いかも。 株式投資をする前にこれらの本を読んでおくと 夢も見れなくなる半面、自信過剰に陥って大失敗する 確率が減らせるのでいいかもしれない。
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内容に新規性はないが、説得力のある内容だった。 最後の章は特に恐ろしかった。 訳者あとがきのチェックリストはお手軽に使えそうですね。
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ステップ1「準備」…意思決定の過ち・判断ミスの種類を知る ステップ2「認識」…問題の種類を理解して、その背景・状況を把握する ステップ3「適用」…意思決定に関する頭の引き出しを増やし、潜在的ミスを減らす ・確率的な環境(不確定要素を含む)において結果より決断を下すプロセスが重要(運に左右される結果はコントロール不可だから) ・他人の経験に目を向けず、自分を特別視しうる(自分だけ上手くいくと過剰に楽観視しやすい) →①参照するグループを決める②結果の分布を検証する③予測をする ④予測の信頼性を検証(feedback) ・トンネルビジョン(視野狭窄)の原因 ※係留(アンカリング)と調整のヒューリスティック…人が直感的に意思決定する際に、無意識に示唆された参照点を出発点とし、それに調整を加えて何らかの推定に至るプロセス。アンカリングは意思決定に影響する、印象に残っている特定の特徴や情報の断片。 ※典型的ヒューリスティック…外見の特徴など典型的と思われるものを基準に意思決定するプロセス。 ※利用可能性ヒューリスティック…思い浮かべやすいものを基準に意思決定するプロセス。 ※確証バイアス(外的一貫性)…個人が都合の良いようにそれに反する考えや不利な証拠を除外する。これにより思考を止めることができ、一時的に心理的な解放感を感じられ、また新しいことをしなくて済む(行動を変えなくて済む) ※注意力の限界 ※ストレス…長期的な視点で考えることができなくなる(短期的には多大な集中力を発揮できるが) ※不適当なインセンティブ トンネルビジョン対処法 ①他の選択肢を考える ②自分と異なる意見を積極的に探す ③それまでに行った意思決定の記録をつける(後知恵バイアスに対抗) ④平常心でいられない場合は意思決定を避ける ⑤インセンティブを理解する ・専門家の意見を鵜呑みにするな 確率的で結果の範囲が広い→集合値・コンピュータ優位 確率的で結果の範囲が狭い→専門家でもok ※多様性予測定理…その群集の中の平均的な人が個別に予測するよりも、多様な群集が「常に」より正確に予測する。 ※集団の正確さ∽能力×多様性 ※多様性予測定理を用いて予測する際の3つの条件 ①多様性②集約③インセンティブ ・意思決定は周囲の状況に大きく影響されている →他人が意思決定した際の状況について理解せずに早々に批判すべきでない ※プライミング…論理的な意味において無関係に見えるものでも私たちの知覚を通して入ってくる情報は関連付けられ意思決定に影響すること ※デフォルト…臓器移植の実施状況などに現れる差がデフォルトと関連していたり。 ドイツ…ドナーになるには申し出なければならない オーストリア…ドナーにならないためには申し出なければならない →臓器提供の同意オーストリアの方が多い(ほぼ100%)↔ドイツは約12% このように選択肢の設定により影響される(選択アーキテクチャ)。 ほとんどの人が選択肢をデフォルトのままにしている。 ※感情の大きさ 小さい→確率に重きを置く 大きい→結果にのみ注目(確率には注意払わず)ex)宝くじ ※惰性 ex)医師の診療においてチェックリスト用いない。昔は合理的であったが今はそうではないトマトスープの秋のプロモーション。 対処法 ①周囲の状況に気を配る②個々よりも状況を第一に考慮③横並びに注意 ④惰性の回避 ・ミクロを考えてマクロを分かった気にならない(複雑適応系の存在) 対処法 ①正しいレベルでシステムを捉える②密接に関連するシステムに注意③シミュレーションする ・人生における問題への解答は時と場合による ※相関関係と因果関係は異なる 相関関係が因果関係であるためには ①順序②関係性③交絡因子が無いこと ・システムに対する小さな欠陥が大きな変化をもたらしてしまう →そこに因果関係を見出すことは難しい ・平均回帰(ハロー効果) 対処法 ①分析するシステムに運と実力が存在することを認識する→勝敗が実力を伴うものかどうかは、そのゲームに故意に負けることができるかどうかで判断。良いことが起こったときにはそれを実力と考え、悪いことが起こったときにはそれを運のせいとしがち。また、誰かのパフォーマンスに建設的な意見を言いたければ”実力”の部分にfocusを当てること ②サンプル・サイズを考える→サンプル・サイズが大きくなると運と実力を区別しやすくなる ③システム自体の変化に注目 ④ハロー効果に注意→平均回帰性を知ること
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「プロフェッショナル」と「ジェネラリスト」 ある分野で、業界で、エキスパートになることは、ひとつ大切なステップではあるが、そこをもう一歩ジャンプアップして、変革のリーダーシップをとっていく人材が、今求められている。 プロフェッショナルほど陥る罠を、認知科学、行動心理学の観点か...
「プロフェッショナル」と「ジェネラリスト」 ある分野で、業界で、エキスパートになることは、ひとつ大切なステップではあるが、そこをもう一歩ジャンプアップして、変革のリーダーシップをとっていく人材が、今求められている。 プロフェッショナルほど陥る罠を、認知科学、行動心理学の観点から解説。 所感としては、「おっしゃる通り」 わかっているけど、それをどう行動に移せるか、がどこも悩みの種なのだ。 心理学・脳科学等に興味がある方には、新しい切り口としてお勧めです。
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人間の意思決定にまつわるお話をまとめた本。書いてあることは平凡だが、各章ごとに要点のまとめがあるので読み返しやすい。
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認知的不協和 フェスティンガー トンネルビジョン プライミング効果 ドイツとオーストリアの臓器提供同意者の差 平均回帰性
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